逆恨み
「そうか・・・、今年の夏は妙な天気だったからな~、はよう秋がきてくれにゃ~かなわんのう」
「ほんになぁ、けど、あんたんちは楽じゃからえぇわ。うちなんか・・・秋が来てもなぁ・・・」
「けんどなぁ、秋祭りにゃあ冨美ちゃんも着飾って来るんじゃろ? 今年の祭りは楽しみだて」
地主の慎次と並んで歩きながら世間話をしていた冨美は「今年の祭りは・・」という慎次の言葉を聴いた途端足を止め、「どうした?」と聞き返されると「用事を思い出した」と、いきなり脇道に向かって大股で歩いて去ってしまった。
普段は、これでも田舎暮らしをしようと覚悟を決めて来たのかというほど楚々とした歩き方しかできない女である。
訳が分からないまでも、女のスイッチが入ってしまっていることだけはわかった。
狐につままれたような気持ちでただ呆然と小作の妻冨美を地主の慎次は見送った。
「なんだありゃ?」
当てが外れた思いだった。
「ちょっときれいだからとおだてりゃ調子に乗りやがって」
このまままっすぐに歩けば、ふたりの恋が成就できる場所に辿り着くと慎次はもくろんでいた。
「あいつだってこうなりたいから近寄って来たんじゃないか。それを、何を今更・・」
他人同士が秘かに野で睦み合うことは、昔からよくこの村では行われていたことだった。
「あ~ぁ、やめたやめた。馬鹿らしなった」
ましては冨美とは、心は通じ合っていると自負していた。
もう、いつ睦み合っても、いや、隠し子がいたっておかしくないほど冨美は俺に惚れぬいていたはずではなかったのかと自問してみた。
慎次はこの村で生まれ、この村で育った。
村には高校がなかった、だから中学を卒業すると街の高校に通った。
冨美と知り合ったのは慎次が3年になったときの夏に催された街の花火大会でだった。
「こんな騒がしいとこで花火見ても気分が悪いだけじゃ。河原へ行かんか?」
仲間を誘ってみたが、花火より女が目当ての奴らは慎次の提案にそっぽを向いた。
「ちぇっ、すきにせーや」慎次はどちらかというと静かに花火を見たかった。散り際の余韻を楽しみたかった。
花火見学にしては遠すぎる川の土手で、冨美も丁度その花火を観ていた。
「どっから来たん? 街で観んのんか?」
「ううん、街はなんや変なやつばかりおるから好かん」
「ほうやな、花火は散り際の・・・なんや侘びしいいうか・・・そんなんがな」言いながら慎次は照れて見せた。
「あんたも仲間と別れて来たん? 変な人」冨美は笑った。
清らかな川のせせらぎが、ドーンと打ちあがった花火のパチパチという音がした散り際に一層情緒を添えているように思えた。
花火が打ち上げられていた僅か1時間、短い会話を交わした。たったそれだけのことであっても心が通じ合えるものがあった。
「こんなしょうもない学園祭へようこそ」
次にであったのは冨美が通う女学校の学園祭で、冷やかしに来ていた男子学生の中に慎次を見つけ、冨美から声をかけた。
「まあな、みんなが行こうっていうから」
「まだ名前訊いてへんかった。なんていうの?」
「慎次や。慎むに次って書くんや」
「そう、わたしは冨美。ほら、とみの上に点がないやつ、それに美しいって書いて フミって読む」
「そうか、冨美か。好い名やな」
「ふ~ん、わたしは古臭くて好きになれないけど・・ねぇ、ベル番とアドレスは?」
花火の思い出で話は盛り上がり、お互いに連絡先の交換をした。
「ちゃんと登録してくれた?」
「あとで登録しとく。なんや操作するの面倒やしな」
「えぇ~、信じらんない。それって扱い方ほとんど知らないってやつ? いまどき?」
「うっるせーなー、機種替えたらわからんようなっただけや」
「かしてみ。わたしがしてあげる」
冨美からすれば、当然慎次から付き合ってほしい旨の連絡があるものと信じて待った。
「変やな~、使い方まだわからんとか・・・」
仕方なく何度か冨美からメールを送ってみたが返答は返ってこなかった。
連絡のないまま、慎次は卒業を迎え、学校から消えた。
受け取った連絡先の電話番号も、もうその時には「この番号は現在使われていません」とむなしい返答が帰ってくるばかりだった。
次に慎次と出会ったのは社会人5年目に入ったときだった。
小さな洋品店の販売員をしていた冨美に慎次の方から声をかけてきた。
「可愛らしい女の子がいるから見に行こう」と同僚に誘われて来たと慎次は冨美に告げた。
「そう言われて何度か店の前を通ってみたんやけど、あんまりきれいになってて気ー付かんやった」
「えー、わたしのこと~? そんなに変わった?」
「うん、めっちゃきれいになった。知ってるって言ったらみんな驚いてた」
遠まわしに交際を申し込まれたと冨美は思った。
「コーヒーでもってやつ?」
「うん、そんなとこかな」
デートとはまでは言えない街ブラをふたりは楽しんだ。
手が触れ合うよう、わざと身体を密着させる方向に傾けたのは、この時も冨美の方からだった。
「ほらっ、あのあたりに上がった花火を河土手から見てたんだね」
「そうだったっけ?なんだかあのころと変わったから・・・」
「そうよ、ひとりで花火見てたわたしに声をかけてくれたじゃない」
自然を装って手を絡めた。
いつの頃からか慎次は、冨美の手を引いて歩いてくれるようになっていった。
「慎次くんて足が速いから、一緒に歩くの大変」
「えっ、そうなん?気がつかんかった。ごめん」
他愛ない会話の中にも冨美にとって幸せが満ちていた。
当然次はプロポーズの言葉を口にしてくれるものと冨美は、またしても待った。
暫らく会えない日が続いたある日の午後、慎次から呼び出された。「決心してくれた」冨美の心は沸き立った。
ところが口から出た言葉は「俺、結婚したんだ」だった。
慎次は許嫁がいながら冨美と手を繋ぎながらデートをしていた。
「そうだったの、体調を崩して入院でもしてるかと思った」
極めて明るくふるまってみたものの、冨美の心はボロボロに傷ついた。
「ねぇ、奥さんてどこで知り合ったの? どんな人?」
「うん、家を継ぐことになって資産家の女と見合いさせられて。俺んち名前だけは地主やけど赤貧洗うがごとくなんや。仕方なくな」
そんな慎次だったが、婚約とか結婚と言われても冨美には諦めきれなかった。
「ひょっとしたら資産家の嫁なんかとは上手くいかず別れ・・・」「子供が生まれなかったら・・」「性格の不一致」と、さまざまな理由を妄想しては慎次と結ばれる日を待った。
「そうだ、毎日近くで顔を合わせるようになったら」そんな邪心と言おうか、軽い気持ちで地主の慎次の下僕に当たる、小作の遼の家に嫁いだ。
押しかけ女房だった。
遼は女に対しては最低の男だった。
ガタイが小さい癖に自己顕示欲だけは人一倍強かった。
おまけに性欲旺盛というほどでもないのに、やたらと女を抱きたがった。
女を組み敷き、身動きが取れないようにしておいて挿し込むと終わったときに素直に従うようになる。
自分の持ち物が女に通じたと錯覚を起こし、それがまた次の犯行に繋がった。
その対象が地区の中学に通う女の子たちだった。
学校の帰りが遅くなった女の子を橋の下や繁みに影に引きずり込んでは犯した。
泣き叫ぶようなことはしなかった。
みながみな、覚悟を決めたように言われるまま下腹部を差し出し、遼を迎え入れている。
遼にしても街の風俗嬢を抱くより余程良かった。
それというのも熟成した女と比べ未通というのは狭かった。
ガタイが小さい故に未通こそサイズに合っていたからである。
問題が発覚しなかったのはひとえに地区の風習にあった。
自分たちの親でも、隣近所の異性と密通し、終わった後はお互い様と口を濁す。
それを観て育った子供たちにとって男女の睦み事は、さして騒ぎ建てするほどのことでもなかったのである。
冨美がこの男に目をつけ、結婚に踏み切ったのにはわけがあった。
それがこの弱みだった。
遼が女欲しさにうろついていたのを見つけ、上手に誘って身体の関係を持った後、学生に卑猥な行為を強要したことをネタに強請り、結婚を迫り嫁いだ。
嫁いでわかったことは、この村では向こう三軒両隣が、ろくに生活力もないのにことごとく張り合っているという現実だった。
地主は小作を目の敵にし、小作は水飲みを虐げた。
家に不幸が続いた水飲みの長男であり家長でもある悟は、辛抱し切れず村から逃げた。
嫁と幼い長男を残して姑である母親とともに病院に行くと告げ出かけたまま帰ってこなかった。
村の者は「あのままじゃ、悟のやつ今に逃げ出すぞ」と噂し合い、まるで手ぐすね引いて待っていたふしがあった。
百姓、つまり田畑を耕すということは女子供の手に負える代物ではない。
残された母親は子供のために鍬を手に取ったが小さな畑のひと畝耕すこともできなかった。
たちまち水飲みの家は行き詰った。
「ねぇ遼さん、頼むよ。ほんのちょっとの間貸しとくれな」
今日は米一升、明日は千円と小作の家に無心に来た。
「そうは言われてもなぁ~、ウチも手いっぱいなんだ。まぁ仕方がない、今度だけだぞ」
最初の頃だけは良い顔をして遼は水飲みの妻美也子に、女房冨美の陰に隠れてこっそり申し出てきた量より大目に手渡し、わざわざ自宅まで見送りしていた。
「うん、あんたんとこも大変だ。とにかく気を落さんと頑張るんだぞ」
「本当に、恩に着ます。いつかちゃんとお返しに上がりますから」
息子一人だけの家によその男を上げるわけにもいかないから、自宅の灯が見えるところまで見送ってもらうと美也子は遼の手を取って頭を下げ、自宅に向かった。
遼は元来た道を引き返すそぶりをしながら美也子の家に忍びより、壁の隙間越しに中を覗き見し隙を窺った。
「ちくしょう、早くしやがれ」
藪蚊と戦いながら美也子が一日の汗を流すため、破れた壁の内にある風呂に入るため脱ぐ瞬間を待ち、それをおかずに扱いた。
「相変わらずいい身体してやがる。悟なんかに抱かすにゃ勿体無い」
風呂を終わって着替えるのを待って自宅への道を帰って行った。
「あれじゃまた借りにくるわい。そんときゃちょこっと触るぐらい・・・へへへっ、たまらん」
ところが、積もり積もって返済の目途が立たなくなると、打って変わって身体を要求してきた。
「いくらなんでも、仏の顔も三度までっていうじゃないか。返す当てがなけりゃ・・・わかってるだろう?」
拒めば長男が掛けて寝ていた布団まで剥ぎ取って持ち帰る有様だった。
「返してほしけりゃ、いい返事まってるぜ」
「いくらなんでも、それだけは勘弁しとくくれな。後生だから・・・」
美也子は泣く泣く遼の申し出を受けた。
「子供が家出待ってるんだ。早くしとくれな・・・」
「何をお高く留まってんだ。ちょちょっと吸わせてくれって言ってるだけじゃねぇか」
「余所の人が見たらなんていうか・・・お前さんもそこんとこ良く考えてくれな」
それでも美也子の抵抗にあい、唇を奪うのに数日を要した。
「お前も旦那がいなくなって不自由してたんだろう? どうだい、吸われた感想は」
「何言ってんだ。借りたもの帳消しにしてやるっていうから吸わせたやっただけじゃないか。お前こそ冨美さんとご無沙汰じゃなかったんかい?」
美也子は殊の外強気に出たつもりだったが、なにもかも忘れて抱き合い唇を貪り合えば衣服も乱れる。
遼に鍛え抜かれた胸に乳房が押し当てられ、身体が擦れ合ううちに衣服からはみ出し、こぼれた。
「震い付きたくなるほど真っ白なきれいな肌してるじゃないか。こりゃあ遠目で風呂に入る姿を観るよりずっといい」
「なんだい、いやらしいたらありゃあしない。壁の隙間から裸を見るだけじゃ治まらなくなったとでもいうのかい?」
「お前ってやつは。気がついてて・・・」
唇を奪うと次は胸だった。
「あっ、何するんだい。まだ許したわけじゃないよ」
「口を吸われなきゃ言うことが訊けないとでもいうのか」
唇を奪い続けているうちに美也子の胸が肌蹴始めていて、そこから覗く乳房が、乳首がまぶしかった。
「・・・んん、だめったら!そこは・・」
唇を奪いながら、半ば強引にその肌蹴た胸に手を差し入れ乳房を揉みしだいていた。
「すごいよ。こんなすごい女をほって出ていくなんてな」
「あの人は帰ってきます。だからあの人に見つからないうちに・・・」
全身を久しぶりの男に羽交い絞めされている。
美也子の強引さというより抱きしめ奪おうとした男に抗いきれず身を揉んだことで遼の心に、身体に火が着いた。
「帰るまでの辛抱を仕込んでやるだけだよ。黙っといてやるから一度コイツを銜え込んでみろ」
美也子の下腹部に火のように火照った遼の分身が強く押し付けられた。
「あ~ たまらん。すごいよ美也子。もうこんなに熱くなってるじゃないか」
「もう・・・もう・・・」
もはや夫婦の閨とかわりない、どちらかというと甘い攻防に変わっていった。絡みつく下半身を美也子こそ躱そうとしないばかりかピッタリ寄り添うような仕草を見せたのである。
遼の背中に回した手が、次第に腰に下がってきて、やがてピッタリと分身を花芯の中心に押し当て膨らみを割れ始めた窪みに押し付けはじめていた。
「誰かに見られてる・・・こんなことして、知らないから・・・責任とれるの?」
遼は美也子の下腹部に手を滑らせた。
性を十分熟知していた人妻の弱みに付け込んで、ついに美也子の口から要求の言葉を吐かせ、ここから先はこのまま身体を重ねなければ治まらない状態にまで攻めきった。
「ほら、触ってごらん。美也子のことを毎日想い続けるあまりこんなになってたんだよ」
美也子の手を取って遼は己の股間に導いた。
「ああ・・・すごい。ごめんなさい維持張って、待ってくれてたのね」
「待ったよ。気が狂いそうになりながら待ってたんだ」
「うれしい・・・ちゃんとしてね」
萱の生い茂る草むらに夜更け、美也子を呼び出し月明かりの中で遼は美也子への想いを遂げるべく全力で凌辱した。
村の誰もが一度はお世話になろうと狙っていた抱き具合のよさそうな美也子を、小作の遼が真っ先に頂いたことに、その夜は酔いしれた。
「うっうっうっうっ・・・!」
美也子の腰が躍った。
腹腔が沸騰し、腹内圧が上がった。
「んむむ・・・むううう・・・」
頭を精一杯後ろに倒し、胸に響くような声を上げながら美也子は遼の亀頭冠を壺で吸引してくるのだった。
吸引力の強さがそのまま耐え続けた年月を物語っていた。
油断すれば射精感が沸き起こる前に抜かれてしまいそうになるほど肉球を使った搾り込みが強かった。
誰も見ていないことを良いことに、これ以上の恥辱はないというほど開かせ割り込み、美也子をして、久しぶりの男の味に泣き叫ばせた。
遼はついに美也子を乗りこなしたと安堵した。ところが・・・
「ねぇ、わたしのこと、大切に想ってくれる?」
「当然だろう?誰よりの大切だよ」
美也子も負けてはいなかった。
「なら、これからも必要なもの、頼むわね、わ・た・しの遼さん」
身体を要求されるたびになにがしかの金か米を媚を売って持ってこさせた。
小作の家とて他人を養うほど裕福ではない。
それでも美也子は生きるために娼婦の如く媚びて要求した。
持ってこなければ他の男に身を任すと脅しまでした。
「遼さんとわたしたちのこと、みんな知ってるみたいよ。今日○○さんに誘われちゃった。ねぇ、どうしたらいい?」
「断れ!ダメに決まってるだろう?お前は俺のものだ」
事実、遼の隙を見て言い寄る男には甘い顔をしてわざとついていった。
「わたしのこと、みんななんて言ってるの?教えてくれたら・・・」
科を作って誘った。
「あの野郎!おれの美也子に・・・」
そうするたびに遼は凄い剣幕で美也子を叱咤し、狂ったように抱いた。
水飲みの耕作地は山間の急斜面を切り開いた僅かばかりの田畑しかない。
日の出は遅く、逆に日の入りはとても早かった。
捨て置けば野面積みの石垣は谷底めがけて崩れ落ちてしまう。
おまけに耕地は土が硬く、水源がなかったためろくな野菜ができない。
雨が降らない日など、谷あいから水を担ぎ上げて散水しなければならなかった。
それに加えて獣に食い荒らされれうことがあり、収穫は自宅で食べるのにも事欠いた。
美也子はひとりでこれをこなした。
必死だったが、とても生活費を捻出できるものではなかった。
子供はそれでも育った。
学費も増えれば、食用も日増しに足りなくなる。
その分を密かにほかの男に言い寄って、遼との関係をちらつかせ、貢がせた。
噂はたちまち村の男衆の間で広まった。
そのため美也子と遼の関係は冨美に好意を寄せる、ある男の陰口で冨美の知るところとなる。
月夜の晩になると遼は、なけなしの金と米を抱えて萱の原に出かけていく。
冨美はこっそり後をつけ、ふたりが睦み合うさまを出来うる限り近寄って見聞きした。
恋してやまない慎次との夢は成就できないのに夫は水飲みの美也子とねんごろになり、楽しんでいる。
美也子のあられもない声を聴きながら、いつか自分もそうなりたいと最初の頃こそ慎次に向かって冨美は情念を燃やしていた。
今日こそと思ったその日に慎次が夏祭りの話題を振ってきた。
冨美に夏の花火の、そのあとに続く苦い思いが蘇った。
慎次こそ、冨美を裏切り続けたことを棚に上げ、冨美に再び密事に「誘わせ」ようとしていたのである。
何事につけ我慢・辛抱してきたのに、取り残されたのは結局冨美だけだった。
侮辱だった。「呪ってやる」鬼になった。
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親と子
紗江子は依然として帰ってこなかった。
紗江子が消えた当初から、思いつく限りの足取りを追ってみた。
貞子は砂防堤の工事現場に何度も足を運び土工の少年を探したが、紗江子が行方不明になった前日から姿を消したまま出勤していなかった。
元々アルバイトに毛の生えたような便利屋的な扱いしか受けておらず、期待はしていなかった。
仕事に出ようが出まいがさして生活に変わりはなかった。
それにも増して、現場で働く仲間・・と言えるのかは別にして、少年い期待など持ち合わせていなかった。
だからこそ余計に荒んでいたのだろう。
何処で寝ているやらわからないような生活を、もう中学の低学年の頃から送っていたのである。
それに付き合わされた紗江子もまた、野宿同然の生活を送っているとみられた。
警察や消防団に頼もうにも、貞子自身少年と知り合うことができた、その事情が事情だけに躊躇した。
ただひたすら、無事に帰ってくることを信じて待つしかなかった。
こんなことを言ってはなんだが、
純一ならその時のことを話してくれるかもしれないと、身勝手な考えで離れを訪ねたが鍵が掛かっており、案の定部屋の中のものはきれいに運び出されていた。
ここ数日、誰かが住んでいた気配すらなかった。
おそらく襲われた翌日には親から厳しくとがめられ、母屋に移って生活しているのだろう。
最後の望みすら断ち切られ、どこをどう歩いて帰ったかも覚えていない。
灯りに消えた暗い部屋で、ただぼんやりと待った。
探しつかれ、諦めかけた夏休みも明日で終わろうという日になって、紗江子はボロボロの身なりで帰ってきた。
土工の少年に廃村の中を連れ回され、唯一焼け残った小屋と、その周辺を逃げ回りながら野宿をして過ごしていたという。
紗江子や純一を襲った時には恐ろしいほどの腕力を発揮した少年も、夏の日照りと空腹のためほとんど動けなくなり、木陰から木陰へと渡り歩きながら逃亡していたという。
純一に暴力をふるったと言えども、そこは少年の一時の感情、警察に追われるかもしれない恐怖から咄嗟に逃げ出したらしい。
何処へ逃げようにも、開けた場所を目指したら簡単に見つかると思い、人の立ち入りがほとんどない廃村を目指したと言った。
結局山越えして辿り着いた廃村近くの小屋で動けなくなり、小屋に残されていた非常用食料を食べ尽くすと、野草などを口にしながら命を繋いだという。
たまたま生きて帰れたのは、紗江子の発した一言からだった。
学校が始まるから帰ると告げると、一緒に村に連れて行けと言われ、少年を引きづるようにして村に引き返してきたと言った。
村に辿り着くと、辺りの畑一面に夏野菜が実っていた。
少年はそれを思う存分口にして、這う這うの体で廃屋のようになった生家に辿り着いたという。
「あのねお母さん、あの人の家にはもう食べ物なんて何も残ってないんだよ。何か作ってあげたくても味噌も醤油すらないんだ」
少年の置かれた現実を目の当たりにして、紗江子は逃亡して以降、初めて泣いた。
「裏山から枯れ木を拾い集めてきてお湯を沸かし、それで身体を拭いてあげたの」
紗江子は少年を布団を敷いて横にさせ、寝付くのを待って帰ってきたと言った。
「大丈夫よ。お母さんが明日朝早く様子を診に行って、ついでに食べ物を届けておくから」
言い聞かせて初めて紗江子は貞子が沸かした風呂に向かった。
着て行った服は洗濯してもとても使えそうにないので紗江子が風呂で着替えを済ますと捨てた。
飢餓状態の人間に一気に食べ物を与えると命に係わる。
そこで貞子は炊き上がっていたご飯をおかゆ状に柔らかくし、ほんの少量与えて寝かしつけた。
親子ふたり、久しぶりにひとつ屋根の下で熟睡することができた。
二学期が始まっても紗江子は立ち上がることさえできなくなっていた。
若いとはいえ、よくぞここまで帰ってこれたものだと、貞子は神に手を合わせたい気持ちになった。
紗江子に、土工の少年お家を聞き出し、お見舞いがてら食事を届けに行った。
都会と違って周囲の目が光っている。
貞子は移動に車を使わず、脇道を潜むように歩いた。
少年お家はかつては庭であったろう所が人が隠れてしまうほどの丈の夏草に覆われていた。
家は傾いで玄関戸も開け閉めできないようになってしまっていた。
貞子が嫁いだころ、確かに妙な噂を聞いたことがあった。
小作だった少年の家は周囲から冷ややかな扱いを受けていた。
いたたまれなくなった父親が最初に出稼ぎに行くと家を出て帰らず、残った母親は村の誰かの手籠めにされ、捨てられたことで村にはおれなくなり、足手まといになる子を置いて夜逃げしたという。
だが誰も、夜逃げするこの家の女房を見たものはいない。
薄情なことに、手籠めにした男は名乗りを挙げなかったばかりか、村人も誰それとわかっていながら知らん顔をした。
女を探そうともしなかった。
我が子を、こんなところに置き去りにして出て行った親はどんな気持ちで逃げたのだろうと思った。
爺様の野辺送りが済んだ後のことを思い出していた。
村人は、酒の勢いを借りて募り募った欲情を吐き出し始め、集団で街から来た女を追って拉致したことを思い出した。
紗江子のことがあって初めて、女の失踪の原因が家出ではないのように思えた。
行き場を失った女の財産と身体を巡り、村人の欲望という名の集団心理が働いたのではないかと疑った。
学業に身を入れず、男と遊んでばかりいた紗江子でさえいなくなった時の例えようもない不安感は、子を産んだものでなければわからない。
一生懸命、家の手伝いをしたという少年を置き去りにする母だとは到底思えなかった。
幼い頃からろくな生活をしてこなかったことが幸いしたのか、少年は比較的元気を取り戻していた。
貞子が運んだ食事を、喜んで食べてくれた。
少年以外、誰も棲まなくなった家は荒れ果てていた。
貞子は食事を届けたついでに、部屋を小奇麗に掃除して帰った。
着替えがなくてはと、夫の着古しの中から比較的若作りの服を選んで持って行って着替えさもした。
紗江子が元気を取り戻し、学校に出かけて行った日、少年もまた仕事に戻ったらしく、食事を持っていったが留守だった。
「おかしいわねぇ。仕事に出かけるなら書置きぐらいしてくれたらいいのに・・」
貞子は仕方なく、メモを残して立ち去った。
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和子が村を嫌うわけ 女はすなわち利権争いの道具だった
爺様が薬のせいで眠っている間、何もすることがない和子は爺様に教わった道を気ままに散歩した。
奥まった村では休耕田を活用し野菜を育てていた。
主に機械が入らない小さな耕地だ。
そんな中に、一旦育ち始めると比較的手のかからない、つまり草取りの必要ないカボチャの類は良く作られていた。
育ち過ぎたかぼちゃのツルは畑を飛び出し、道に這い出る。
そうならないよう、畑の持ち主は事あるごとにツルを丁寧に畑の中央へ向け捲り込む。
その日は雨上がりに強い風が吹き、何処の畑でも伸びに伸びたツルが道にはみ出していた。
和子が散歩に出かけた先の畑でもツルは元気に伸びて道の行く手を阻むようはみ出している。
散歩する和子の後ろから付近の農婦らしい女がその脇を通りかかり、はみ出したツルの先端に付けた実ったばかりの小さなカボチャを、当たりに視線を飛ばしたかと思うと、それと気づかれないよう実の下の方を蹴飛ばした。
蹴飛ばし具合が強かったのか、カボチャは茎が折れて実はあらぬ方向を向いてしまった。
一旦傷がついたかぼちゃの実は良品として売れない。
畑の持ち主を、カボチャを恨み蹴飛ばしたことは、よそ者の和子でさえ見ていてわかった。
普段は何気ない挨拶の中にも笑顔を絶やさないように見える良心の塊のような村人の、本心を垣間見たような気がして寒気がし、その場を急いで立ち去った。
数日後、気が滅入るような行いのあった道を迂回するように散歩していた和子は、荒地の窪みで争うような人影を見て立ち止まった。
ふたりは何故か、萱の生い茂った草むらの向こう側で争っている。
物陰に身を潜めながら近寄ってみると、組み伏せられているのはあの時の農婦だった。
ということは、組み伏せているのは畑の持ち主に違いなかった。
畑の持ち主は爺様によると、この辺りでも相当裕福な土地持ちらしかった。
組み伏せられている農婦はあの時見た貧農に違いなかった。
「俺はあの時近くの田んぼで雑草を抜いてたんだ」
「あんなとこからちゃんと見えたんか?」
「ああ、見えたとも。お前がカボチャ蹴飛ばすのをな」
「なにお、このクソ親父が!」
組み伏せられた農婦は懸命に押さえ込まれた肩口の手をどけようともがいた。
そうはさせまいと男が力むうちに農婦の胸が肌蹴はじめた。
そう豊かではないが、真っ白い乳房が露わになった。
「何すっだや!」
いきり立った農婦が押さえ込む地主の股間を膝でしたたかに蹴り上げていた。
「うお・・・」
悶絶したはずみで地主は、農婦の耳元に顔を寄せ、覆いかぶさる形になってしまった。
華奢な農婦に立派なガタイの地主が押し返せるわけはなかった。
女の耳元で呻き始めた唇が、次第に首筋にかかった頃には金的の痛みも治まりつつあるとみえ、次第に妙な雰囲気に変わっていった。
男女が縺れ合う諍いである。
「あっ、なにを・・・」
押さえ込んでいた手が農婦の乳房を捉えていた。
回復した男の腰が、男の大事な金的を蹴りあげたすまなさに委縮する女の腰を割って深くめり込んでいた。
「ああ・・・待って・・ここじゃ・・」
事は次第に絡みに変わっていった。
服を身に着けたままの農婦の下半身めがけ、男の股間が遮二無二押し付けられた。
金的蹴りで女への思いやりとか遠慮の縛りが消え、待ち望んだ女へこの機会を利用して貫いてやるという想いだけが残ったからである。
和子の場合であってもそうだが、人妻であればなおのこと、絡みが始まると時間とともに、そのどちらが責めてどちらがそれに応じているのか見当もつかなくなる。
そしてその想いがあっさりと通じた。
「あん、あああ・・・もう・・・」
荒地の中の情交は、最初こそ男が女を組み敷いて詫びを入れさせていた。
ところが揉み合っているうちに女の様子が微妙に変わり疼きが見て取れるようになり首筋や乳房への責めだけで逝きはじめ、本気になって男に絡みついていった。
長いふたりだけが感じあえる愛撫に身を揉み始めた人妻が耐え切れなくなってついに蠢き始めていた。
力任せに迫る男の下半身を手探りでどうにか脱がせ、自らの下腹部を難儀して衣服を脱ぎ晒すと、先ほどまで自らを弄り続けた男根を摘まんで擦りあげ、雄々しくなったところで芯部にあてがった。
そうしておいて、深く挿し込めるよう太腿を割ると身体を九の字に曲げ、両足を高く掲げたあと、腰に回して引き寄せた。
「早く!!ちょうだい」
許しを得た男の勃起が勢いをつけ深くめり込むのが見えた。
ゆっくりとした捏ね回しが始まった。
「あああっ、いい・・・」
地の底を這うような燃えたぎる喘ぎだった。
懸命に頭上に衣服をかぶせ、唇を重ね声が漏れないように工夫する男の男根をあられもない女の腰が弄っていた。
「○○子、こうしてほしかったのか? こうか?」
男は幾度も挿し込み角度と深さを変え、襞を亀頭でまさぐっていた。
「あん、もう・・・わかってたでしょ? ○○さん、奥さんとどっちがいいの? わたしのこと好き? ああ・・・だからもっと強く・・・あん、そこ・・」
抑圧された柵を逃れ、高く繁った萱に隠れ潜み一時の快楽に溺れる男女の姿がそこにあった。
街でなら夫婦は夫婦として、不倫は不倫として個人の分別で大人の恋愛を謳歌できるものを、向こう三軒両隣の見張りが厳しいものだから、こうでもしなければ恋は成就できないのだろう。
それだけに一旦始まった情事は激しく目を覆いたくなるような卑猥に満ちたものがあった。
始まりは全身が異性を屈するべき凶器となって相手に襲いかかっていた。
それが次第に、相手に渡すべき愛を伝える行為に変わり一体化していった。大自然の中でそれぞれに連れ合いを持つ者同士がひとつに溶け合いたくて相手の中を懸命にまさぐりつづけていた。
そして、男は女の中に何かを見つけるたびにそこを責め、女は泣きながら詫び、男を更に深く求めた。
お互いを確かめ合うためか、体位を幾度も変え結合部を確認し合っては燃えている。
地に伏せ、潜むようにして行われていた絡みは、女の欲情が極まりはじめると次第に周囲に晒すがごとく姿勢を高くしていった。
後背位にうつると女は尻を高く掲げ、周囲に結合部を誇らしげに晒した。
女を逝かせきると、次は男の番だった。
女を立たせると立位で絡んだ。
こうなってはもはや萱は何の役にも立たなかった。
遠方からでも結合部はまるみえになっていた。
下方から突き上げられ、ガクガクと尻や下腹部を揺らしながらも女は、必死に男の首根っこに両手を廻ししがみつき、耳元に唇を寄せ煽る言葉を投げかけていた。
少し離れた場所からでも興奮する息遣いまでもが聴き取れた。
待ちわびた情交に女は我を忘れて悶え苦しみ、すがりついて絶叫していた。
始まった当初は和子も物珍しさと行く末を観たくて凝視していたものが、こうなってくると話は別である。
それをまた誰かに見られでもしたら大ごとになると、そっと元の路に這い出そうと振り返った瞬間、突き刺すような視線を感じ一瞬凍りついた。
和子自身が悪いことをしていた訳ではないが、咄嗟に地面に伏せてあたりを見回した。
「だれかに見られている」女だてらに白昼堂々と他人の情事を盗み見していた羞恥に、耳たぶまで赤くなるのがわかった。
男と女が縺れ合う場所から相当離れてはいるが、明らかに農婦の夫とみられる人物が藪に隠れ、草刈りをしているふりをして冷静に成り行きを伺っていたのである。
夫と見られる理由は、振り上げた鎌をあたりかまわず振りおろし、まるで当たり散らすように何かをめくらめっぽう叩き切っていたからだった。
小さなカボチャに始まった事件は、地主と小作の間の支配する側とされる側に立った恋慕を確認し合う情交に、そして寝取られた恨みに変わった。
今、支配される妻側の夫はその恨みを視線に込めて、する側の男を睨みつけていたのである。
和子が間違ってもこの村に住めないと思ったわけがここにあった。
生活と恋愛を切り離して考えるゆとりすらない。
女はすなわち利権争いのカギになっていた。
見た目にはわからない階層が今も息づいていて、表面的には近代的な話し合いと金銭でかたをつけたかに見え、裏ではこっそり情交を結ばせ解決を図っていることへの冷ややかさを知ったからである。
見栄えの良い嫁は、婿にとって自慢である反面 地主の餌食にいつなるとも限らない危うさをはらんでいた。
そのバランスで村は成り立っているといっても過言ではなかったのである。
この地区でも稀代の富豪で通っていた爺様の生家も、爺様の酒と女道楽で往時の資産をほとんど失っていた。
これと思った他家の嫁を力ずくでねじ伏せ、挿し込んできた爺様。
ところが、気分良さの酔いに任せて女が欲しがるものはなんでも投げ与えてきた。
小さな紙切れ一枚で田んぼが数枚消えていったのである。
嫁ぐ家が繁盛するための道具として扱われていた。
それでも皆が爺様を避けて通っていたのは、少しでもうまく立ち回れば、残った財産を、その地盤をかすめ取れるのではないかという目論見からだと婆様が、こっそり教えてくれたことがあった。
最初の頃こそ、婆様の 失ったものが良く言う妬みだと、取り合っても見なかったが、この現実を目の当たりにしたとき、和子にして心底肝が冷えた。
だから爺様の野辺送りがあった日に、和子は人目を忍んで村を抜けようと試みたのである。
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岐路に立つ
そこに待っていたのは廃村のお宝を掠め取ろうとする連中だった。
全裸で現れた女に、欲情を剥き出しにして襲いかかった。
遊び疲れると、奪ったお宝と一緒に街で叩き売られた。
正一は僅かに遅れて小屋に辿り着いたが、探せる場所としてはそこ以外になく、諦めて街に舞い戻っていた。
和子が小屋に運ばれたのはそれから数日後のことになる。
彼らは何事につけ痕跡を残すようなまねはしなかった。
運ばれてきた和子も、まさかそこに美紀や正一が立ち寄ったなどとは知らず、助けを求めて逃げ回る中で村の連中に弄ばれ一旦は使い捨ての如く放置されていた。
その和子の、救出と言おうか脱出に手を貸したのが土工の仲間の少年だった。
大人の連中の末席に据え置かれ、あの夜和子を浚う手伝いをさせられ、使い終わった和子に大人の連中に言われるままに挿し込むことができたひとりの少年は、そのえもいわれぬ感触が忘れられず、事が行われた昼日中、再び小屋を訪れコトに及ぼうとした。
山から脱出したくても方向感覚が定まらず、ふさぎ込んでいた和子の目の前に、年端もいかない少年が突然立った。
昨晩は和子にとって鼻を摘ままれてもわからないほどの漆黒の闇の中での情交が繰り返された。
目の前に立つ少年が、まさかその最後にのしかかり、和子をして延々情欲に苦しめてくれた男とは気が付かなかった。
漆黒の闇の中では、目に見えるものよりむしろ身体で感じるものの方が正確な場合がある。
和子が放心してしまうほど情欲を感じた男を、爺様と同じような年嵩だと勘違いしたのも無理はない。
むしろそのことが幸運を呼んだ。
和子は少年に向かって素直に街に案内してくれるよう頼んだ。
眩しいほどの光の中で見る和子は、少年にとって美しい女神にでも見えたのだろう。
素直に和子を、村人の目を警戒し、避けつつ脇道を通って街へ案内してくれた。
もうこの坂をまっすぐ下ればそこは街という場所で、和子は案内してくれた少年に向かってお礼のつもりで身体を開いた。
「あの小屋に来てくれた時からわかってたよ。本当はこれが欲しかったんでしょう?」
助かったという安堵のあてずっぽうだった。
少年は導かれるままに和子に押し入った。
コトの最中に和子は何度も少年を見返した。
欲情が湧き起こるかに思え、のけぞりかけて目を逸らした瞬間、現実に引き戻された。
決死の覚悟で抜け出そうとした街がそこにある。帰りたい気持ちが頭をかすめ咄嗟に、悶えて逝く演技をしていた。
少年が果てると和子はそそくさと身支度を整え、街へ下っていた。
姿が見えなくなるまで見送った少年は、村への道を引き返していった。
双方が相手の棲む方向に向かわなかったのは分別だった。
生きてきた世界が違えば、そこに住むため人の心も変わらなければならない。
和子にとって、村で出会った男たちは確かに身体の相性は良かった。
だが、その生活習慣があまりに違うため、閨で深く睦み合うことができたとしても、到底それに合わせて生活する気持ちにはなれなかった。
少年とて同じで、高台から見下ろす煙る都会の空の下で、たとえ和子の身体に毎夜お世話になれたとしても暮して行ける自信はなかった。
お互いが元居た棲家に舞い戻っていた。
街を後にした3人のうち美紀を除くふたりは元の生活に戻った。
和子も、会社に詫びて正一と同じ職場に戻っていった。
お互いの根底にある気持ちを知って、顔を合わせても素知らぬ風を装う毎日に変わった。
回りまわって、結局知り合う前の位置に戻ったことになる。
美紀だけがゆくあてもなく、色町で飼われていた。
それが命運を分けた分岐点だった。
来る日も来る日も情熱を傾け、男たちが身体の上を通り過ぎて行った。
正一をはじめ、村の連中と契ったときのように情熱を傾けることなど一切なくなったが、その分演技だけはその時以上にこなせるようになっていた。
身体の上を通り過ぎる男たちに、時に罪を意識し、時に煩わしくも感じたりした。
それであっても「久しぶり」に身体が空くのは、時折体調を崩し、男衆から病院に連れて行かれた、その日だけだった。
男への憧れなどすっかり消し飛び、あるのはただ今日何本こなしたかだけの男衆への機嫌取りと、あとは詰所に貼り出されるグラフに現れた金の世界、見栄と意地だけだった。
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姦通の喜びを知った母娘
帰らぬ紗江子をひたすら待ち続ける、その混乱と空虚の入り混じった時間に、皮肉なことに改めて過去を振り返る時を持つことができた。
今の連れ合いと結婚する前、貞子は身分違いの男と恋愛関係にあった。
手を繋いだり、物陰に潜むようにして抱擁し合ったりする程度の淡いもので、結局双方とも決心に至ることなく、親の反対意見に押し流されるように別れていた。
生まれの貴賎、そのことで自暴自棄になったとき、その心の隙間に入り込んで、強引に身体の関係を結ばれて今の夫と仕方なしに結婚したのだった。
最初に付き合った恋愛関係の男と並んで歩く姿を、遠くから苦々しく盗み見していた今の夫は、だから貞子が恋人と別れたと知ると、まるで途方に暮れる女に癒しを与えるかのように目の前に姿を現すようになり、ある日の午後心の揺らぎを見透かされ付け入られて奪われた。
別れなければならなくなったときと女の時期が重なっていたことを、午後の野辺で今の夫に割入られて初めて気づかされた。
付け入られるようなそぶりを、今の夫に婚前にも、ましてや結婚してからも見せたことはないと、今でも貞子は思っているし、自身もあった。 いや、確信できたつもりでいた。
ところがそれが、今回紗江子を土工の少年と思われる男にさらわれ、彼らにしてみれば女としての自分と娘のどこかに熟れた部分が垣間見えたからこそさらわれたと思えたとき、その自身が揺らいだ。
彼は母娘にその時期が来ていると、どこかで気づいたんだと思う。
そうでなければその場で、純一と絡んでいたその場所で共に紗江子はリンチにかけられ、離れ付近にボロ雑巾のようにされ捨てられ転がっているはずであった。
考え込むうちに、ある思いに至った。
爺様との情交に至った日のことだった。
幼かった紗江子に乳をふくませる。
その姿に母性と、もうひとつ女が芽生え始めていたことを爺様はどこかで見て、感じて近寄ったのではなかろうかということだった。
「肥立ちはどうか」と聞かれた時、産後の体調はどうかと、まるで医療関係者に聞かれたような気がした。
尻をしゃがんで見られたとき、思わず広げて見せていたのもこのことからではなかったろうか。
幼子に乳をふくませるたびに、次第次第に乳首を強く吸われ、その痛みがやがて子供の巣立ちを伝える。
紗江子はあの時確かに強く吸っていて、乳首はその刺激に堪えかねひび割れて血が滲んでいた。
子供の巣立ちはすなわち次の子を孕む準備が整いつつある時期でもある。
その時期、男が自然体で脇に近寄ってやると次の子を孕むため、我が子から離れ、男を追うようになる。
追わせてしまえばワレメが勝手に男を迎え入れるべく潤むことに爺様は気づいていたんだろう。
時期も時期、身籠って半年も過ぎるころから夜の生活を断るようになっていった。
妻が抱けなくなった夫は仕事と称して夜の街で水の女と関係を結ぶようになっていった。
貞子とすれば、苦々しい反面、都合は良かった。
浮気ではない、遊びなんだと心に言い聞かせ耐えた。
だが、妊娠後期 夫婦の行為は控えめにと言われながらも貞子の気持ちは、実のところ治まらなかった。
腹圧がかかればワレメも始終開く。
そこから覗く部分がともすれば何かと擦れ火が着いたが、恥ずかしくて口にできなかった。
思えばこの頃から、欲しくても我慢する日が続いていたのだと思われた。
出産後まもなく、夜の床で子供をあやしている最中に求められたことがあった。
その時は、産後の経過が思わしくなく行為ができる状態になかったが、気持ち的には久しぶりの夫に来てほしかった。
ところが、出産で荒れたワレメを一見しただけで夫は気持ち悪がり、萎え、逃げた。以降手を差し伸べることすらなくなった。
子育ての疲れに加え寝不足で、心身ともに疲れ切っている最中であっても、溜まる物は溜まる。吐き出すため、夫は風俗と見られる女と手を切ってくれなかった。
苦しむ妻を置いて、夫は連日どこへやら出かけていって数日は帰っては来なかった。
再びも三度も耐えるしかなかった。
不信感と、持って行き場のない苛立ちだけが残った。
爺様がひょっこり現れたのはこの頃である。
身勝手な夫と結婚するきっかけとなったときのように、爺様はたとえ面倒な愚痴でも時間をかけて聴いてくれていた。
陽も暮れかけているというのに、時間を忘れて話し込んでいたこともあった。
その胸にすがるのに、それほど時間を要しなかったと思う。
傍らで十分に乳をふくみ、すやすやと我が子が寝た隙を縫って、爺様はまるで子供をあやすかのように子守に疲れた人妻の身体を抱き寄せゆっくりと割入って挿し込んだ。
夜ではない、昼日中のことである。
なぜに挿し込みを許したかと問われれば、それはおそらく愚痴を聞いてくれた爺様へのお礼ではなかったろうかと答えるしかない。
夫に見放された女の、どこかに守るべき貞操があるとも思えないほど夫婦仲は冷え切っていた。
挿し込みを許してくれたことへの爺様の感謝の体現こそ、逆にお礼を言いたいほどだったと、あの時は思って割入りが始まった後も表面的には抗いながらも身を任せるべく逃げなかった。
爺様は実に手馴れていた。
挿し込みが始まると緩やかに母である部分が消えうせ、逆に今こうなってしまっては困ることになる女の部分が爺様によって開かれていったような気がした。
その絡み合いがある時期に差し掛かると、どんなに抑えようとしても次から次へと身体中に火が回った。
子守をする母に向かってではなく、当初から母の任にある人妻を女に貶めて抱きたくて近寄ってきていたことに気が付き、抗ったはずであったが、爺様はそれを逆手にとってオスの発情に替えて行為を断行した。
押さえ込まれる中で、家や子供を護ろうとする鬼子母神の心とは反対に身体は男を得て般若の如く燃え始めていたことは確かだった。
久しぶりに男根が割入ってくれたことで常軌を逸していった。
こうやって冷静に考えれば爺様が懸命に火をつけようと身体中の、ありとあらゆる性感帯をいじくりまわして女にしようとしていたのではないかと思われる。
だが実際には爺様と繋がってしまったという既成事実に不貞行為を犯したという罪深さが加わって姦通の喜びを知ってしまったことがより大きかったというほかない。
初体験で夫が恋人から身体を奪おうとした時のように、爺様によって夫から再び奪われた時、えも言われない昂ぶりに身を揉んだ。
彼ほどに不貞・不倫というものは気持ちも身体も揺さぶるものなのかと、この時ほど思ったことはなかった。
上にのしかかる男を振りほどいてほしいと、脇に控える夫に懇願する一方で、もっと貫かれる様子を近寄って見てほしいとも願う自身がそこにいた。
寝ている子を起こさぬように声を爺様の手や唇で殺されつつも、我を忘れて泣き叫び爺様にしがみついていたことを、今になっても想い出して燃えることがある。
発情期にあっては他から奪われる状況になれば、そのスイッチさえ入れられてしまえば相手が誰彼というのではない。
火が着けば、もうそこからは誰であっても関係はなかったような気がした。
紗江子も、恋人の目の前で犯されると、その罪悪感と卑猥な嬌態になお燃えてしまったのではなかろうかと思った
思えば紗江子のその時期に合わせて姦通の火をつけてしまったのは母である自分自身ではなかったろうかと、娘が失踪した今、それが悔やまれてならなかった。
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女の本音と建て前 娘紗江子の失踪
母に純一との絡みを診てもらい、いけないところは母に純一を相手に実技指導してもらうつもだと貞子の昂ぶりが治まったときに告白し、母貞子にだけは了解を得ていた。
純一が母のことをどう思ってくれるのか、卑猥と毛嫌いされはしないかと、それだけが心配だった。
そこで紗江子は、離れの近くまで母と一緒に行って、情交が始まるまで母を外に待たせることにした。
一旦始めてしまえば、そこは若い性で中途下車はできないことをこれまでの体験から十分知り得ていた。
だから始まった気配を察したら、入ってきてと母には告げておいた。
紗江子は純一が灯りを消すのを待って部屋に忍び込んだ。
灯りが点いている間だと、紗江子の、女の気配でもしようものなら母屋から両親が顔を出しかねないからだった。
それでなくとも純一の両親は友だち関係の、殊に女性関係のことに気を揉んでいた。
変な虫でもついて、受験に差し障りでもあれば名家としての面目が立たなくなると口を酸っぱくして言って聞かせていた。
だから紗江子が純一を誘っても拒んで、頑として身体を重ねてはくれなかった。
だが、紗江子はどうしても男に抱かれたい時期でもあった。
母に目の前で恋人を寝取られ、その濃密な絡みに触れ、母の痴態を観たことで全身に火が着いていた。
そこで、純一が用事で母屋に行っている間にエロ本を出し、目の前に置いて実際は母の情交を想いだし自慰を始めた。
母屋から帰ってきた純一は、何気なく部屋に入り、それを目にしてしまって身動きできなくなってしまった。
紗江子はワレメがどうなったのか純一に確認を、それこそ耐え切れないといった顔つきで頼んだ。
チラチラと、スカートの裾で隠されてはいるもののパンティーを脇にどかし露出したワレメが見えている。
あともう少し脇にどけてくれたら、まるみえになる。
「もうちょっと詳しく見ないとなんとも・・・」 顔がワレメに吸いつけられるように寄ってきた。
そうやって、次第次第に近づいてきた純一の手を取ってワレメに誘い、とうとう身体を重ねさせた。
重ねさせたといっても、最初の段階は紗江子が純一の上に乗る体勢から始め、徐々に体位を変えて母の貞子が確認した形に移行(といっても紗江子が上手に体位変換を行ったのだが)した。
今回母が紗江子に見せてくれた大人の女の情交に比べれば、まだまだ真似事にすぎなかったが、純一はそれでも十分満足してくれていると紗江子は、その時は感じていた。
純一は紗江子にとって土工の少年より安全で純真だと確信が持てた。
男を味わうだけなら土工で十分だと思っていたが、母の姿を見て考えが変わった。
母に教えてもらいつつ、純一を土工の彼に負けないぐらいの男に仕上げてもらいたかった。
いつしか紗江子は純一に恋をしていた。
この時の紗江子は母貞子の、純一の本当の気持ちをまだ知らなかった。
純一が自慰にふけるとき、それはエロ本に出てくる女とか、紗江子自身が土工の彼と絡んでいる姿を覗き観てのことだと、ずっと決めてかかっていた。
純一が貞子が醸し出す情交が足りなくて疼く妖艶な人妻の肢体に憧れを抱いていることなど知る由もなかった。
母のため、わざと下着に精液を付着させ、それを嗅がせたうえで洗ってもらっていたとは到底思わなかったのである。
「ああっ、またやってる。お父さんも自分で洗ったらいいのに」
父親の下着の色や形になど興味を抱いたことはない。
単身赴任の父が時折小包を送ってよこすが、それがすべて使って汚れた下着だと紗江子は思っていた。
ところが実際には、訪販で逆に買わされた健康食品であって、送ってよこす理由は「金送れ」の合図だったのである。
定期的に母の貞子宛てに密かに届けられる婆様からの詫び料を、いつの頃からか知って集っていただけのことであった。
夫婦間は完全に冷め切っていた。紗江子が疑って詮索しないことは都合がよく、むしろ喜んだ。
母は母で、それを隠れ蓑に純一に密かに心を寄せ、通い詰めていたのであった。
かくして紗江子は忍び込んだ先で待っていてくれた純一と絡んだ。
植え込みの中から貞子はその絡みをそっと覗き見たあと、すぐにその場を離れ自宅に逃げ帰った。
娘の紗江子に純一との関係を知られたくなかった。
純一に対しても、娘紗江子と情を交わしているところを盗み見し、興奮が治まらなくなった母として、人妻としての姿を知られたくなかった。
純一に対し、熟し切った身体を娘と入れ替わりに与えようとするような卑猥な人妻と思われたくなかった。
嫌われることが何よりも怖かった。
純一との間は秘めた恋として、これまで通り続けたかった。
紗江子に挑みかかる純一の姿を・・・「あれはエロ本相手に自慰にふけっていた」・・・ことにしたかった。
その夜貞子は、身体が燃えたぎって胸がせり上がり、一睡もできないまま明け方を待つことになった。
辛かった。
苦しさに、何度純一を襲いに離れに忍び込もうと考えたことか知れなかったが身動きしないようにして耐えた。
けだるい身体に鞭打って、いつものように純一の食事の支度にかかった。
昨日の昼間、いつものように取り込んできた純一の汚れた洗濯物を洗い終え、紗江子には絶対に見つからないよう、秘めた場所に干し終え紗江子を呼びに部屋に行った。
紗江子は部屋にはいなかった。
昨晩、あのまま純一の部屋に泊まったかもしれなかった。
出来上がった純一の食事の持って行き場に困った。
もしもあのまま、純一の部屋にいて、夜通し絡み合っていたとしたら食事を運べば純一にそれと知られてしまう。
どうにも困ったが、さりとて捨てるわけにもいかず、恐る恐る裏を抜け、純一の部屋に忍びより中を小窓から覗き見た。
紗江子はいなかった。
部屋の中が荒らされ、傷を負った純一が片隅で小さくなって呻いていた。
慌てて部屋に飛び込んで抱き起し、介抱に当たった。
幸い怪我は打撲と裂傷だけで済んだように思えた。
部屋を片付けると、何も聞かず食事の支度をし、痛みに苦しむ純一のためにひとつひとつ口に運んでやった。
汚れた口元を持ってきたハンカチをおしぼり代わりにして拭いてやった。
食事を終えると寝かしつけ、部屋を出た。
例え純一が何も言わなくても、貞子には紗江子と純一に間に起こった事件がなんだったのか想像できた。
恐らく裏切り者の紗江子と純一を痛い目にあわそうと土工の少年が殴り込みをかけたんだろう。
紗江子はだから、その少年に連れ去られたに違いなかった。
後を追おうにも、どちらに向かって探しに行けば見つかるのか、見当もつかなかった。
紗江子の無事を、ただじっと家で待つしかないと貞子は思った。
女の本音と建前は大人であっても余程女遊びに長けたものでなければ理解できない、ましてや少年であっては尚更だった。
初潮が始まり、身体が心より先に成長し始めた少女には、恋心より欲情が勝ることがあった。
抑えがたい疼きの、どこをどうすれば治まるのか知りたくて仲間の少年を身体の中に誘い込んだ。
だから紗江子は、本当の意味での恋をしらない。
それが貞子の目にも芽生え始めたように思えたのが母の貞子の目の前で契って見せた純一との絡みだった。
どちらが上でも下でもなく、いたわり合うように身体の一部を結合させての絡みだった。
自分が土工の少年相手にワレメと男根を絡ませたそれとは異質のものだった。
紗江子はともかく、母である自分は恥も外聞もなく、娘の前であの時確かに男に溺れた、溺れきって欲しがって泣き叫んだ。
最初のうちこそ娘を暴力から救ってやりたくて、バールをワレメに突っ込まれ怯えている娘の代わりに自らの身体を開き男を誘い込んだ。
だが、誘い込んで絡みが始まると、徐々に女の奥深くに眠る 「久しぶり」 という耐え切れない想いに火が着いた。
少年も、生まれて初めて女に胤を仕込むべく身勝手な射出を渾身の我慢で堪え、逝かせきって後に子宮に向かってつけた。
「良かったわ」 身体の底からわき起こる本音だった。 その場限りの本音だった。
埋み火を消してほしくて尚も誘おうとワレメを開き、男根を口に含み奮い勃たせ挿し込ませ、腰を使って射出を弄った。
「・・・これが欲しいの? どうしたいの? ねぇ・・・」
あとは燃え上がる一方だった、そのことで男が勘違いをした。
「裏切りやがって!!」
バールを手にし、怒気を含んだあの時の少年の顔がちらついた。
同じことを、いやそれ以上のことをあの後紗江子に行ったに違いない。
誰に教わったわけでもない。
娘自身が自ら選んで歩み始めた道、男遊びだった。
その日一日、貞子は不安に覚えながら紗江子の帰りを待った。
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母娘痴態 母の娘への性教育
土木作業員の、娘紗江子の恋人を迎え入れた夜、夕食の片づけが終わって後は、もう寝るだけになった。
その時間であっても、股関節が外れそうな男根が膣内に居座り続ける感触はそのまま残り、眠れなくて困った。
欲しくて欲しくて、明け方まで狂いまわった。
横になればなったで体位を連想し妄想に掻き立てられ指が自然に秘部をいさめ、振れれば触れたで濡れそぼり汚れる。
そのたびにティッシュで陰部や掻き回した指を拭かねばならず、布団を汚したくなくて風呂場に立ってシャワーで流したりもした。
恥ずかしい姿を紗江子に見られたくなくて風呂場に手鏡を持ち込み、中を調べても見た。
彼に十分挿し込んでもらい、逝ききったはずなのに足りないと言わんばかりにワレメは主の意に反して充血し蠢きまわっていた。
「欲しい、たまらなく・・・欲しい」
男を知りすぎたことを呪った。
募る男への想いから異様に昂ぶりはじめ、その心臓の鼓動からくる嘔吐感なのか、胃から何かがせり上がってくるような不快感に囚われ、その原因をおおよそ知っているだけに人妻貞子をして一層恋に堕ちてしまったことを悩ませた。
結局その感触はその後3日近くも人妻貞子の身体や心を追い詰め、特に生活に影響を与え続けた。
言動は何とか抑えたが、思考がなにかにつけて緩慢に、ともすれば男根に向かってしまい、まとまらなくなっていた。
改めて男というものの、女へ与える影響の罪深さを女の身でありながら思い知らされた。
娘の恋人を借りた翌日も貞子は、受験生の純一に食事を何事もなかったかのような顔をして届け続けた。
たとえ逝かせてくれた当人でなくても、とにかく男の近くに身を置きたかった。
いざというときのため、パンティーも勝負用を身に着ける念の入れようだったし、化粧も心なし濃くし、コロンも気づかれない程度首筋に振りかけた。
彼を見る目が違い始めていることを自覚しながら。
食事を届ける時間は特に決めていないことが幸いした。
ひとつには時間を決めてかかると面倒ということもあったが、もう一つの理由に、時間を決めないで適当に訪れることで純一の身構えない生活を垣間見ることができるからであった。
受験勉強と称しながら、友達同士のささやかな集まりの後には必ずと言っていいほど純一は自慰にふけっていた。
それを見つけて、からかうのが貞子にとって最も楽しみな時間だったからだ。
うっかり射出してしまった下着などを持ち帰り、娘の紗江子に気づかれないようこっそり洗濯し、密かに届けてやることが楽しみで仕方なかった。
青臭い臭いを嗅ぐだけで花芯が火照るのが、肌が潤みを増すのがわかった。
青い果実が実ったら、真っ先に摘み取って味見をするつもりで大事に育ててきた。
いつか結ばれる。そう想うだけで淡い禁断の恋に似て、夫に相手にもされなくなった貞子の気持ちを、世間様の夜を待つ妻のように浮き立たせてくれていた。
夏休みということもあって、おやつ代わりに何かを持っていけば純一も喜ぶかもしれないと、その日は朝食後の片付けを適当に済ませ離れに向かった。
近所の人の手前、留守宅の息子の部屋に頻繁に出入りしていることが見とがめらはしないかと、常日頃から隠れ忍んで訪問していて、その日も密かに裏を抜け伺った。
タイミングさえ合えば、身体を与えてみるのもいいかもしれないとまで思いながらである。
子窓の外から中を覗き込んで、中の純一の自慰でも見ようかと思い覗き、貞子は驚愕した。
純一が誰かを組み伏せ息を荒げ揉み合っている。
咄嗟に加勢しなければと大きな窓を開けかけて足を止めた。
純一が組み伏せていたのは娘の紗江子だった。
よく見ると紗江子は、貞子が土工の男の子を相手に繰り広げた痴態と同じことを純一に向かって行っていたのである。
あの日、恋人に抱かれそこなった紗江子は、馬鹿にされたことに腹を立て、一旦自宅に逃げ帰ったが思い直し後を追って行って、母と恋人が情交を交わす様子を見ていたことになる。
それよりの何よりも、貞子が土工の少年に行った痴情は貞子としては欲情のあまり勝手に身体が動き行ったことだから意識など無く、記憶にももちろんなかった。
その、記憶にも残らない実の母の痴態を、娘の紗江子は克明に記憶し、そっくり真似ていたことの末恐ろしさだった。
しまったと思ったが遅かった。
運んできた食べ物を地面に落としそうになり、慌てて貞子は自宅に引き返していた。
紗江子にとって、純一や土工の少年との情交は恋愛の一環だと主張すれば、若い時期ならそれで済む。
しかし、人妻が中学を卒業したばかりの少年相手に淫行となれば、ただでは済まなくなる。
ましてや夫にこれを知られれば、爺様に寝取られたごときの騒ぎでは治まらなくなる。
家に帰りついては見たものの、どうすれば娘を説き伏せられるのか、そればかりが気になって何も手につかなくなってしまっていた。
「紗江子が純一との情交を済ませ、帰ってきたらどうしよう・・・」
顔を合わせたくなくて、紗江子は思わず家の裏の藪に身を潜めようとして、暗がりからのぞいた腕に囚われてしまった。
土工の少年だった。
「紗江子のヤツ、俺に内緒で純一みたいなヤツと本気でヤッてた!」
目が血走ってた。
「お前らふたりまとめて突っ込んでやる」
手にはバールが握られていた。
脅されるまま、家の中に追い立てられた。
紗江子が帰ってきたのはそれから間もなくだった。
家の中の人の気配に気づいた紗江子は、襖の向こうの気配は当然それが恋人を奪った母の貞子と思って毒づいた。
「そこに隠れてるのはわかってるわ。見てたんでしょ? 彼を奪ってでも男を迎え入れたかったの? あのことがお父さんに知れたら・・・さぞかし面白いわね」
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、呑み始める音が隣室に潜む土工の少年と貞子にも聞こえた。
自宅では決してアルコールなど飲む娘ではなかった。
それを仕込んだのが、今脅されている土工の少年だと貞子は気が付いた。
親の貞子ですら気づかないうちに、紗江子はいっぱしの女になりきっていた。
「ねぇ、どうなの?そこにいるんでしょう?なんとか言ったら?」
椅子から立ち上がり、勢い込んで襖を開けて紗江子は驚いた。
半裸にされた母を押さえ込んで、元恋人はワレメに舌を這わしながら紗江子の毒づきを聴いていたのである。
逃げようと勝手口に向かって駆け出そうとした紗江子は安々と捉えられ、打ち据えられた。
ビンタに始まって、全身殴るけるの暴行だった。
泣きながら謝る紗江子の陰部に、持ってきたバールが挿し込まれた。
「ギャーッ、痛い!許して・・・」
「チンケなワレメを自慢してんじゃねぇ~よ。なぁ~、おばはん」
自分が行った虐待に、自分で恐れをなし、それを無かったことにしたくて更に虐待を繰り返した。
娘の窮地を救ったのは母の貞子だった。
逆上した夫をなだめすかし、情交に誘い込むのは常で、男の激情には慣れていた。
仁王立ちになって紗江子のワレメに挿し込んだバールで中を捏ね回す少年の股間を、やさしく摘まみ出し口に含んでいた。
どんな状況下であっても挿し込まれさえすれば燃えてしまう人妻の悲しい性を、娘のために貞子は使い始めていた。
激昂した男とは、違う方向にその激情を向けてやればすんなりと治まることを貞子は知っていた。
娘の卑猥すぎる肉体に激情した土工の少年は、人妻の誘いに簡単に男根を奮い勃たせた。
あとは蜜の味を教えてやるだけだった。
貞子は娘紗江子の見守る前で再び娘の恋人と絡んだ。
捕らえた獲物を前にしての激情に駆られた慰め合いの情交だった。
貞子はあらん限りの欲情を娘の恋人に娘の前でぶつけた。
純一によって裏切りの味を知った人妻と恋人は、裏切った紗江子の眼前に結合部をこれみよがしに突き付け契った。
貞子も土工の少年も滾り切っていた。
「こんなに凄いの久しぶり・・・もっと突いて! ああっ、逝きそう・・・ねぇ~、気持ちいい? ここへ入れたかった? 前よりずっと凄いの! 紗江子もちゃんと観るのよ」
母娘痴態 母の娘への性教育
恐怖と欲情がないまぜになった熱い視線を、紗江子は恋人と母の絡み合う結合部に向けていた。
母に変わって恋人の男根を受け止めたかったが、母と恋人が魅せる痴態から目が離せなくなっていた。
これまでに味わったことのない欲情に息苦しくさえなっていた。
原因を探しているうちに、母がさいなまされている場所と同じワレメが、母に負けないぐらい濡れそぼっていることに気づいた。
指で触れてみた。
全身に戦慄が走った。
狂ったようにクリを弄っているとワレメに、彼の指がめり込んできた。
「あんあん、あああ・・・」部屋が淫臭で満ちた。
「くう・・・ふんふん、わわ・・・ぐ・・・あああ」
母は逝っていた。幾度も幾度も母は逝っていた。娘が凌辱されている部屋の、その娘の前で逝っていた。
紗江子が夜な夜な盗み見たこれまでの父との、どの情欲の夜より母はメスになり切って発情し始めていた。
女として娘に打ち勝ち、我先に戦利品である男根を迎え入れたことで、一層燃えていた。
娘より先に残らずさ射出させたくて熟し切った身体が亀頭冠を求め狂っていた。
紗江子は思い出していた。
両親の淫行を観ながら、押し殺すような母の喘ぎに合わせて指をワレメや乳房に這わせた思い出がよみがえった。
それは世間の噂話から始まった。
出産したばかりの貞子は、夫が出稼ぎに行った留守に爺様に手籠めにされていたとの噂が立った。
爺様が亡くなり、その噂の真実は、確かに爺様は貞子を手籠めにしたのは事実だが、出稼ぎで夫がいなくなり淋しさに堪えかねた貞子が爺様を前にして子供に乳房をふくませたことから始まっていた。
その時爺様はひょいと腰をかがめ、貞子の肥立ちを確かめようと尻を見た。
これに勘違いした貞子は、衣服を捲り直に尻の割れを見せたものだから爺様の棹が熾り、「男の前に汚らわしい尻を見せおって」となり、迫りに迫ってついに物陰まで追い詰め、罰と称して挿したものだった。
一度挿し合えば、そこはもう他人とは言えない。
かくして爺様は暇さえあれば肥立ちを観に立ち寄り、その淫行は、世間の噂に上り密かに婆様が繰り出すまでになり、やっと爺様が矛を収め火は消えた。
ところがこれを知った貞子の夫は怒り、貞子を責めた。
紗江子が観た、夫婦の契りとは 爺様相手の挿し込みを夕食のとき責めながらそのまま淫行に持ち込んだ父に、告白したがため爺様との絡みを想い出し濡れ、夫の棹を爺様のそれと間違えて母は声を押し殺し喘いだ。
はたまたその喘ぎを父親が寝室でまで母親を苛め抜いていると勘違いした紗江子が覗きに来て、淫行をみてしまった。このことによるものだった。
始まりの、最初の頃こそ父が母を押さえつけ、乳房や陰部を弄りながら白状させ、告白に沿って同じように責めて楽しんでいたのもが、次第に疼き始めた母によって爺様の時そのままに淫獣の絡みに変わった。
その刺激の強さが癖になり、夫婦はしばらくの間、不倫を責め、ワレメを攻められ忘我の域を楽しんだ。
それを観て育った紗江子はいつの間にか情交にこよなく愛着を持ったというわけであった。
乳房が膨らみ、クッキリとワレメが裂け、陰毛を纏った女の形になると両親のように淫行してみたくて疼いてたまらなくなった。
服で擦れた陰核は、簡単に勃起するようになり、ますます男欲しさが募った。
望めども同級の男の子たちはどうしても奥手だった。
お医者さんごっこに誘われワレメを晒せと命じられ、期待に胸ふくらませて晒しても、何か小さな異物を入り口にチョコチョコ突っ込むぐらいしかしてくれなかった。
父に挿し込まれ喘いでいた母のように、本物を挿し込まれたくて疼いた。
それを抑えたくて未発達と知りつつ友達の包茎を誘い使わせた。
挿し込まれた時の、禁句を破った破廉恥さに恥じ、ふわっとする瞬間を逝ったと勘違いしていた。
初潮を迎え、取り巻きの男どもと情交を重ねるたびに知った性の深さや、父と母が絡み合う、それが卑猥で心も身体も浮き立つものだと思っていたが、そのどの欲情よりも目の前の母の絡みは明らかに違っていた。
母は男の胤を搾り上げようと腰を、全身を打ち振り、昨日今日教えてもらったばかりのはずの恋人はもう、流し込む胤の受け入れ口を開かそうと牡になりきって人妻の母を煽り立てている。
貰い受ける方と注ぎ渡す、その双方の身体が興奮にワナワナと打ち震え、来る時を待ってお互いを弄っていた。
土工の男の子の男根が射出のドクンドクンという刺激を母の貞子の子宮口に伝え始めたのだろう。
母の腹部がゆっくりと受け入れるため内に腰を曲げるよう折れ曲がって切っ先を煽っていた。
子宮口にピッタリと亀頭の先をあてがうべく肉球で亀頭冠を搾り男を煽ったことが、診ている紗江子にもわかった。
時は来ていた。
母の貞子が全身をしならせ、大きく口を開けてのけぞり息を吐き、時を伝えた瞬間、恋人の腰が強く母の下腹部に押し付けられ注ぎ込みが始まった。
男の尻の筋肉が引き締まったかと思うと蠢動し、皺袋が急激に委縮した。
「うっ、っむ。むん」「あああ・・・あんあん」
神聖な胤の受け渡しの、男女が全身を硬直させ、震わせ、お互いへ向かって性を絞り出す瞬間だった。
気が付けば紗江子も、しとどにワレメを濡らし、欲情の頂点に昇りつめ生まれて初めて小さく逝っていた。
朦朧とする思考の中で葬儀の日、母が何をしでかしたかを思い出していた。
その日は母、話が盛り上がったところで疼くワレメを晒そうとした。
ところが、酔った村の男のひとりが早出しじゃんけんと勘違いし、先に棹を晒してしまったことから場がしらけ、母はすんでのところでワレメを晒さずにその場を近所のおばさんに諭されて離れたというのが真実だと、当の近所のおばさんが話しているのを後に聞いた。
「お母さんの苦しみがやっとわかったわ」
紗江子は、逝ってなお恋人の棹をもっと使おうと媚を売る母に向かってポツリとつぶやいた。
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tag : 心臓の鼓動からくる嘔吐感欲情に息苦しく
下腹部を晒しそうになった女房の性
葬儀が終わって厄払いの席が設けられたその日、年端のいかない子供たちにも御呼ばれが確かにあったのだが、それは大人とは違う部屋が使われた。
男の子や女の子の中で、特に昔でいうところの元服を迎える年ごろの子は、こういった時末席に招かれると言おうか、多少の顔出しが許された。
男の子は家の跡目相続もあるので早い時期から席に加わり大人のしきたりや上下関係の大切さを教わる。
逆に女の子は宴もたけなわとなって気の早い男どもと、興に乗った女房連中に間で妖しい雰囲気が募るころ、膳を持たせて挨拶がてら宴席に顔を出すよう台所方が行かせるのがしきたりだった。
いわゆる男を鼓舞する役目を担わされるわけである。
村祭りと合わせ、男はもちろんだが女房連中にとっても久しぶりに味わう色事の臭いに、この日の夜だけは酔いしれるのである。
葬儀の夜に行われた女狩りは、ひとしきり男どもの間で自慢話として密かに語られた。
また、そんなことが村の衆の間で公然と語られたことによって、年頃の娘を持つ親御さんにとっては心配ごとの種が増えてしまったことになる。
足入れという世界に、どこか焦がれながら我慢する日々が、新たにこの日から始まったと言えよう。
あの日の宴席で疼いて仕方がないと下腹部を晒しそうになった女房の貞子はその日の夕方、数軒離れた近所の家の離れに煮つけを届けに行った。
母屋に暮す両親は共に昼間は街に仕事に出かけており、帰りはいつも遅かった。
離れに住む純一という男の子は中学3年生で、来年街の高校を受験すると張り切って勉強部屋に離れを使うようになって久しい。
学校が終わるとまっすぐ家に帰り、深夜遅くまで灯りを点け勉強に励んでいると両親は自慢していた。
灯りは確かに深夜遅くまで点いてはいた。
いたにはいたが、悶々として眠れなくて灯りを点けていただけで、勉強など皆無、エロ本との格闘だった。
実際はその部屋は村の不良グループの集会所みたいになっていたことを、両親は知らない。
段ボールに入ったエロ本の類を机の下に隠し、その上に教科書を並べていかにも勉強に励んでいますという風に装っていたが、時に女の子を引き込んで興味半分に抱きもしていた。
段ボールに中には、だから仲間内でいつでも使えるようにゴムも用意されていたことを、貞子は時折煮物を届けるふりをして上り込み、家探しして知っていた。
貞子はもうかれこれ3年も夫婦生活を持っていない。
それというのも貞子の夫の琢己の見つけてきた仕事が健康に関する商品の訪問販売で、近隣近在に顔を知られてしまっては売れなくなると遠方に飛ばされ、単身赴任みたいな形で全国を飛び回っていたからであった。
儲かるときには月100万ということもあるが、儲からなくなり始めると生活費で手いっぱいということになる。
そうなるとシマを変え、違った場所を売り歩くのであるから夫婦生活のなど二の次となる。
かくして貞子は留守宅を、ただ守るだけの女となり下がり、身体にも蜘蛛の巣が張りはじめていたのである。
それならば間男を引き込めばいいようなものだが、悲しいかな貞子にはふたまわり離れた琢己との間にできたひとり娘紗江子がいて、その娘が丁度純一と歳が近くよく純一たち不良グループの部屋に遊びに出かけていた。
貞子は知っていた。
あの葬儀の日を境に、この子たちもまた欲情が高まっていた。
なんやかやと理由をつけては三々五々に集まり、女の子を呼び寄せパーティーを開いて終盤に乱交するようになっていた。
紗江子はいつの頃からか純一たちのグループに中のひとりの男と身体の関係をこの離れを使って結び、その男に夢中になっていたのである。
そんな娘であっても、自宅に男を呼ぶこむことは琢己の手前 妻の貞子はできなく、かといって外で遊んでくれる男はおらず、悶々としていた。
ある日の暁闇、隠れるようにして出かける娘の後を不審に思ってつけ、純一の離れに入るのを見届け、何事かと家の裏の壁に耳をつけると、聞き覚えのある娘紗江子と思われる喘ぎが聞こえてきた。
我が娘が男と情交を結んでいる事を知り、聞き耳を立てつつその場で自慰にふけってしまってそれが癖になった。
それが母貞子が初めて目にしたひとり娘紗江子の女になった証の異性交遊であった。
情交が終わって出てきた娘は一散に家に帰っていき、そのあとで出てきた男の子もどこかに消えて行った。
時間が経ってのそりと現れたのが純一だった。
つまり純一は、我が娘紗江子と友達の男が情交を交わす間だけ部屋を貸し、どこかに身を潜ませていたと貞子には思われた。
「純一はまだ女を知らないかもしれない」
だから機会を狙って貞子は離れに煮物を届けていたのである。
「いつか純一くんのおちんちんを・・・」
気が付けば指が自然にワレメに伸び、乳房をまさぐっていた。辛かった。
食事を届けながら貞子は、純一が汚してしまった部屋をその日も掃除してやろうと顔を出しかけ、そこに紗江子と、あの男の子のいることに気づいて足を止めた。
純一がいないことを良いことに、開け放たれた部屋で紗江子と男の子は重なり合うようにしながら一心不乱にエロ本を読んでいる。
中学を卒業してすぐに土工になったという耳にピアスをし、金髪に染めた男の子は紗江子に向かってエロ本にある痴態をしたらどんな気分になるのかと盛んに問いかけていた。
紗江子がその気になって疼きだしでもしたら、それを見ていきり立たせ、情交を持とうとでもいうのだろう。
紗江子の身体に慣れきって、普通では勃起しなくなっているからこその嗾けと母の貞子は見た。
男に半ば強要され、おずおずと紗江子はエロ本のように痴態を作って見せていた。
スカートをたくし上げ、ショーツが僅かに見えるようにしてみたり、制服の胸元から膨らみ始めた乳房を、両手で脇を押さえて谷間を作って見せたりしていたが、男の子が飽きて本を投げ出すと気分を害したのか一目散に部屋から出て行って姿を消してしまった。
「ちぇっ、あのアマ。公衆便所のくせしやがって、俺様に指図かよ」
捨て台詞を吐くと、土木作業員の男の子は裏口を抜け山奥にある砂防堤の現場に引き返し始めた。
貞子は先回りして谷あいの小路の木陰で、いかにも農作業で汗みずくになった上半身の汗を拭き取ってるかのように、衣服の片袖を脱ぎ、もろ肌晒して待ち受けた。
通りかかった土工の男の子は貞子の姿を見つけ、背後から忍び寄って襲い、強引に衣服を剥ぎ取り始めた。
馬乗りになって、改めて組み敷いている女の顔を見て男の子は慌てた。
「あっ、あんたは・・・」
「どうしたの? わたしじゃ気分乗らないの?紗江子の方が良かった?」
男の子が貞子に向かって叫び声をあげた時には既に貞子の手は、男の子の腰を掴んで己の股の間に引き込みにかかっていた。
襲っていたはずが逆に襲われていることを知って慌てた。
慌てふためいて逃げようとする男の子のズボンを、まるで子供をあやすようにあっさりと脱がすと、未だ委縮している男の股間を、すっかりその気になった女陰にあてがい、揺り扱いていた。
林間の薄明かりの中で見つけてくれた乳房を、男の口にあてがってやってなおも問うた。
「ここ、ちゃんと確認してくれる?それとも汚くて見たくない?」
肩に置いた男の子の手を委縮に絡みつく女淫に導いた。
しっとりと潤って温かみの増した女淫はすっぽりと男の子の指を包み込んで襞で欲情を伝えてくる。
紗江子では感じたことのないふるふるに蕩けて欲情し切った熟女の壺だった。
先ほどまで男の子の分身を押し包んでいた人妻のワレメから淫臭が臭い立ち、分身はすっかり貞子の潤みで濡れていた。
それだけで男の子は委縮から解放され、女淫に割入ろうと蠢き始めていた。
先端が当てがわれただけなのに、もう男の子の切っ先から涙が出始めている。
「ふふっ、欲しくなった?もう少し我慢するのよ」
貞子は男の子の分身を一旦ワレメから放すと、自ら下に潜り込み委縮から解放したソレの先を唇で捉え咥内に啜りこんだ。
そうしておいて身体を反転させ、男の子の顔面上に尻を翳し、濡れそぼるさまを見せつけた。
男の子のソレは気持ちだけが先走ってバランスを欠き、心意的な勃起不全になったものだった。
射出させない程度に扱き、根元を握っては寸止めを繰り返しお互い全身から欲情がほとばしるまで我慢を貞子は男の子に強いた。
挿し込みは娘の恋人を寝取りたくなった人妻貞子の主導で始まった。
貞子の誘導で完全勃起したソレは射出することなく根元までスッポリト貞子の肉壁内に収まった。
肉球で棹や亀頭冠を包むことができ、全身を朱に染めて貞子は悶えた。
腰を使って若い男の窮屈なほど怒張した棹を幾度も舐った。
股関節が外れるのではないかと思われるほど、久しぶりの男根は逞しく思えた。
諦めきって忘れていた女の喜びを、まさか娘の恋人を寝取ることで取り戻せるとは思わなかった。
若者、殊に娘への嫉妬が貞子にして女を呼覚まさせていた。
娘の恋人の気持ちを熟女の熟れきった性で開放してやった貞子は、存分に若い男の子の分身を体内で味わった。
「ふう~~、気持ちいいわ~。何年振りかしら、これを味わったのは・・・」
小さな身体の貞子が大きな体の男の子を包み込むようにまぐわいを始めていた。
葬儀の席で垣間見た、大人の性とはこんなにも淫臭に満ちたものだったのかと男の子は改めて思った。
「よその奥さんを奪いことが、こんなに気持ちよかったなんて・・・」
「ふふっ、みんなが話してたの、こっそり聞いてたのね。そうね、夜這いとか足入れは、そりゃー気持ちいいのよ」
「お母さんは不倫って経験あるんですか?」
「爺様の噂聞いたでしょう?みんな内緒にしてるけど、いい女は餌食になってたのよ」
「訴えなかったんですか?そんなことされて」
「こうされて、訴える女がいると思う?無理じゃないかしら、だって気持ちいいことには間違いないでしょう?それとも途中で止める?」
貞子が騎乗を止めて引き抜きにかかった。
男の子はそれをさせまいと下から強引に突き上げ始めていた。
「ああっ、凄くいい・・・もっとよ、もっと突いて、中を抉るようにしながら突くのよ」
熟女の欲情が若い男に活気を与えた。
組み敷かれていた男の子は、やがて貞子の耐え切れないというような顔立ちから見て取れる意思によって体位を入れ替え上に乗って太腿を大きく割らせ、深々と幾度も人妻の深部を突き上げていた。
パンパンという音が、貞子のヨガリ声が森にこだました。
結局貞子の誘いに負け、挿し込んだまま2回連続で男の子は貞子の中に放出して離れた。
「凄く良かったわよ。たまには昼間、娘の留守にうちに来ない?この続き、したいでしょう?」
引き抜いた男の子のソレを愛おしげに口に含み、残液をすっかり搾り取ってからトランクスを貞子は履かせてやりながら聞いた。
その間にも貞子のワレメから男の子の射出した液と貞子の愛液が混じり流出が続いている。
惜しげもなく貞子は、それを男の子に晒し、妖艶に腰を振りシナを作ってなおも、来る日のために誘った。
「どうなの?紗江子の方が良かったとでもいうの?」もはや脅迫であった。
艶めいた問いかけに、困った顔をしながらも男の子は最後に被りを振った。
貞子の、逝ってなお欲望にまみれたワレメに、名残惜しそうに指を這わせ、男の子は現場に戻っていった。
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村の衆の餌食になった和子
不思議と涙は出なかった。
通夜が済むまで和子は、それでも爺様の近くにいようと離れの小屋に身を潜ませていた。
爺様とかくれんぼに見せかけ心なしか契った思い出の場所である。
だがこの日、本葬が始まると和子は密かに家を抜け出してこの場所に急いだ。
親戚一同が出そろう婆様の家には、いかに世間知らずとはいえ到底顔を出すことはできなかった。
爺様を見送りながら和子は、出会った時から亡くなる直前までのことを思い起こしていた。
爺様を揺り動かしたのも、自身がそれにつき従ったのも、深く考えをめぐらせると行き着く先はお互いへの嫉妬だった。
爺様が誰に嫉妬して和子を苛ませていたかというと、それこそが爺様が激怒した寝物語の男ではないかと思われた。
それを言うならわたしは誰に向かって嫉妬していたのかと、見送りの列を見ながら和子は考えた。
遥か昔に爺様がしでかした女遊びに嫉妬したかと問うてみた、そんなことなら男であれば誰でもやっていることと答えは簡単に返ってきた。
全てが終わった今となっては、もうどうでも良いことのように思われた。
遠くでは、野辺の送りが終わって三々五々参列者が婆様の家に引き返して来ていた。
着の身着のまま田んぼの畔で見送りをしていた和子にも、容赦なく夏の日差しが降り注ぐ。
あっという間に汗みどろになっていった。
着替えや荷物を受け取りに婆様の家に引き返すことなど出来よう筈もないことがわかる。
目立たぬよう、藪に身を潜めながら和子は、僅かでも平野が開けた方向に向かって移動を始めていた。
あの開けた山間を抜ければ、元居た市内に帰れるんじゃないだろうかと和子は思った。
何が疎いかと問われたら、このあたりが一番疎いかもしれないと、この後応えることになる。
和子が住む市内は、村を流れる川の下流域に広がる平野でなければならないが、和子がこの時向かった先は廃村などとは真逆の隣村に向かう峠越えの方向だった。
従って和子は、更に山の奥へ奥へと歩を進めていることになる。
朝のあの騒ぎである。
前日の、婆様がこっそり小屋に運んでくれたおにぎりの夕食以降、何も口に入れてはいなかった。
空腹より、村人に知られることなく抜け出すことだけを考えて歩む和子に、空腹感はなかった。
峠にさしかかると道は一気に狭くなった。
農免道が行き止まりになった代わりに林道が伸びていることなど和子が知る由もなかった。
うっそうとした杉木立に囲まれた山道は、真昼であっても薄暗い。
ましてや陽も暮れようとしている山道である、足元もおぼつかなくなっていった。
道に迷いそうになり、登りの中間にある分岐点でとうとう和子は歩みを止めた。
その時になって初めて、市内から来た道と違うことに気が付いたが、今日一日どこを歩いていたのかすら思い出せないでいた。
道を知らない以上、引き返す勇気すら湧いてこなかった。
仕方なく和子は、疲れていたこともあって路傍の石に腰掛け背を山際にもたせ掛けてまどろんだ。
藪蚊に悩まされながら眠りについた夢の中で和子を呼ぶものがあった。
爺様のようでもあり、足蹴にしてきた男たちであるようにも見えていたのもが、時間とともに次第にはっきりと姿を現して和子に覆いかぶさってきた。
和子が、己の欲得のため蹴落としてきた女たちの亡霊のような気がした。
わけても美紀は、呪いの言葉を吐きつつ一心に和子の首を締めてきていた。
あれほど控えめだった美紀の顔が、その恨みで権化と化している。
あまりの恐怖に、和子は飛び起き、一散に訳も分からぬ方向に向かって走り出していた。
逃げる途中、何度も転んだし、追いかけてきた亡霊に組み伏せられそうになった。
火事場の馬鹿力というのがあるが、この時の和子はまさにそれに似た力を使って追う怪物から逃げていた。
暗闇の中で追ってくる権化に、ついに捉えられた和子は、恐怖で潮を吹き、気を失った。
爺様の野辺送りが終わった後は爺様宅に村中の人々が集まって婦人たちが焚きだした精進料理を肴に酒盛りが行われていた。
村の葬儀とは、およそこの方式で昔から変わることなく営まれていた。
個人が無類の酒好きとあって、位牌の前で今回は特に盛大に酒盛りが行われた。
散々飲み食いした村の衆の、誰から云い出したわけでもなく姿を消した、あの爺様を墓場に送った和子を追おうという話が出た。
場の雰囲気を盛り上げようとした好きものの女房達がこれを面白半分にたきつけた。
なにひとつ娯楽もなく、毎日重労働に明け暮れる村であってみれば、唯一の楽しみと言えば隠れ潜んで行う凌辱と乱交であった。
村の女子が生贄になるわけではない。
街から来た、好きものの女が餌食となるだけの話である。
たとえ間違って孕んだとしても痛くも痒くもない。
いつもの如く、密かに処分して口を拭ってしまえば、村で起きたことは誰にも知られる心配はなかった。
どんなふうに凌辱を受けるのか、女房たちにとっても知りたくて、覗きたくて仕方がない。
だから酔いに任せて女房達は男どもにたきつけた。
酔えば色事の話が出るのは古今東西同じである。
情交に至っては、足入れが度々行われる村とあって誰も彼もその良さを知り尽くしている。
耳をそばだてているだけで、疼いて仕方がないとつぶやき、下腹部を宴席で晒しそうになる女もいたほどだった。
村故に、あの不文律が隅々まで働いており、和子は見失うことなく誰かが、こういうこともあろうかと見張り続けていた。
今こそ爺様に気兼ねなく爺様以外手つかずの女が抱けると、日頃女子に飢えていた若い衆は勇みきった。
宴席の座卓の下で、この話でいきり立った棹を好きものの人様の女房に見せつける輩もいるほどだった。
見せつけられた女は、そっと晒してくれた男をこっそりつねった。 「同じ気持ちよ」と伝えていた。
集団心理は抑えられないものとなった。
夕やみを縫って追手が秘かにかかった。
杉木立の中で錯乱状態にある和子を押さえ込んだのも、美紀の亡霊ではなく村の衆だった。
惑乱中、何度か村の衆は和子を押さえ込み勇みきったひとりが挿し込もうとしたが抵抗にあって成し得なかった。
和子と違って夜目が効く村の衆は暗闇でも和子の肢体を十分に確認できた。
だからこそ、襲いかかり 次々と剥ぎ取られて剥き出しになった見事な肢体に舌なめずりしていた。
組み敷かれ、押しのけようとしたときには既にひとりの男の挿し込みが始まっていたのである。
潮を吹いたのはその真っ最中であった。
最初挿し込みを図った男はしたたかに和子の噴き出した潮に股間を濡らすこととなる。
その時肩口や乳房を押さえ込んでいた男が気を失った和子を軽々と抱え上げ、山の奥の、かつての廃村の住人が住んでいた廃屋に、山を越え連れ込んだ。
集団がそのあとに続いた。
和子が噴き出した潮の臭いがまず、闇夜の中で凌辱に牙をむく男衆の欲情を掻き立てた。
濡れそぼった衣服が剥ぎ取られると、それを脇にいた男たちが一斉にひったくるようにして持ち去り、各々が戦利品の臭いを嗅ぎ、舐めた。
股間に押し当て、未だ乾かない潮を己の棹や皺袋に刷り込むものまでいた。
欲情した男たちの、その時の和子を巡る騒ぎは、例えば足の指を舐めるもの、耳たぶを齧るものなど まるで腐肉を食い漁るハイエナの如くであった。
爺様がいたればこそ、和子はこれまで安穏として暮して行けたのである。
気を失ってはいたものの、その夜和子に向かって、村の男衆は次々と襲いかかり情欲を体内に注ぎ込んで、明け方近くに去っていった。
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