瓦解
美紀夫婦には麻耶という高校3年の娘がいた。
麻耶はいつの頃からか付き合い始めた男と、半同棲している。
今回の父親同様、高校に入った頃から家に寄り付かなくなり、友達と称する仲間の家を転々と泊まり歩くようになり、複数の男と付き合っては別れ、そしてまた違う男と付き合いと、同棲を繰り返すようになっていた。
必要になった時だけ家に帰ってきた。
父親が家出したその日の朝は、なぜかしら帰ってきていた。
帰ってくる用事と言っても、せいぜい風呂に入って汚れきった身体を洗い、洗濯を終えている下着や服を、汚してしまったそれと取り換えに帰る、それに家中の、ありったけのお金を持ち出すだけなんだが、ともかく帰ってきていた。
美紀は、葛城正一と寝たことで心のつっかえが僅かに取れたような気がして、結婚以来初めて朝寝坊した日だった。
母親であり妻でもある美紀の、突然の変わりよう、 それを自分たちに置き換えたとき美紀が何をして帰ってきたのか、恐らく理解できたのだろう。
美紀の夫は、麻耶を捜し歩いたことがあった。
麻耶の友達という男女に情報を教えてもらい、麻耶が入り浸っている男の部屋を探し当て、血相を変えて乗り込んだ。
みすぼらしい部屋の片隅で、ここに住む男と麻耶は激しい情交を、父親に見られているとも知らず繰り返していた。
息をのんで見入る父親。
娘の麻耶と男は夢中になりすぎて見られているとも知らず、結合部を何度も角度を変えて晒した。不倫関係にあるものが情交するのとは違い、性欲旺盛なふたりのセックスは大胆だった。
その、横臥し弓なりに身体をしならせ欲情する娘の花芯に、覆いかぶさった男の隆起したモノが悠々と挿し込まれ、のたうちまわる白い肌を褐色のそれが抑え込みながら麻耶の合図、その射精の時を待っていた。
雄々しく腫れあがり青筋を立てた男根が白濁した泡状のものをまとわりつかせ、ピンクの肉襞に向かって性欲的にピストンを繰り返し、合図を送らせようと麻耶を責め立てていた。
見ているだけで股間が窮屈になるのがわかった。 ズボンの中に手を突っ込んで確かめると先走りが始まってしまっていた。
妖艶に秘部をうねらせ、逝きそうになりながら、尚貪欲に性を貪りたくて男にしがみつき喘ぐ娘の姿に、何も言えなくなりその場を去っている。
この時ほど、己を愚かだと感じたことはなかった。
情交を繰りひろげる娘の、成熟し切った秘部に悠々と挿し込まれた他人棒にまとわりつく泡立つ液を見せつけられ、喘ぎを聞かされたことで勃起してしまい、うかつにもズボンの中で発射してしまっていた。
他人のそれを盗むことへの罪の深さ、それは快楽の裏返しであり、娘の欲情した秘部に他人棒が挿し込まれ悶え苦しんでいたことさえ、彼にとって得も言われぬ欲情になり得たし、抜けた。許されるならもっと近寄ってみたかった。 が、それは一歩間違えば家族が瓦解する原因にもなり得る。
それでもなお、たとえまだ性を覚えたばかりの我が娘であっても、快楽を求めずにはおれないでいたほど我が家は性欲を求めていたのかと。 成熟し切って毎夜でも求めたい時期の美紀が夫に散々不倫を見せつけられた。そんな妻ならなおさらであろうと思った。
娘の卑猥さは父である彼の想像を遥かに上回った。夢精などとんと覚えていない父を、見せつけるだけで射精させてしまうほど淫乱そのものだった。 もしもあのとき、理性が働かなく、男が果てたあと見守ってくれたなら次にのしかかっていただろう。
それほどまで欲しくなった女だからこそ美紀という貞淑な妻がありながら、己が不倫を続けたことは棚に上げ、学業そっちのけで欲情する娘への怒りで頭が真っ白になったのを思い出していた。
人妻を抱きながら、美紀が自分の脇で寝取られる様子を想像し奮い立たせたことも幾度かある。
相手の女性は、それとは知らず普段以上に雄々しくなった男根に随分喜んでくれたものだった。だから妻の不貞は恐れもした。
そして昨日、その美紀は 明らかに自分が人妻を寝取ったときと同じような状態で帰ってきた。 あの、ものに憑りつかれたような姿を目にした。
娘の時と同じで、心行くまで男に抱かれた女というものは、中の何かが変化するのだろう、家を出て行った時と、妻が明らかに違うように彼は思えた。
一言聴けば良かったものを、結果が恐ろしくて聞けずにいた。
他人の男が妻の体内を占拠している。もはや亭主として居座る理由もなかった。居づらくなったものから家を出た。
美紀もまた、ふたりが消えたことを確認すると家を後にした。瓦解という言葉が頭をよぎった。
不貞を働いた以上、再び帰るつもりはなかった。謝りたかったが、夫は正面切って我が妻と叫び罵倒してくれなかった。それが淋しかった。
誰にも見とがめられることのない山間部を目指して、ひたすら乗り継いだし、歩いた。
あればかりのことで心を乱し、愛してもいない男を、どちらかと言えば自分から誘われるように仕向け身体を開いたのかと思うと悔しかった。情けなかった。
都会に住むと、人間の心は失われてしまうと感じ、それならいっそのこと田舎で土を相手に暮したら気持ちも変わるかもしれないと、行先も定めず出かけてきた。
日が暮れたら野宿でもするつもりだった。
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