シチリアの熱い風 第1話“マンデロの夕陽” Shyrock作
Il vento di cui la Sicilia e calda
夕暮れ時、私はシチリア島マンデロの浜辺で男の厚い胸にもたれていた。 彼の名前はジョルジョ。イタリアの男らしく髪が黒く彫りが深い。 あ、私ですか?私は早乙女イヴ、歳は25才。 失った恋の傷を癒すため、東京から旅立ってもう3週間が過ぎてしまった。 日本にいてもイタリアにいても本当は同じなのかも知れないけど、気持ちを紛らわせるには旅が一番だと思った。 10代の頃から夢見てたシチリア島への旅。 別れたあの人が「いつか行こうね」って言ってくれた島。 でも皮肉なことにあの人とではなく、たった1人で来てしまった。 こちらに来て観光をしているうちに知り合ったジョルジョ。 地図を広げ途方に暮れている私に、優しく声を掛けてくれたことが切っ掛けだった。 その後、彼はクルマで島内の名所旧跡を案内してくれた。 最初の頃はイタリアの男ってプレイボーイが多いと聞いていたから警戒心を緩めなかったけど、彼のエスコートぶりはとても紳士的だった。 出会ってから4日目、ジョルジョは休暇を利用して島の北側にあるマンデロという浜辺に私を誘った。 昼間あれほど青々と輝いていた地中海も、今は沈む夕陽を浴びて紅く映えている。 優しい潮風が吹き、私の頬を愛撫する。
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト