疑惑 それぞれへの復讐
「いい。ああ、恥ずかしい」
オーナーは掲げられた腰を後ろに引き寄せながら、双臀の隙間に屹立をそえ、一気に沈み込ませる。
「うっ、はあぁぁぁ・・」
壁についた両手に力を込め、和子は上体をのけぞらせた。
オーナーは、ここぞとばかりに尻を引き寄せ、グイグイとえぐりたてる。
背中をしなせた女の後ろに年老いた男が覆いかぶさっていた。
脂ぎってはいるが、老人斑が浮き出た顔といい、だらしなく弛んだ腹といい、とても女を籠絡する精力が漲っているとは言えない風体だった。
媚薬の力を借りながらそそり勃たせ、汗みずくになって女の膣を突き上げている。
観衆が見守る意味は、或いは麗しい花嫁を奇怪な幽体が媚薬の力を借りて籠絡しているとでも映ったのかもしれなかった。
この場から助け出したいが、衆人環視の中ではどうにもならないと諦めながらも、この先どうなることかと固唾をのむ男がいる。
我より恵まれた美貌と均整のとれた肢体に嫉妬し、もっと責め立て、身を滅ぼしてやってほしいと願う女がいる。
熱い眼差しが一点に集中した時、オーナーは腹の底から熱い血潮がうねり上がってきた。
右手は優しく尻の上に置いているものの、衆人に見える左手は女の太腿を、手首を鍵状に曲げ、尻を抱き寄せ、腰を突き出すようにして、ストロークのピッチを上げていく。
「あん、あん、あん・・・」
和子の漏らす声が、音響設備の整った部屋に、異様に響き渡った。
オーナーが腰を使うたびに愛液の付着した皺袋が揺れ、女のどこかに当たってパンパンと音を立てていた。
「おおぅぅ、和子!」
「ああ、○○さん・・・イキソウ・・・」
和子の声の中に、あの爺様の面影を見出し、嫉妬のあまり、一層性感が高まった。
既に和子しして、観衆の面前で堪えがたいほどの寸止めの中、クンニを強いられたとき、先走りは始まっていた。
性奴隷に向かって注がれる、嘲笑の笑みを、必死の思いで堪え、長い時間をかけて開くところまで漕ぎ着けていた。
いつもならここで、観衆の中の誰かがオーナーに代わって舞台によじ登り、和子を最後の瞬間に導く。
オーナーに許されるのは、舞台の端で和子の最期を見守って、観衆の中にいた人地の男の排出した体液の後処理をさせられるだけだった。
〈出してやる!復讐だ。和子の中に、なにがなんでも出してやる・・・〉
両手で腰を掴んで、反動をつけた一撃を叩き込んだ。
「あっ、ぁあぁぁぁ、ちょうだい・・・ いっぱいちょうだい」
「むおおぅ、まっとれ!」
根元まで挿し込んだまま切っ先を使って掻き回し、軽く引き抜いた後、ぐいっと奥まで届かせると、濁流がしぶいた。
頭頂部にツーンと戦慄が走った。
してやったりという射精感の中で、ダメ押しとばかりに突き入れると、とろけた膣肉が痙攣しながら分身を締め付ける。
〈これだ、爺様から奪いたかった和子の真の姿・・・〉
息絶えるように崩れ落ちる和子を抱きしめながら、オーナーは長かった苦難のときを思った。
順調に収益を伸ばしていた会社を、右肩下がりに貶めたオーナー。
その、不運が始まったのは、ある人物と知り合ってからだった。
順風満帆、飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていた収益に気を良くして、誰彼かまわず誘いに乗って連日クラブに通い詰めた。
まさに酒とバラの日々だった。
そこで紹介された女と関係を持ったことが凋落の始まりだった。
生まれも育ちも恵まれなかったオーナーは、何かにつけて人の余りもので満足するしかなかった。
生まれて初めての女との経験もそうなら、妻も上司が散々遊んで捨てた女を御下がりとして出世を条件に押し頂いた。
今ではその上司とは上下関係が逆になっているとはいえ、妻は事あるごとにその男と夫を比べ屈辱し、役立たないのを良いことにに裏切りを愉しんでいる。
結婚後にできた我が子でさえ、元を正せば自分の胤ではないことぐらい、とうに承知していた。
負け犬だったオーナーは、自制心を取り柄と思い、元上司を見返してやりたくて、休むことなく立ち働いた。
気は常に出世ごとに集中していた。
事実、妻に 時としてせがまれても愚息はほとんど役に立たなかった。
そんな折、倶楽部を通じて紹介された女から媚薬を盛られた。
どんなに体調不良のときでも、医者にも行かず、置き薬にも手を出さず、我慢して働き続けた身体に媚薬は、殊の外よく効いた。
60を前にして、生まれて初めて女を泣かすまでに屹立を使えるようになっていった。
最初は妻への復讐のつもりだったが、女の逝く様子が面白くてたまらなくなって、何度も女に媚薬を頼み込んだ。
それが、紹介してくれた男の罠だと知ったときには、もう会社は左前だった。
だが、そうとわかっていても、オーナーは薬を手放せなくなっていた。
ひとつには女房への復讐。
もうひとつは生まれを見下したものへの、一人前の男としての見栄だった。
〈本来持つ力を発揮すれば、女ごとき、簡単に屈服させられる・・・〉
なんとしても、そう思わせたかった。
自制心だけが取り柄のオーナーは、自分を罠にはめた人物の割り出しに、女は別として残りの青春をささげた。
そして掴んだのが、どうやら爺様の村から母親ともども出奔して行方不明になっていた悟の存在だった。
悟もまた、貧しく悲しい運命の中に育った。
母が産み落とした己は、実の父の子ではなく、爺様の胤であることを、ある日忍んで会いに来た爺様と母、ふたりの会話から知る。
憧れの想いで娶った妻は、同じ村の庄屋の息子と、かつて深い関係にあり、嫁いだ今でも心を寄せていることを知って狂った。
〈思い知らせてやる。あいつらに復讐してやるんだ・・・〉
父を裏切った母はもちろん許せない存在だった。
それ以上に、妻の美也子も、そして元凶である爺様も許せなかった。
妻の美也子が、時として橘に心を寄せるあまり、意地悪をして気を惹こうとしていることに腹を立て、
通りがかりに母に近寄り、挨拶かたがた母の陰部に手を差し入れ、シズクを掬って舐める爺様。
それを身を揉んで堪え、コトが終わると笑顔で見送る母。
〈お袋ともども・・・〉と考えたのも無理はない。
村を離れるにあたって、悟は廃村に出向き、噂の薬草を手当たり次第に採取した。
効き目は密かに己の身で、廃村に迷い込んだ女を使って確かめた。
その効き目を、今度は母を使って確かめようとした。
悟とともに病院に行くと言って姿を消したその母は、廃村で悟の盛った薬により狂乱し没した。
〈お袋ひとりだけ試したんじゃ効き目の真偽は問えない・・・〉
そこでもうひとり、人身御供となったのが妻の美也子だった。
隠れ潜んで自宅に辿り着き、こっそりと美也子が普段使う野良仕事に持ち出す水筒に薬物を混入させ、飲ませて様子を伺った。
事のついでに、心を寄せていた橘の元へ、美也子の卑猥極まる持ち物を届けることを忘れなかった。
もちろん、届けた陰唇の汚れが黄ばんで付着したパンティーには、薬物を、それとわからないよう塗り込んでおくことも忘れなかった。
媚薬を嗅ぎ、情念に胸を肌蹴て乳房を揉みしだく妻 美也子と、焦がれる人妻美也子の淫臭に屹立を握りしめ夜這いに駆けつける橘は、
「あああっ、待って。お願い、辛抱して・・・」
「もう待てない!いったいいつまで待たせるんだ!」
物陰から見守る悟の前でついに、薬の力も手伝ってお互いの火照った陰部をさらけ出し、交わった。
薬の効き目は上々だった。
悟はかつて、あれほど乱れた妻を診たことはなかった。
貧相と思えた乳房は、これ以上ないほど豊かに盛り上がり、乳首は闇夜でもそれとわかるほど尖って天を突いていた。
橘が唇で乳首を捉えに来るのが待ちきれなくて、美也子は自ら乳首を差し出すほどだった。
手を伸ばせば届くほどの距離で、妻の美也子は橘の屹立を、その充血した双臀に迎え入れた。
出会う前から十分に潤み過ぎていたんだろう、不貞に身をゆだねるという抵抗感はあったものの美也子は、身を揉んだ橘の屹立を一気に根元まで迎え入れ、尻を振った。
濡れ光る妻の太腿を伝うシズクに、悟もつられて己を摘まみ出し扱いていた。
〈これなら、あの男に盛っても効くはず・・・〉妻の痴態を観て、悟はほくそ笑んだ。
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