疑惑 子供や夫に満足な食事を与えるための芝居
益々充血し、エラが張り出した亀頭が恥骨の内を嬲ってきている。
腰を使ってこの亀頭を奥に引っ張り込みさえすれば、カリ首を肉球で摘まみ嬲って頸部に押し付けて絞り出せないわけではない。
そうはさせまいと、庄衛門は突き出すおカネのアソコを太腿を使って腰全体を押しのけることで遮った。
下から微妙な位置に亀頭が来るよう己の腰を調整してくる。
おカネはこの先どうしていいのかわからなくなっていた。
確かに男根が欲しくてたまらなくなり待ちはした。
軽率な女であることは十分自覚していた。
それでも逝ってみたいと思った。
それ以上に、使命感のような目的もあった。
庄衛門から得る食べ物を、飢えた夫は山奥の炭焼き小屋でじっと待ってくれている。
是が非でも庄衛門をして食べ物を手に入れたかった。
今できることと言えば、庄衛門の首筋に唇を這わせ、熱い吐息を吹きかけ、悩まし気に喘ぎ声を聴かせてやることぐらいだった。
欲情し張ってきた乳房はとっくに与えてしまっている。
乳首だって、勃った状態になってしまっていて先ほどから舌先で転がされ、吸われ甘噛みされていた。
孕む危険のある子宮が眠る腹部だけは与えていなかった。
夫にだけ許した子作りのための卵巣がそこにある。
腹部を預けてしまえば、許されたと思って胤を仕込むべく執拗に突いてくる。
そうなれば耐えきれないことは先刻承知していた。
〈 この頃のウチは飢えている 〉
この飢えは原身につながっていることを過去の経験から学んでいた。
嫁ぐ日が迫った時、母から聞かされた男の秘密、
休むことなく射出させると薄まり、孕みにくくなる。
だから見せつけて外に出来る限り放出させなさいと。
出来ることなら休みなく射出させ、白濁したものがほとんど混じらない薄い液だけを、庄衛門を満足させるために搾り取るつもりだった。
だが、そうしている間にも庄衛門の棹は、確実におカネをオンナにしつつあった。
その結合時間をか弱いおカネの腹筋は持ちこたえられなくなっていた。
腰の細った部分を締め上げてくる庄衛門。
持ちこたえられなくなったおカネの腹部が庄衛門のでっぷりとした腹部を打ち始めた。
そうしてはならじと腹部に空間を持たせるべく体勢を変えようとしたが、遅かった。
恥骨あたりが意に反してしゃくりあげ、庄衛門にオンナの要求を伝え始めてしまっていた。
男は元来、視覚や聴覚に加え、妄想で欲望を増幅させる。
しゃくりあげ始めたおカネの、上体を押し上げると庄衛門は互いの結合部に目を凝らした。
庄衛門の屹立をどうにかしようと畳に腕を突っ張り、腰を屹立に向かって押し付けようとしたものだから、欲情し始めたアソコが棹を呑み込む様子が庄衛門の眼前で露わになった。
舐られすぎて潮を吹いたアソコが庄衛門の、抜き挿しする屹立に泡をまぶしつけヒクついていた。
それを見た庄衛門の屹立の裏筋が豊かな反応を示した。
おカネに組み敷かれた庄衛門の腰が動かないのに、屹立だけがビンビンとおカネの中で跳ねた。
射精感が募って耐えきれなくなってしまっていた。 が、庄衛門は歯をくいしばってこれに耐えた。
目が宙を泳いでしまっている割に、その指は尻の肉に食い込んでいた。
欲しがっていた。
オンナはこの男どもの反応に弱い。
亀頭冠は未だ襞の入り口付近というのに男がいきり立つ様子が臀部全体で感じられ、メスとして応じ始めていた。
挿し込みはさして深くないというのに、その興奮で棹全体を使って内壁を叩かれる刺激は使わない別の穴の奥にまで響き渡る。
この様子じゃ入り口に出されてもまずいことになる。
本能的に振り払っていた。
ビ~ンと弾けた棹が臀部の底を、その勢いで打った。
「あっ!!」 小さな、しかし悲痛な声がおカネの口から漏れた。
嫌われた・・・ 逃げないでもっと・・・
屹立に思わずワレメを擦り付け、元の位置に戻そうとするおカネ。
形相が変わった。
妻である前にオンナであることを、その形相が知らしめた。
意に反して抜かれたことを悔いている。
それを知ってか知らずか、庄衛門は倒れ込んだおカネのアソコから抜けてしまった切っ先を、シルでワレメを滑らせ後ろの穴にあてがうような仕草を見せた。
「あっ、そこはダメ!!」
悲鳴のような声を上げ振り返るおカネ。
先だっての弾ける動きで、初めてそこを突かれる刺激を求めている。
ツーンとした戦慄が過ぎったのだろう、半眼に目を閉じ眉間に苦痛の色をにじませた。
「そうか、ここも突いてほしかったのか」
後ろ向きに反りかえっていたおカネの顔が元に戻り庄衛門を見据えた。
すると庄衛門は、何事もなかったかのように再びワレメを切っ先でなぞって元の壺にめり込ませていく。
オンナの身体が徐々に熱を帯びて、そのぬくもりが庄衛門にも伝わっていった。
攻守交代の時期が来ていた。
おカネの意識は、今やすっかり子供や夫にはなく、ひたすらアソコ周辺を動き回る男根に注がれていた。
腫れ上がった男根をなんとかしたい。
その一点に意識を集中させているようだった。
庄衛門がその気ならと、おカネは腰を浮かせ跳ねあがる屹立の裏をワレメで幾度もなぞった。
勝ちに乗じたい女の浅はかな仕草だった。
亀頭の先端がマメを ともすれば舐るが、逝きそうになるのを必死で堪え、擦りあげた。
庄衛門はほくそ笑んだ。
頃合いを見計らっておカネがもてあそぶ屹立をワレメの中心でヒクつかせてやった。
その都度ビクンビクンと恥骨がしゃくりあげる。
やっと射出に域に達したと勘違いしたおカネは、急いで先端を摘まみ、蜜壺に誘う。
そこは心得ていた庄衛門が腰を捕まえて深く沈ませない。
庄衛門は待っていた。
おカネの放つ淫臭いと視線の先に溢れる愛液、それら全ての刺激によって胤の濃度が深まるのを。
おカネ自身の肌が朱に染まり、全身に脂汗がにじみ出て額に血管が浮き出るほど欲情するのを。
その時こそが想いを遂げる時期。
押し倒し、組み敷けば 自然と腰を浮かせ子宮を差し出すだろうと思って待った。
既に小半時、ふたりは身体を重ね合わせていた。
それでもおカネは堕ちなかった。
逝きそうになるのを必死で堪えたおカネは、
「ごめんささい、障子の外が気になって・・・」
ポツリと呟いた。
かすかだが、外で物音がする。
〈 しまった! アヤツめ、帰ってきてやがったか・・・ 〉
焦りが委縮につながった。
見る見るうちに萎んでしまう男根を目にしたおカネは、醒めた様子で立ち上がり、そそくさと衣服を着始めた。
すっかり着終わると、庄衛門に向かって脱ぎ捨ててあった衣服を投げてよこした。
「速く着てくださらない? ウチの人 帰ってきてたみたいだから」
見つかりでもすれば、庄屋さんとしては困るでしょう?
「今回のことは・・・」
内緒にしておいてあげると妖艶な笑みを浮かべながら云った。
庄衛門は青くなった。
〈 しまった! 罠だった!! 〉
冷や汗が出た。
人様の女房欲しさに、相手が穢多(えた)だということをすっかり忘れていた。
下手を打てば、三尺高い樹の上に吊るされかねない。
裏の小部屋に急いで忍び込み、そそくさと衣服を身に着けると小窓を潜り抜けて藪の中に脱出した。
這う這うの体で逃げ帰った庄衛門は、女房に怪しまれてはと野良仕事の支度をして裏木戸を抜けた。
土塀に沿って萱の原に出かけ、そこで冷めやらぬナニを擦ってヌクつもりでいた。
角を曲がった瞬間、物陰に身をひそめて待ち構えていたおカネの夫 作佐がノソリと現れた。
その風体たるや空恐ろしいほどに瘦せこけ白蝋化してはすまいかと思われるほどだった。
庄衛門は思わず跳び退った。
「貴奴めが、何の用じゃ!?」
驚いた弾みに、つい口が滑った。
「いやなにね、おカネのヤツが預けてたもの受け取ってきてくれんかと、泣いて頼むものだからのう」
「預けてた!? はて?何のことやら・・・」 腋に脂汗が滲み出たがとぼけた。
知ってはいたが、つい今しがた当のおカネのアソコを小半時もつついたばかり、言いあぐねた。
まさかこのような風体になった夫に、ワレメを貸し出した駄賃の取り立てを頼むとは思っていなかった。
「それなら納屋に積んである。勝手に持って行け!」
もうどうでもよかった。
恐ろしさで、一刻も早くこの場を立ち去りたかった。
「ほうですか。ほんじゃあもらって帰りますけんのう」
深々と頭を下げて立ち去っていく。
〈 食い物をよこせじゃと!? 誰の米じゃと思うとる! あの風体で女房を抱こうというんか?貴奴め、最初からそのつもりで貸出しておったんか!!」
してやられた。
いい気になって、小半時もおカネの入り口をつつきまわしていた。
あれでおカネも随分逝ったように診た。
食うものにも困る作佐のモノでは思うように使うことすらできないでいたから、それと思えないほど食わせてもらっていたおカネはずいぶん溜まっていたのだろう。
衣食足り、漲っている庄衛門の屹立にこの事情の中であっても、目の色を変えてむしゃぶりついてきた。
この機会を逃せば、再び挿し込んでもらえることは出来ない。
その、最後の望みに賭けて庄衛門を部屋に引き込んだことも事実であったろうと そらで思った。
小半時かけて夫に見せつけ、自らも楽しんでいたのだろうと。
だが、炭焼き小屋に追いやっておいた夫があのようなさまになっていようとは、流石に庄衛門でも思わなかった。
庄衛門が奮い立つほどの肉付きで迫るおカネ。
その妻の夫が餓死しようとしている。
〈 確か子がいたはずじゃ 〉
子にもろくに食わせず女房を養っていたことになる。
あの身体を維持させるには、作佐は食った真似をして茶でも啜って誤魔化し、なにもかも与えねば、この飢饉の中乗り切れなかったであろう。
このところの長雨と日照不足で小作連中に貸し出している田からの上りは思うように取り立てが進んでいない。
とても元が取れる石高はなかった。
その中にあって、近隣住民の それもうら若い嫁いできたばかりの嫁を狙って食い物を餌に寝取る。
鬼のような仕打ちだった。
恨まれていようが、日頃たんと食っている庄衛門には小作どもと違って脂ぎり、疼いてしようがなかった。
( それもこれも衣食足りてのこと 〉
作佐にも食わせてやりさえすれば、あのようなみじめな姿にならぬはず、
今にして思えば、おカネなりに考えてのことであったろう。
それを後先考えずにつついた。
おまけに庄衛門は、勝ち誇ってなにがなんでも逝かせてみせようと入り口ばかりつついた。
おカネは惑乱と正気の狭間で庄衛門から食い物を引き出そうとしていた。
〈 なあに、所詮はオンナ。造作もないことじゃ、よそのオナゴのようにの 〉
庄衛門はうそぶいた。
そう考えでもしなければ気がふれるような恐ろしさに身が持たなかった。
奥深く、心行くまで絞り出し かつ逝かせていたら状況はもっと変わっていただろうと、ここに至っても考えていた。
「少なくとも、次の機会を狙って米を貢ぐことなど造作もない」 そう考えた。
炭焼き小屋でじっと待っていた夫に今宵は、その米を食わせることだろうと思うと、庄衛門は心穏やかにはいられなかった。
「アヤツめ!!今度こそ!」
萱藪の中に隠しておいたおカネの腰巻に向かって渾身の飛沫を飛ばし、苛立ちを紛らわそうと擦った。
ひたすら虚しかった。
棹に残る粘りにおカネのアソコを思い出し、目を閉じ剥けた皮の辺りから血が滲むかで擦った。
足りなくて、足音を忍ばせ、閨を覗きに、おカネの中に墓場から這い出したような作佐のアソコが食い込む様子を観に行った。
その頃作佐はおカネの給仕で粥を啜っていた。
「ゆっくり食べないと身体に悪いから・・・」
おカネの、作佐を気遣う声が聞こえた。
「こんなになるまで耐えてくれて・・・」
すすり泣きが聞こえた。
ちゃんと着衣してたと心の中で作佐に向かっておカネは叫んだ。
「モンペが僅かに足首に引っかかってた・・・ 拒否してた」
空になった胃の腑に流し込んだお粥で、作佐は苦しげな表情をした。
目がつり上がり、気を失うのではないかと思われた。
もう寸刻遅ければ、命が尽きたかもしれない。
「振り払ってただけ・・・ ちゃんと頑張った」
ぼろ屋の板壁にはところどころ破けめがある。
そこに顔を押し付け、食い入るように我が妻が庄衛門から何かを得るのを診ていたに違いなかった。
だからおカネは腰を浮かし、庄衛門の要求に応えようとしなかったのかもしれなかった、たとえ先端だけ入っていたにしても扱いた。
腰や胸に手を回され抱き着かれて身動きできない状態ながら、アソコを結合しようとするのだけは振り払っているように見えもした。
微妙である。
切っ先は確かに割っているが、受けたように見えてもコリコリした部分は、まだ中じゃないと言いたげだった。
妬みきって覗き込む作佐、庄衛門の切っ先の行方を追っていた。
〈 儂は生き死にをかけて守ろうとしていた嫁を寝取っていたのか・・・ 〉
神仏に近い扱いを受けていた、その人妻を寝取ろうとしている。
もう野で放ちながら許しを乞う必要はなかった。
( 食い物を持って行ってやろう。これまでのように、作佐めが死なぬ程度にの 〉
渡すものを渡してやれば本気で明け渡すはずじゃ、
庄衛門は心の中で言い放った。