惠 一期一会 第1話“四条河原町” Shyrock作
私が25才でタクシー運転手を始めてから、そうですね、もうかれこれ20年経つでしょうか。 長い間この仕事をしていると、それはそれは色々なことに遭遇するものですよ。 身が縮むくらい恐い目にもあった。人の情に涙したこともあった。口惜しくて眠れない夜もあった。孤独感に苛まれた日もあった……。 色っぽい話ですか?そりゃあ、多少はありましたよ。 私にとって、今までの人生の中で最高の出来事と言えるほどのこともありましたよ。 え?聞きたいですか?自慢話に聞こえるかも知れませんけど、お話してもいいですか? もちろん作り話なんかじゃないですよ。 全部本当にあった話なんです。 その頃私は35才で、出来事があったのは今から10年前にさかのぼります。 桜がまだ蕾の少し肌寒い日のことでした。 いやぁ、思い出すだけでもぞくぞくしてきますよ。 私にとってはそれほど鮮烈に記憶に残る出来事でした。 当時私は大阪のあるタクシー会社に勤めていました。 お客さんを京都に送ったあと、大阪へ帰ろうとしていました。 クルマは四条河原町から四条烏丸へと向かっていました。 とても賑やかな通りで道路はすごく混んでいました。
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト