この矛盾は一言で言えば関係者だって止めなかったということは法で罰することは出来ないにしても同罪かその仲間的な目で見ている。 彼らはそんな感覚で見ていると言っても差し支えないと思います。 泥は当然被るべきだと暗に言われたようなものです。
理屈的には起訴や判決に影響を及ぼすことは極力避け・・・でしょうが。
司がもしここで署を離れ拘置所に出向き面会を求めたなら状況はうんと変わっていたかもしれません。 しかし頭に血が上った司はそれすら理解できず郷里に帰ってしまったんです。 仮釈のお金 (
保釈金) を払った以上お大臣は自分の方と決め込んでしまい
弁護士に連絡を取らなかったんです。 まあ取ったとしても
電話では無理でしたが。
底辺の生活とは悲しいものです。 中流階級からすればなんだその程度かと思えるようなことでも全てが高くつくんです。 社長に上手く取りなして情報を得たと書きましたが、実際のところ相手も千里さんを抱きたくて狂ってますのでそうは上手くいくはずもありません。
事務所の駐車場でプレゼントを受け取った際、社長はとっくに彼女の来訪目的に気づいていて、千里さんが車の外で貢ぎ物を受け取るとあたかも当然のごとく太股に手を伸ばしてきたんです。 これが欲しいなら黙って言うことを聞けとでもいう風にです。
貴重な情報とプレゼントを貢がせるためには仕方ありませんでした。 千里さんはそれでも自分から開くような真似はしませんでした。 抗わないと分かると社長は強気に打って出 半ば強引に太股を割らせクロッチの隙間から指を挿し込んで執拗に掻き回し時間が経過するとともに反応が始まり溢れ出た蜜をその指でたっぷりと絡め採ったのです。
満面の笑みを浮かべその指を鼻先に持っていき臭いを嗅ぎぺろぺろと舐め 「三日後の昼の賄いが終わる頃、な」 飲食店の近くに掃除担当のコーポがあるのでそこで落ち合おうというこの瞬間だけ通じ合う合図でした。
社長が約束した通り、その日に限ってコーポの掃除のヘルプを会社から頼まれました。 道具は既に置いてあったので千里さんは飲食店の仕事が終わるとそこに直行し掃除を終えて社長の迎えを待ちました。
社長の乗るクラウンが迎えに来てくれるとばかり思ってたら社用車の軽のバンが滑り込んできたんです。 先輩が行くというのを自分が代わりにと押しとどめ迎えに来てくれたんですが、乗るやいなや河川敷に向かい誰も来ない橋のたもとで再び同じことを始めたんです。 クラウンと違って窓にスモークはかかっておらず誰かが来たら丸見えです。
「長く勤めているとどうしてもこれが欲しくなるもんだ」 恩着せがましく自分のモノを摘まみだすと先に千里さんの太股の隙間に指を挿し込み掻き回し蜜が溢れたところで強引に引き倒ししゃぶらせたんです。
憎いのはこういった状況に追い込んでおいて小出し小出しに自分の過去について語り始めたんです。 千里さんが入らせられた署内のことにいやに詳しいので恐らくと思って付き合ってきたんですがやはりと言おうか社長も以前一度捉えられていたようなんです。
社長が口にしたのは署に
拘留された女ではなく刑務所に囚われた女のことについてでしたが、千里さんは
拘留中とても男のことなんか考える余裕すら失っていたんです。 社長がこうやって触ってきたからこそ思い起こせたぐらいなんです。
それでも社長にしてみれば中折れしてしまうような男根をちゃんとした反応をもって迎え入れてくれる女の存在は女囚と言わしめるほど興奮させられ、またありがたかったんだと思います。
セックスに至ったとしてもお互いそれなりの思いがあります。 気持ちよさはあっても方や判決に怯える千里さん、此方この程度の初犯なら執行猶予が付くと最初から分かってるくせに恩を着せにかかる社長。 社長が期限切れの食品や着古しを持って来たのも金品が絡まず合意の上でなら風営法に抵触しません。 それを良いことに社長は貢ぎ物と男根をちらつかせ千里さんを隅へ隅へと追い込んでいったのです。
ここを出ることが出来たなら今度こそ司の腕の中に飛び込んで幸せになろうと心に決めていたその千里さんを社長が横合いから手を伸ばしセックスの部分だけ奪ったんです。 弄ぶだけ弄んで誰でも知りえる情報を恩着せがましく垂れ流してみせたんです。
社長が脇にいる間は頻繁に泊りは社長持ちで安いながらもホテルでしたし着替えだってお古ではあるけれどそれなりの格好が出来ました。 しかしその相手が業界人であると披露された瞬間から千里さん、自分から身を引かざるを得なくなり縁が切れました。
かつての藤乃湯旅館からすればロハで嬲ってもらってお礼を言って立ち去るようなものです。 おまけに失業までしてしまったのです。
そこから先は所詮募集が出ていませんので夜勤のパートぐらいしかありませんでした。 スーパーに深夜か早朝に出かけ入荷した品物に値札をつけ開店に間に合わせるべく商品棚に並べる。 こう言ったことを連日繰り返しました。
しかしそれで頂く賃金は月にまとめてです。 それまでの間食いつなぐのにあの社長から頂いた賞味期限切れの食品で間に合わせるしかなかったのです。 スーパーは期限切れであっても有償でしか分けてもらえないんです。 いっそのこともう一度社長にとも思いましたがそこは我慢し足りない分は水を飲んで耐えました。 給料日を待たずしてそれも底が尽き始めました。
もうこれまでと鴨居に紐を掛けようとしたその時ものすごい音がして家が揺れました。 幸いにも首から紐が外れ床に投げ出されたんですがもうその時にはバックホーが家の屋根を貫きショベルの爪が部屋の中からでも見えるほど覗いたんです。
千里さん、何が起きたのかと家の外に出てみました。 庭に数人の土木作業員が居て千里さんが社長とねんごろになってる間に土地の処理法が決まり藤乃湯旅館の取り壊しにかかってる最中だったんです。 重機の運転手は千里さんが壊そうとした家から出てきても別に驚いた風もなく、ただ淡々とバックホーのアームを小屋に叩きつけていました。 ものの数分で小屋はぺしゃんこになってしまいました。
驚いてくれたのは周囲に埃が立たないよう散水していたアルバイトのおっちゃんでした。 親切なおっちゃんで住家を無くした千里さんに今はもう誰も住まなくなった
空き家を紹介してくれました。 申し訳ないと突貫工事用の夜食として出してくれた食べ物を分け与えてくれたんです。
まるでお化け屋敷かと思われるようなあばら家での生活が始まりました。 汚い箇所の掃除には慣れていましたので何とか住めるようになったのです。
掃除が終わり一息ついて藤乃湯旅館の跡地に行ってみると、もうそこは更地になっており
面影はすっかり消え失せていました。
辺りが薄暗くなるころ廃屋から姿を見せる女がいると噂が立ちました。 千里さんは路上生活一歩手前まで追い込まれていったんです。
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