リスカの少女 肌と肌を触れ合わせ、しばらくすると安心したのか眠りについた
あの時話してくれたことが本当だとすれば、出会って男の欲望のはけ口として嬲られ、終われば捨てられて行き場が無くなり帰ってくるものと計算すれば、もうとっくに部屋に入って休んでいる頃だろうと急いで帰ってきたが予想はものの見事に外れた。
やっぱりあれはウソだったのかとぼんやり考え、また平凡な日々を送ることになった。
何度か部屋に招き入れた典子の元に通って、苦労の甲斐あって再びその腕に抱けたが 直後に家族に怪しまれ会うのを拒否されるようになり、リスカの少女からもくぎを刺されていたから次第に足は遠のいており ことのほか暇だった。
自分の都合だけで朝っぱらから土足で人の部屋に入り込んできたくせに、慣れてくると何事につけ説教じみた口をきいた。
とりわけ典子の話になると口のきき方に 険がある。
「男が欲しい人妻さんでしょ? 上手にいろんなものせしめていくなんて汚いよ。 病気もらわなかった?」
言い終わるや否や固定電話の受話器を外し操作していたかと思った瞬間、大切に保存していた留守電を消した。
「もしもし、典子です。とりあえず電話しました」 それが消えた。
「毎日何やってるか知ってたよ。 こんな欲求不満の女に引っかかるなんて!!」
そういえば掛布団や敷布団のシーツが交換してあり、使っていたものは部屋にはない。
「シーツとか・・・」「うん、 正解!」 捨てた。気持ち悪い、あんなんでわたしに寝ろっていうの?と
部屋の主が完全に入れ替わったかのような態度だったが、言われてみればもっともだった。
悶々として眠れない夜など、いつ来たのか寝床に入り込んで小さな布団で一緒の寝てしまってて慌てたこともあった。
そのリスカの少女が消えておよそひと月が過ぎようとしていた・・・。
保険屋だったり住宅販売だったり、とにかく応対に苦慮した。そんな中営業には見えない変なおばさんが・・・
う~ん、営業と言えば営業だが・・・ 付近を縄張りとする人妻デリさんも複数顔を出してきたのには驚いた。
玄関のチャイムが鳴り、顔を出すと その女性はいつもの人のような営業トークではなく「一人でお住まいですか?」と、聞いてきた。
ご覧のとおり家具もろくにないからひとりでしょうねと応えると「失礼します」というなり入ってきてしまった。
建て前上は一応遠慮がちと言おうか、部屋のあちこちを見廻し 万年床を見て用件を切り出した。
「ひとりじゃ溜まってません?」
リスカの少女に「病気」について忠告されたばかりだったから体よくお断りした。
お断りしたが、相手も商売だからと思ってお茶となにがしかの包み(リスカの少女から聞いていた相場)は出した。
「こんなんじゃ・・・申し訳ないけどお得意さんじゃじゃないんだから・・・」
「いや、お近づきのしるしにと思っただけで、別に必要ないから」
「えっ、 くれるの? 何もしないのに? あんたまさかアチラじゃないよね?」
「警察でもスジでもありません」
「ほらっ、ここからみえるでしょ? あそこが会社です」
途端に女の態度が変わった。
肩揉みましょうかとか、アソコ使わないで口でしましょうかとか・・・。
丁寧にお断りすると「ひょっとして役に立たないの?」と
仕方ないから好きな女性がいて、必要だったら彼女とそうなりたいと
その日以来、商売が終わって休みたくなったり
商売敵に先を越されあぶれた時などにちょくちょく顔をだし、休んでは愚痴や商売の辛さを口にした。
商売を始めたころは思ってもみなかったシェアが、考えられないほど狭いこと。
地のスジになにがしかの渡りをつけないで商売してると、次第に縄張りから追い出されることなどなど。
商売を始めたきっかけが夜の生活に不満が募り、友達に相談したら 同じことをやったら?と言われ、知り合いの男を紹介され それに夢中になってるうちに次々と男を変えるようになって、いつしか安く売ってしまっていたと話してくれた。
安く売るためにはホテルは使わず公園や路地裏でちょこちょこっと済ますから身体も危なければ病気ももらいやすいとも話してくれた。
デリの女性が来る時刻は大体決まっていて、夕刻の 一般家庭では夕食が終わるか終らないかの時間帯で その時刻が一番男が欲しがる時間帯だから出向くとも。
だから夕方に玄関チャイムが鳴ると大半が彼女だとわかって、それが日課みたいになっていったある日の朝、突然玄関が何の前触れもなく空き、人が入ってきた。
リスカの少女だった。
「くっさいなー 誰? この安物香水の女」
開口一番がこれだった。
ひとが寝てるというのに部屋の窓を次々に明け風を通す。
通し終わったかと思ったらシャワーが始まった。懸命に洗い流していた。それが長いこと長いこと・・・。
たまたま休みの日だったからよかったものの、次に使おうと思っても気が削げるほど延々
仕方なく、何もすることもないから寝床に戻って横になっているとシャワーを終え濡れた髪のまま寝床に潜り込んできた。
こちらはパジャマで少女は裸身のまま、シャワーが長かった理由がそれでわかった。
何人も何人も裸の上を通り過ぎていく男たち、終わると処理もしてもらえず決まって捨てられていた。
ごみのように扱われ、寝かせてももらえず、疲れ切ってこの部屋に帰ってきたんだとわかった。
その日は夕方まで一緒にとにかく布団の中で過ごしてやった。
女の子が落ち着きたいと言ってパジャマは全部脱がされた。 不器用な、それが少女のしたいとの意思表示だと気が付いた。
せめても肌と肌を触れ合わせてやった、抱きかかえしばらくすると安心したのかリスカの少女は眠りについた。
ままごとみたいな食事つくりをしたり食材の買い出しをしたり、それがなぜかとても楽しそうだった。
丸二日間一緒に暮し、月曜日の出勤に合わせ彼女は部屋を出て行った。
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