次第に崩れていった下薬研 (しもやげん) の結束 知佳作
これまで崇め奉っていた須恵乃さんが下薬研 (しもやげん) の掟を破り恐らく比葡の里の者であろう輩に現を抜かすものだから年下の真紀さんが須恵乃さんの指示に素直に従うはずもありません。
何事においても控えめだった真紀さんも須恵乃さんが何処かで見たことのあるような輩と例の草地で戯れているところを何度も覗 き見したものですからこの頃では先に立ってどこかへ出かけ組内での仕事をもおろそかにし始めたのです。
それに加え真紀さんの夫である新太さんも美澪さんの尻を追いかけまわし始め、下薬研 (しもやげん) は表面上穏やかに見えるもののこれによりこれまで抑圧してきたものが一気に爆発し結束が揺らぎ始めました。
真紀さん、いつのころからか部落内が共同で育てていたものを勝手に持ち出し比葡の里に売りに行き、その道中須恵乃さんの真似をし始めたのです。
須恵乃さんは気付かなかったようなんですが、あの雑草の生い茂る峰をほんの少し北に向かって小道を進むと更に大きな刈り落としがあるんです。 そこには比葡の里から通じるちゃんとした大きな道もありました。
真紀さんは比葡の里の連中によってそこに連れ込まれ弄ばれ始めたんです。 取りも直さず須恵乃さんや恋焦がれる堤雅和先生への当てつけでした。
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束縛から解き放たれる唯一場所、それが比葡の里への道 知佳作
巨乳爆乳の人妻たちが集まりました!
「買い物ついでに薬草の持って行ってきます」
このように告げて下薬研 (しもやげん) のを早朝に出立していった真紀さんでしたがあるところに辿り着くとプイッと道を逸れました。
そこはかつて下薬研 (しもやげん) の衆が苦心惨憺し一度は開墾したであろう道程の中ほどにある一見してそれとわかる広さを持つ休耕田様の雑草地でした。
閉じ込められた世界から一刻でも解き放たれると真紀さん、せめてもそこに夢を見いだせないかと通るたびに周辺を散策してしまうのです。
この時代結婚とは必ずしも自分の意思に沿うものでもなく、時には仲人と呼ばれる方が勝手に決めてきて親も立場の弱さから首を縦に振ってしまい泣く泣く嫁ぐこともままあったのです。
真紀さんの場合それほどでもないにしろ、まさか自分が鳥も通わぬと言われる山間の地に生涯にわたって閉じ込められるなどと夢にも思わず成り行きに任せ嫁いで来てしまったのです。
来てみてわかったのはその不便さ、何時しか閉塞感ゆえの孤独さにさいなまされることになったです。 将来を誓い合い共に生きていこうと言ってくれたはずの夫でさえ時に耐えきれなくなり、こともあろうに親に向かってではなくよそから嫁いできた自分に向かって愚痴るのです。 無理難題を吹っ掛けて来るのです。
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生活すべてが薬草頼みの下薬研 (しもやげん) 知佳作
自分たちの生活を脅かす入谷村に集落の村道入り口を塞がれたような格好となった下薬研 (しもやげん) では家を建てるにしてもそれなりの場所に建てざるを得ませんでした。 入り口を塞ぐようなやり方をするということは攻めてくる可能性もあるからです。
このためまず最初に建てた場所というのが入谷川を分岐点とし下馬見川を遡った最も谷幅が狭くなった地点でした。 これは入谷からの侵入路である村道に関所を設けるためでした。 これに当たったのが加納家です。
次に建てたのが上薬研 (かんやげん) から峠を越したばかりの丘の中腹に見張り小屋を兼ね建てました。 杉山征市さんと須恵乃さんが住まう出城の役目を果たす杉山家です。
そして最後が上馬見川の向こう岸、自分たちの耕作地が一望に見渡せる地に建てたのです。 これが加藤新太さんと真紀さんが住まう本丸ともいえる加藤家です。
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淋しさを一時でも忘れるための求めあい 知佳作
山間に閉ざされ雪に閉ざされと、兎に角何事につけ耐えるしかない入谷の地にあって老いて家族からも見放され薄暗い部屋でじっと虹の橋を渡るのを待つというのは下るのを看ているしかない史帆さんにとっていかにもつらいものでした。
その史帆さんとて今はもう親は亡く、伴侶であったご主人も亡くし天涯孤独の身、年齢こそ違えど淋しいには違いなかったのです。
しかも史帆さん、ひとりっ子に生まれさぞかしちやほやされたと思いきや親は本家という名に負け世間体を重んずるばかりで子育てには関心を寄せなかったのです。
生まれて初めて地元の人に本気で打擲され妙な気持が湧いてきたのは確かでした。 親が本気になって叱ってくれたとか褒めて教えてくれたことなかったからです。
末は良い婿を取って家を守ってくれたらそれでいい、農家の仕事なんか覚えなくていいと言われてきたからです。 生まれてこの方山間の孤立した集落に住み暮らしいながら自分のことを門外漢って感じてたからです。
こういった心境の変化はたとえプロとはいえ街でしか暮らしたことのないケアマネや介護士では推し量れないところがありました。
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意に染まぬ女 知佳作
下組 (しもぐん) の中 (なか) 家に出入りする漢どもにとって史帆さんは反発はするものの凌辱の果てハメてやりさえすれば従順な女と映りました。
認知が進んだかに思えた中組 (なかぐん) の長 長嶋定男さんの介護担当に当たった〇×ケアの本庄こず恵さんは認知の進行を止めようと見かけは非常に穏やかなれど、その実とても気性の荒い史帆さんを介護の補佐として、或いは性的対象として差し出したのです。
その定男さんにとって史帆さんは我が意どころか入谷村、いや周辺地区全般にとっても毛嫌いすべき女と映りました。
気持ちよくさせてくれる行為に溺れはしても相手に溺れるとか惚れるとかといった類の人間性を持ち合わせていないからです。
相手のことを慮ってオ〇ンコを差し出しているのではなく、自らの中の欲求の虫を諫める為にだけ行為に応じているのであって終わってみればあとくされなく右と左に別れられ、尾を引かない相手を最良と考えるような人情味などかけらも見いだせない女だったからです。
別段今は家計が疲弊しているわけでもないのに必要以上に相手からモノを引き出すことを快楽としている業突く張りが服を着て歩いているような女だったからです。
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