惠に導かれて着いたところは重厚な佇まいの
料亭でした。
敷居が高く少し気後れしましたが、惠が和服姿の
仲居に案内されスタスタと中に入っていったので、仕方なく私も後を着いていきました。
惠と私が履物を脱ぐと
下足番が歩み寄り履物はそのままにしておいてくれと言うので、私たちは玄関を上がり廊下を進みました。
館内に足を踏み入れると、よく磨きこまれた
天然木の玄関から奥へと廊下が続いていました。
さりげなく飾られた季節の花がふっと気持ちを和ませてくれました。
まもなくふたりが案内されたのは広さが二十帖ほどのゆったりとした座敷でした。
座敷の正面には風格を感じさせる
桐箪笥が置かれ、上座には床の間があって立派な掛け軸が飾ってありました。
惠は私に
上座に座るようにいいました。
私は遠慮しましたが、惠はそれを許しませんでした。
料理は惠が弁当を2つ注文すると、
仲居は丁寧に挨拶をし座敷を出て行きました。
「うふ、また二人っきりになれましたなぁ」
仲居が座敷を出て行くや否や、惠は急にお茶目な表情に変わりました。
「朝食の時は『もうさよならなんだ』って
別れを覚悟していたけどね」
「そうどしたん……?」
「うん……」
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