知佳の美貌録「女衒の少女の住む街 その変容」
あの枕芸者が棲む街と隣の大きな街とを結ぶ街道、つまり海辺に沿って造られた後に電車が走ることになる街道にほど近い場所にあり敷地面積は小さな児 童 公 園が造成できるほどの広さがあった。
今日ほどではないが、それでも駅前の広い通りを人々は賑やかに行きかっておりそれほどの広さの土地を持ち屋敷を構えるということはそれなりの権力を有していただろうことが駅前という特殊性からも損も広さや家の造りからも窺える。
それに比べ枕芸者、つまり娼婦にさせるべく売られてきた少女が押し込められている置き屋のある地区はかつて、松林が生い茂るただの砂浜。 風が吹いたと言えば家が所々壊れ高波が来たと言えば家が流されやすまいかと心配せねばならなかった。
漁師が海中に湧き出る湯を見つけたと自慢げに口にしたのだ。
その付近一帯を漁場とする漁師が最初に海中で温泉らしきものを見つけたと言い出した。
漁師は素潜りでハマグリを獲ったりイワガキを獲ったりする。 もちろん魚類もだが・・・
テーマ : 官能小説・エロノベル
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知佳の美貌録「遥か向こうに枕芸者衆の棲む街が見える」
その一般道とは田んぼの中のクネクネとした畦道でした。 女衒や少女時代の好子が棲み暮らした地区は多くは沼地であるのに対し置屋とか枕芸者の棲む温泉街は大川と海が運んだ砂州の外れにあったのです。
つまり女衒の住む市街地の地盤の多くは小さな小島と、それを取り囲む沼で出来ていました。
武士階級は埋まることのない山のすそ野を利用し屋敷を立てましたが庶民は明らかな持ち主の居ない沼地(この辺りは底なし沼 つまり釧路湿原のような湿地帯が多い)に山から切り出した木や竹、或いは土砂を持ち込み埋め立て、そこに掘っ立て小屋を建てて移り住んだのが始まりというような、街と言ってもいわば放浪者の集まり、未開の地でした。
故に年貢米の上りは天候と沼地の水嵩に左右され不安定で、その責めを負わされ城主が頻繁に入れ替わるというような、如何にも世情不安が蔓延するような、生活していくには誠に心もとない地でした。
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