知佳の美貌録「お気に入りの場所」
その家とは久美の話しからすると造りからいって江戸末期から明治にかけて建てられたと思われ、一般の町屋と異なり農家でしか見かけなくなった大きな縁側があったようである。
近年の建築物は家は外から見た時にその家の表面に柱はほぼ見当たらない。
室内は特に柱が見えないように壁だけの部屋を作るのが近代建築のいわゆる洋風で、柱が見えるように作られるのが和室造り、つまり日本古来の様式なのである。
洋風とはまた細い柱をというよりその面を耐震性を増すよう補強材で補強し壁自体が厚く頑丈に作ってあるからして昔のように無駄に太い柱は必要ないのだ。
断熱効果に優れている一方で壁は外界と完全に遮断された密閉空間を作ってしまう。
欠点は屋内に泥のついたようなものを持ち込めないこと。
自然と一体化 (通気性が良い) できないところにある。
それに比べ古来の建築は太い柱と大きな梁が中心をなし、外部と一体化するような構造体を成している。
つまり家の中に大自然が存在するようなもの。
テーマ : 官能小説・エロノベル
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知佳の美貌録「子守が出来ることの嬉しさ」賄いのおばさんが作ってくれたお菓子欲しさに
労務者は手厚い保護のもとにおかれたが、余計な予算を計上しない(女性蔑視、扶養手当・家族手当など義務化無し)など子供たちにとって決して住み心地の良い環境とは言えなかった。
世間から隔絶された世界で追手を欺き住もうと思ったら、もうこういった場所しか無いと考えた末の飯場(はんば)生活であった。
現場責任者のような役目に据えられた学のある幸吉ならいざ知らず、女衒に育てられ労務者の端っくれに加わった好子である。
今掘られているトンネルがダムと農業・生活用水路をつなぐただの水路なのか、それとも高速道路や鉄道のトンネル坑道なのかもわからない。
それほど奥深い山の中で端っくれにとって意味もわからない工事が行われつつある大規模(精神をも圧倒され、訳が分からないほどの規模の)現場である。
今住んでいるところが何処で人々が行きかう街がどの方角にあるかさえも、さっぱり見当がつかないほどの山中の飯場(はんば)で幼稚園や保育園などというものが、この社会にあることさえ知らず久美たち兄弟と母の好子は隠れ過ごした。
ただ隠れなければならないことだけは親を見れば子供心にもわかったという。
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