言われなくとも
寛治さんは知っていました。
入谷村が所属する郡部と安達家が所属する郡部とは場所的には近いものの山を挟んで全く別個で、安達家の郡部は入谷村のそれと比べはるかに海から遠く、従って
ぶえん (生魚) を扱うなどと言うことは役場付近以外到底無理だったんです。
それでも
珠子さん、惚れぬいた立派な体躯の
義道さんには魚をなんとしても食わせてあげようと、とうとう入谷村に出向きアソコを晒し代わりに
ぶえん (生魚) を手に入れて帰ってたんです。
従って彼らが扱う
ぶえん (生魚) とは主にワニ (フカ 鮫のこと) で冬場は煮凝りにして食べると美味だが夏場になると饐えて (ふいて 尿酸臭くて) 臭いを嗅いだだけで食欲が減退するほどでした。 それでも
縄張り争いは熾烈で、間違って一歩でも相手方に入ると取引に支障をきたすなどということもあったんです。
難儀して持ち込んだその貴重な
ぶえん (生魚) を
荒勘さんに断りもせず安達家に渡し続けていることを彼は怒ったんです。
「荒勘の、わりゃようも。
売掛帳簿に倍付けしよって、買うたもんはナニしようが儂の勝手じゃ」
「
寛治さんよ、ほんならあんたにはもう金輪際売らん言うてもええんじゃの?」
怒りに任せて
荒勘さん、地主に難癖をつけ始めたんです。
「珠子 珠子言うて、そんなにあの女 (アマ) のケツがええんか」
「なにお ちゃんがらめが。 おまんこそよその女房に手を出しちょろうが」
荒勘さんが鮮魚を持って回って来る時間はほぼ決まっていて、女房連中はその時間に合わせ山や野良から仕事を早めに切り上げて帰り
荒勘さんの来訪を待ち受ける。 家に誰もいないものだから
荒勘さん、女房は手籠めにするわ算用 (さんにょう) が解からないことを良い事に売掛台帳に好き放題ツケとして計上するわで嫌われていたのです。
「何処に証拠が、言うてみいや」
「おう、言うたるわい」
入谷部落は隣接する集落と滅多なことで交流しないため世間に疎く、従って行き場を失った者が入り込むにはまことに都合が良かったんです。 こうして入り込んだものの中に埼松家がありました。 元居た地区でこしらえた借財を踏みにじり
寛治さんを頼ってこの部落に流れ込んできたんです。
「こないだ美代子を訪ねた時じゃ。 覚えとろうが」
「いんや、儂はトンと」
「嘘つけ! あん女はきれいじゃが多少おつむが弱い」
それを良い事に自宅裏の山の中腹の間府 (まぶ 横に掘った穴) に連れ込み四つん這いにさせ尻から突き刺し良い声を出させ続けていたと
寛治さん。 しかも
運搬自転車にぶら下げてあった売掛台帳には確か、冨子さんに手渡した分まで付け足してあったのです。
「ふん、おまん見とったんか」
「見らいでか、盗人が」
「寛治よ、おまんが美代子孕ませ昭義の子じゃ言うて育てさせとうの、みんな知っとるぞい」
「何処に証拠がある。 えっ、言うてみいや」
こうまで言われ引き下がれなくなった
荒勘さん、とうとう間府 (まぶ 横に掘った穴) で感極まった美代子さんが口にした男の名を正直にそのまま言いました。 イク寸前、恋しい男の名を美代子さん、勘違いし口走てしまってたんです。
寛治さん、その瞬間引き戻せない悲壮感に飛沫いてしまったんですが・・・
「これでどうじゃ。 おまん、儂が美代子さん抱かなんだら おまんが抱いてやろうて忍んで来ちょったんじゃろが」
図星でした。
埼松昭義さんの釜がある山は
寛治さんの持ち物。 きれいで逆らうことなど無い美代子さんのアソコを専用物にしたいがため恩を売って、その代わり挿し込みは黙認させたのです。 夜逃げし、ようやっと家と土地が持てた埼松家にとって寛治さんは逆らえない存在だったのです。
寝取りが趣味の寛治さんでしたが
秘密の恋愛よろしく美代子さん、寛治さんに内緒で荒勘さんと夢中になってまぐわい始めており 寛治さん、間府 (まぶ 横に掘った穴) の小さな横穴に潜み寝取られ始めた美代子さんと荒勘さんの結合部を覗き見し睨みつけつつ耐え切れず〼ってしまったんです。
鍛錬された体躯から生み出されるエネルギッシュなピストンと人並外れた肉胴が美代子さんの肝心な部分を割り開き貫き歓喜の雄たけびを上げさせていました。
寛治さんでは到底敵わないほど美代子さんの乳房は荒勘さんの棹で興奮で豊かになり、乳首もまるで母乳でも噴き出すかと思われるほどビンビンに勃起していたんです。
野良仕事でもやらせれば男勝りの力を発揮する美代子さん。 その美代子さんの臀部が荒勘さんの肉胴をこれでもかと絞り上げご主人への不貞に 「いけん・・・それだけは・・・」 抗いながらも気持ち良さに負け腰をあらぬ方向に振り続けてたんです。
鍛え上げられた男女の
秘密の恋愛は飽くことなく続き、とうとう寛治さん美代子さんの尻が空くのを待ちきれず〼ったまま果ててしまいました。
ケチで通ったマスヱさんならいざ知らず、少し頭の足りない正直者の美代子さん、体躯や棹の立派さでこの時は荒勘さんの肉胴を選んでしまったのでした。