リスカの少女 肌と肌を触れ合わせ、しばらくすると安心したのか眠りについた
あの時話してくれたことが本当だとすれば、出会って男の欲望のはけ口として嬲られ、終われば捨てられて行き場が無くなり帰ってくるものと計算すれば、もうとっくに部屋に入って休んでいる頃だろうと急いで帰ってきたが予想はものの見事に外れた。
やっぱりあれはウソだったのかとぼんやり考え、また平凡な日々を送ることになった。
何度か部屋に招き入れた典子の元に通って、苦労の甲斐あって再びその腕に抱けたが 直後に家族に怪しまれ会うのを拒否されるようになり、リスカの少女からもくぎを刺されていたから次第に足は遠のいており ことのほか暇だった。
自分の都合だけで朝っぱらから土足で人の部屋に入り込んできたくせに、慣れてくると何事につけ説教じみた口をきいた。
とりわけ典子の話になると口のきき方に 険がある。
「男が欲しい人妻さんでしょ? 上手にいろんなものせしめていくなんて汚いよ。 病気もらわなかった?」
言い終わるや否や固定電話の受話器を外し操作していたかと思った瞬間、大切に保存していた留守電を消した。
「もしもし、典子です。とりあえず電話しました」 それが消えた。
「毎日何やってるか知ってたよ。 こんな欲求不満の女に引っかかるなんて!!」
そういえば掛布団や敷布団のシーツが交換してあり、使っていたものは部屋にはない。
「シーツとか・・・」「うん、 正解!」 捨てた。気持ち悪い、あんなんでわたしに寝ろっていうの?と
部屋の主が完全に入れ替わったかのような態度だったが、言われてみればもっともだった。
悶々として眠れない夜など、いつ来たのか寝床に入り込んで小さな布団で一緒の寝てしまってて慌てたこともあった。
そのリスカの少女が消えておよそひと月が過ぎようとしていた・・・。
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リスカの少女
純一はこの頃、懸命になって誘って関係が持てた典子のことが頭から離れず、悶々とするうちに朝を迎え 明け方になって疲れからわずかに寝入るのが日課になっていた。
それだけに、新聞配達の元気な足音と何の屈託も手加減もないポストへの投げ込みに毎朝眠りを妨げられ、どうしたものかと思っていた矢先で、ドアをノックされた時間はおおよそ正確だったと思うし、そのノックが典子ではないかと勢い良く開けたのも覚えている。
だが、そこに立っていたのは見も知らぬ少女だった。
屈託のない笑顔を向けてきてはいるが、目の奥には それとは裏腹に悲壮感がみなぎっていた。
「誰だっけ? 部屋間違えてない?」
少女はドアを開けた途端に無言で入ってきた。
玄関土間から床までの高さが10センチにも満たないフローリング、そこに土足のまま入り込んでソファーに足を投げ出して座り携帯をいじった。
次から次へと誰かの連絡先を検索しているようだったが、それも数分で諦めるとその格好のまま寝入り始めた。
純一の会社は8時出勤で、マンションから会社まで歩いて1~2分の位置にある。
いくら早起きだといっても、まだ起きる時間には早すぎる。
ソファーで寝る少女に、純一が掛けて寝ていた毛布を持ってきてそっと掛けてやり、自身は掛布団だけで再び横になった・・・。
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