ありさ 割れしのぶ 第八章 一通の手紙 Shyrock作
6月下旬、いよいよ夏到来を思わせる暑い夜、ありさは男衆をひとり伴ってお茶屋に向った。 俊介の屋形訪問の一件以降、女将は警戒を深め、ありさの行く先々に常に男衆をそばに付けることにしていた。 万が一、またまた沮喪があれば、上得意の丸岩に申し訳が立たないと思ったのだ。 しかし幸いなことに、同伴の男衆はありさが最も好感を持っている北山春彦と言う30代半ばぐらいの男であった。 ありさは北山に気軽に話し掛けた。 「暑なりましたなぁ~」 「ほんまどすなぁ、そうゆ~たら、ぼちぼち祇園さんどすなぁ~」 「ほやね~、また忙しなりますなぁ~」 「ありさはん・・・」 「はぁ、何どす?」 「あんまり思い詰めんようにせなあきまへんで。身体に毒おすえ」 「あ、北山はん、おおきに~、うちのことそないに気にしてくれはって・・・」 「ありさはん、近頃、ちょっと痩せはったみたいやし・・・」 「うん、そやねぇ、ちょっと痩せたかもしれへんなぁ」 「もし、わてにできることあったら何でもゆ~てや。微力やけど力になれるかも知れへんし」 「おおきに~、そないにゆ~てくれはるだけでも元気が出て来るわ。嬉しおすぅ~」 ありさの口元から久しぶりに白い歯がこぼれた。
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト