婚約者への嫉妬
爺様には爺様なりの、日が昇る前に朝草刈りに出かけなければならなかったわけがあった。
ひとつには閨にこっそり帰ってきた爺様の様子をいぶかしんだ婆様の目を逸らす、小言を聞かぬことにあった。
若かりし頃より近郷近在では知らぬ者とてないほど狂性家で通っており、一度目をつけた女には必ず夜這いを掛けた。
爺様が悪いとわかっていても、足入れが元で離縁された女は数知れずだった。
だから婆様は泊めおいた女子が爺様に嬲られはしまいかと心配でならなかった。
忍び足で閨にこっそり帰ってきた爺様に、どこに行ったか聞こうとした。
爺様はそれを恐れ、そそくさと外に朝草刈りと称し逃げた。
足入れのしりぬぐいは全て婆様が行った。
警察に突き出されそうになったのを助けてくれたのも婆様だった。
だから婆様を怒らすと怖いことは身に染みていた。
いまひとつは昨夜婆様に処方されていた安定剤を、こっそり客人正一に盛ったことを咎められはすまいかと案じた。
薬が効いてくる時刻から和子を抱く算段だったからである。
薬はに吸う分しか処方されていない、数でも数えられたら、それこそ事だった。
だから逃げた。
和子を組み敷いて膣内に放出したかけた頃には婆様ならクスリの効用を終えている時刻のはずで、射精感が募り宙をにらんでいるうちに、和子の反応だけに集中するあまりそれを失念して警戒心を解いていた。
膣奥深く挿し込んで和子に絶頂を迎えさせることこそ、真の無垢表だったから、その逝ってくれた瞬間隣でかすかな物音がしたようで、相手の出方が心配だった。
「あ奴、オナゴと儂が睦おうとる様子を見てマスかいとったワイ」 これであった。
正一にしても、隣の部屋から聞こえる苦しげな声に、何事かと襖を開けかけて情事に苦悶する和子のワレメに爺様の男根が食い込んで悶え苦しむ姿をを目にし、あの有様はかつて堅いと評判の人妻だとは到底思えず、終末を見極めたいと見入るうちに股間に手を伸ばして夢中で擦ってしまっていた。
恥も外聞もなく親子ほども年の離れた客の和子を爺様が、連れ合い・恋人と同じ屋根の下で寝とるとは思わなかったし、和子は和子で爺様の女を扱う手技手法はともかく、有り得ぬ状況下での誘いに不貞を働いて、しかも負けて屈して、あろうことか婚前旅行に出かけた先で、これから夫婦になろうとする男の部屋に向かって股を開き、他人棒を受け入れヨガルとは、到底信じられなかった。
昼間、山中のふたりのいる婆所に近寄ったとき、目に飛び込んできた光景を、疑いたくとも疑いきれない自分がいて、寝入る瞬間まで悶々とし、ウソであってほしいと願い続けた。
人生のどの部分を取ってみても、現実にはあり得ないと、かたくなに信じていた。
釣り合わぬ相手同士のはずが、全くそれと感じさせぬほど獣のようなまぐわいを、何故か女が切望し続け、爺様も燃えたぎる女の淫靡臭に我を忘れて組み敷いて挿し込み全身を締め上げ何かを吐き出させようとしている。
ふたりの放つ、この淫臭もさることながら、地の底から湧き起こるような狂乱じみた雌雄の咆哮は部屋中に響き渡り常の男女の絡みとは異質のものがあった。
それ以上に正一を自慰に走らせたのは和子から溢れ出た液が棹やお互いの尻周辺に絡み付き、打ち付け挿し込むたびに醸し出す音だった。
暗闇なればこそ、音で聴くビチャビチャという音色は奪われたさまが余計淫靡に思えてくる。
その音を発するほど女を逝かせるためには、相当苦労して仕込まなければ溢れてこない。
女を抱きたくて狂う男に向かって鞭打つ音に聞こえた。
和子をあれほどまでに屈するとは、さぞかし男根の使い方が秀逸なのだろうと思うと妬けて射出感が更に募った。
それらが入り混じることによって、なお一層卑猥感は増し、正一は差込が続く中、寸止めに苦しんだ。
おそらくふたりは、特に爺様はこれらの全てに酔いしれることによって、更に欲情し、深く契ったのであろう。
情けないことに正一は、己の棹を握って爺様と和子の腰の動きや喘ぎ・荒い息遣いに合わせ扱き始めてしまっていた。
その陰部を貫く年季の入った男根は二度までも、あのつとめて高飛車だった和子を、どうやったかは知らないが、恋しくて後追いするまでに仕込んでしまっている。
正一がやっと探し当てた和子の弱点を、いとも簡単に爺様は探し当て、悠々と組み伏せ、逆に恐らく初手は貶められたであろう男根を欲しがって泣きつくまでに仕込んでいて、その挿し込みは悔しいながら恋人である自分が自慰に走ってしまうほど和子の体内に根を張って蠢いていた。
そんな襖の向こうの行為はAV動画では絶対に見られない、素人が本気汁を求めて醸し出す本物の肉欲であり、寝取られだった。
うかつにも欲情してしまって目が離せないでいるうちに和子は爺様によって絶頂を極め、その将来の我妻の表情や物腰に耐え切れず空間に向かって射出してしまい、畳にこぼれた精液を拭き取らなければと慌てた拍子にかすかな音を発し、一層声をかけにくくなって寝たふりをしてしまっていた。
良かったことと言えば、婆様が朝餉の案内に部屋に入ってきたとき、正一の棹から射出した液の臭いが部屋に立ち込めていたことで、婆様は正一と和子が情交を重ねたものと勘違いし、にやりと笑うと部屋を立ち去っている。
更によかったのは、遅れて起きてきた和子が、シーツを汚してしまったことを、誰と汚したとは言わず、素直に謝ったことにあった。
婆様は恋人同士の情の深さから招いた粗相と笑って見逃してくれたのである。
和子が爺様の朝草刈りの場所を聞いてきたときも、泊り賃代わりに慣れぬ手で手伝おうとでもいうんだろうと笑って見送ってくれていた。
和子は何食わぬ顔で部屋に帰ると鏡台に向かって懸命に化粧を始めた。
爺様に気に入られるようにとルージュもより上質なものをクッキリと塗ったし、ワレメや腋、更には乳房にアナルなど、あらゆる生殖武器にコロンを忍ばせることも忘れなかった。昨夜と同じように正一は襖の陰からこの様子を覗き見た。
それを瞬時に終えると、婆様に顔を合わさないよう、縁側から一旦裸足で庭に下り、改めて玄関に忍んで靴を手に持って家を後にした。
人妻が男のために着飾る、それをそっくりそのまま行い、和子は裸足のまま爺様の後を追った。
血相を変えて和子の後を追おうとした正一に「仲がいいのう。羨ましいことだて」とポツリと言っただけだった。
婆様は昨夜の続きを野辺ででも行うつもりなんだろうと、笑って見送ってくれた。
「仕込まれた疼きに昼も夜も忘れて身悶える女とは、こういうことだったのか・・・」
正一は和子の後を追いながら呻いた。
噂には聞いていたが、これほどとは思わなかった。
「爺様はもう一度和子を仕込もうと企てている。和子はそれを知って狂ったのだ。その様子を初手からもう一度見たい」
和子を追った原因を、悔しいが認めざるを得なかった。
挿し込みにかかった爺様の業もさることながら、仕込まれに行く和子がどのような状態になり、どのようにして股を開き、迎え入れてもがくのか「あの人妻だった女が自尊心をなくし、男にすがりつき情交を求める。それをつぶさに見て抜きたい」そう思った。
血相を変えて爺様の元に走り、追いすがる和子は未だ裸足だった。
正一の妄想の中で和子は、衣服の中の肢体を朱に染め欲情し切って揺れていた。
嫉妬に、何度爺様の元に走る和子を組み止めて野で打ち据え引きずり戻そうと考えたか知れなかった。
それを制したのは襖の向こうで燃えたぎっていた元人妻の痴態を観て極限の射精感を覚えてしまった己の性癖にあった。
たとえ彼女と結婚という形で結ばれたとしても、いつかあの射精感を味わえるなら人様に妻を貸し出すこともあり得るだろうという考えが頭をよぎり、またそれを恥じた。
朝もやの野辺の中を爺様を求め走り回る懸想した女の、白く揺らめく姿が艶めくようにも見え、逆にうら悲しくもあった。
真っすぐ走ればいいと、暗に爺様は和子に伝え、そこを選んでいる。にもかかわらず、和子は少し走っては爺様がすぐそのにいまいかと立ち止まり右往左往を繰り返し、村人に聞かれないよう声を押し殺すようにしながらも爺様爺様と泣き叫んだ。
何も知らない村人が、もしもそこに立ち会ったとしたら うら若き乙女に姿をやつした般若を見た思いがしたであろう。
村中を散々走り回って、おおよその地図は頭に入っていた正一は、たがわず爺様の元へ、悩乱する和子を見守りつつ送り届けるべく行動を起こしていた。
人影を見つけると避けるように道を変える和子を観て、正一は先回りしては影を見せつけ邪魔をし逆に走らせ、上手く爺様の元に送り届けたからである。
屋外乱交ならここが都合よいという場所を昨日のうちに目星をつけていた中から正一は独自の感で、爺様と和子の逢引の場所として探し当てた。
その場所とは方向音痴の和子でも、昨日の今日で思い出せるあの場所であった。
村を全く知らない和子に爺様は、爺様宅から一直線に向かえば簡単にたどり着ける場所、婆様に知られてはならない場所でもあるこの場所を朝草刈りと称して選んでくれていた。
爺様は和子のため、昨日仕込んだ山中に向かう道の入り口近くの田んぼの畦道で待っていてくれた。
思い出の場所に和子を引き込んで、正一が物陰から見守る中、完全に屈するまで授受に脱がせ、終いには全裸になって仕込んでやるつもりで、尻に敷く筵を朝草刈りには用もないのに片手に下げ待っていてくれた。
駆けつけた和子をまず褒め、手拭いて泥のついて血が滲む足を拭いてやると靴を履かせた。そしてやさしく手を取り、後ろから追う正一の影を遠くに視ながら、後を追わせるがごとくゆっくりと山中に向かって移動を始めた。
野辺の爺様の元に駆けつければ、その場で抱いてもらえると思っていた和子はすぐに身を揉んでせがみ始めた。
爺様が懸命に手を引くが、駄々をこねて幾度も立ち止った。
その都度爺様は和子を、なんやかやと理由をつけ、あやさなければならなかった。
我慢しきれなくなった和子の唇を、途中で何度も奪い、抱き寄せて女の下腹部で想いを寄せていきり立つ棹の感触を確かめさせ納得させると、尚も進んだ。
途中まで所どころ舗装路が残っていた路は長年の風雨にさらされ崩れ落ち、完全に獣道へと変わっていっていた。もはや邪魔など入ろうはずもなかった。
上り坂に差し掛かった。昨日の場所までの路の中間まで来ると爺様は、待ちきれない和子のために棹を時々握らせた。彼女のパンティーを剥ぎ取ってやり、熱くなった亀頭をワレメにあてがってもやった。そうしておいて剥ぎ取ったそれを己のパンツの中に棹を包むがごとく納めるのを見せつつ指を使ってやった。
爺様が読んだ通り、和子は納得した。彼女ののパンティーは爺様の棹を包むならいざしらず、もはや和子のワレメを包む役には立っていなかった。
濡れすぎて、履き続けることで不快感が増すばかりと思われるほどだった。
爺様は和子の目の前で棹や亀頭に付着した先ほどの和子のシルをパンティーで拭き取って見せた。
和子はこれに気をよくした。
爺様の棹はますます元気になり、和子は湿ったワレメを露出させ風に当てたことで心地よさが、欲情が増したようだった。
だが、和子は指の刺激を受け棹を握らされ今しがたまで履いていたパンティーを棹を包みにされたことで、陰部から内股を伝いシズクがいっそう垂れ落ち始めた。
その、スカートからのぞく陰部が濡れ行くさまをチラチラと見せつけ爺様に引かれて山に登る。
後を追う正一との距離が、爺様のこの計略により必然的に近くなった。
和子も、登り始めて暫らくしたころから正一がスカートの下を覗きつつ後を追っていることに気づいて、自分の節操のなさと、それでも昨日のそれがなんだったのか確かめたい気持ちとで恥じらいから全身が熱くなっていった。
「これから爺様と行うことを、正一は最初から最後まで観る気なんだ」 それはまるでストリップ劇場の踊り子が選ばれ壇上に上がった客とが絡み、それを欲情し切った同じ境遇の観客に向かって開き晒すやり方だった。
客は耐え切れなくなり、伴ってきた女性、或いは街の、絡みを生業にしている女性に向かってあらん限り吐き出す。
正一も恐らく耐え切れず、途中で自ら抜くだろうと、行う前から想像できた。
爺様が征服中のワレメは、何があっても村内では絶対に明け渡しはすまい。
明け渡されることになれば和子自身も困ることになる。
惨めだろうし、耐え切れなくなるだろうと思った。
浅はかな考えだとは自覚していて、それでも目的地目指して爺様に手を引かれ登っている。
和子は正一のことを想い気持ちがグラついた。
きっと嫉妬に狂うだろう、 爺様と間もなく始まるであろう絡みを、ワレメが更に期待して濡れそぼっていることを自覚しながらも危ぶんだ。
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