「
寛治さん、あんたあの日儂の自転車から
ぶえん (生魚) を持ち去りんさったんじゃないかのう」
あの魚はあんたに渡すためじゃなく冨子さんに頼まれて持ってきたと言い張る
荒勘さん。
「あんた、儂が盗人働いたとでも?」
「うんや、そうは言うとらん。 ちゃんと帳簿に付けとる」
マスヱさんにお世話になったあの日、帳簿を盗み見た筈だと
荒勘さん。
「ほんなら文句無い筈じゃ」
「そこが大有りじゃ。 儂らがどんな思いで
ぶえん (生魚) を運んどると思うてか」
「売るためじゃろが。 ようけ儲けとると聞くぞ」
訪問したら留守だったからと台所に上がり込み適当な容器を見つけ
ぶえん (生魚) をたんと放り込んで帰る。 しかも
売掛帳簿には納めた商品より
数を増し書くのが
荒勘さんのやり方でした。 証拠が無いからです。
そう言ったやり口でも用いねば収支決算が合わなかったからでしたが、そんな商いでも
縄張りはありました。
「それをようも、山越えた安達さんに届けんしゃったろう」
どうせ女房の
珠子さんにいい顔したく掠め取ったろうと言い切られ二の句が継げない
寛治さん。
続きを読む
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト
tag : 寛治さんぶえん荒勘さん売掛帳簿数を増し書く縄張り珠子さん義道さん運搬自転車秘密の恋愛