淫靡な疼き
久爾子の顔は瞬く間に汗ばんでいる。
「誰かが乗ってきたら・・・ 止めてあげて・・・」
加奈は息苦しかった。
「誰かが乗ってくる方が面白いんだ。 そうだろう? いつか加奈のアソコに入れて外を歩かせてみたい」
唇をゆるめた篠田に、加奈の動悸が激しくなった。
「朝から加奈とだけいいことをしたんじゃ、久爾子に悪いからな。 だから、加奈がいる間に逝かせてやろうと思ったんだ。 優しい男だろう?」
「んんっ! 強くしないで!」
「今日はしぶといな。 まだ逝かないのか」
「ああっ!」
硬直した久爾子が、その後、激しく打ち震えた。
法悦を極めたのが分かった。
「よし、許してやるか。 ここで悲鳴を上げられたんじゃ、まずいからな。 このまま切らないで何度も逝かせてやると面白いんだが」
ぐったりとした久爾子は、汗まみれになっている。
1階のドアが開いた。
加奈は唖然としし、エレベーターから降りるのを忘れていた。
篠田に手首を掴まれ、外に出された。
「面白いことは山ほどある。 ひとつずつ教えてやろう」
篠田はぐったりしている久爾子をエレベーター脇のソファで待たせ、加奈をエントランスホールの外まで送った。
タクシーが待っていた。
篠田はこれから部屋に戻って久爾子を抱くに違いない。
そう思うと、嫉妬と羨望と疼きで加奈の躰は熱くなった。
「今夜でも明日でも、また来ていいんだぞ。 たとえ私がいなくても、久爾子が相手をしてくれる」
篠田が意味ありげに笑った。
話したいことは山ほどあった。
だが、多すぎてかえって言葉にならない。
加奈は、ただ篠田に軽く頭を下げてタクシーに乗り込んだ。
半日足らずの間に篠田の虜になってしまっていた。
これから訪れる淫靡な未来の時間を思い、加奈は切ないほど昂っていた。