父親の面影を追い求め 男と酒に溺れ、我が子の深夜徘徊を放置
佳子に頼まれ、久美はご主人のいない夜、佳子の自宅に相談がてら訪問したことがあった。
佳子の癖は、どんなに仕事の上りが遅くなっても、自宅に帰り着くと、まずビールをあおる。
ほどほどに酔いが回ったところで台所に立つのが、いつものやり方だった。
相談があると、如何にも緊急であるような言い回しで呼び出され、取るものもとりあえず駆け付けた久美だったが、自宅を訪れた時には佳子はかなり出来上がっていた。
自宅に帰り着くと、まずビールを・・・それを久美はせいぜい350ml缶ひとつ程度と勘違いしていた。
あおるだけあおって、食事の支度は、まるで出来ていなかった。
自宅に誰もいないかと思いきや、二階から物音がして、深夜になって姉弟兄弟が降りてきた。
腹を空かせていたんだろう、ふたりは言葉少なに外出した。
「こんな時間に、子供たちだけで外に出していいの?あの子たち、どこに行くの?」
久美にしてみれば、当然のことを当然と思って聞いた。
男の子ならまだ許せる。
だが、先に出て行ったのは高校を中退して引きこもっているお姉ちゃんの方だった。
「深夜徘徊し、もしものことがあれば・・・呼び戻してくる」
立ち上がりかけた久美に向かって、佳子の投げやりな言葉が飛んだ。
「ホントに!どうしようもないんだから。どうせコンビニでしょ」
いつものことよ、
「誰があんな子を・・・」
自分がこんなに頑張っても、それでも追っかけてきてくれない男を、あんな子が相手にされるわけがないと言い切った。
腹を空かせ、コンビニで期限切れ寸前の弁当を安く買って、それを食べ、飢えをしのぐ。
子供ならでわのアイデアだった。
お金はもちろん、この親から出ていない。
どこからか、借りてきたと思われた。
「旦那は、これ知ってて外出してるの?」
「とっくに。 先に帰ってきてたんでしょ、弁当の空箱が投げてあるから。どうせ飲みに出かけたんだ」
こともなげに言った。
「旦那が飲みに出かけた理由って、本当は佳子ちゃんにあるんじゃない?」
「別に・・・一晩留守にしてただけよ」
出会った男と、情が通じ、治まりきらなくなって無断外泊し、翌朝早く、こっそり忍んで帰り、コンビニで買った総菜を、それらしく弁当に詰め、台所に置いて、寝ずにそのまま仕事場の直行したとのこと。
もはや、まともな主婦のやることじゃなかった。
浮気を疑わないほうがどうかしてると、久美は思った。
旦那も子供たちも、佳子の男癖の悪さを知っていて黙っているとも。
それなのに、佳子が大切な相談と久美を自宅に呼び出した理由が、今付き合ってる男のもとに家出して、一緒に住もうと思ってると、時に大声で、時に泣きながら訴えてきた。
この家が自分には我慢できないと。
コンビニで買った弁当を携えて、子供たちが帰ってきている時間だと思うと、久美は返す言葉を失った。
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