爺様に仕込まれた露出癖 カメラのレンズの中で悶える和子
普段はだから、ひたすらスキャンダルを追っている。
風采の良かった彼は、一時期は某商社の営業マンをしていたこともあったが、元来女好き。
それがもとで、その会社を去らなければならなくなった。
会社を辞めた当初は、入れあげた女に食わせてもらっていた。
それがいつの間にか、役立たずを見るような目つきをされ、自分からひっそりと離れた。
それ以来、その手の男女の、特に奥様のスキャンダルを嗅ぎつけては、ゆすりを繰り返した。
ゆする女を求め、さ迷い歩いているうちに見つけたのが、一時期同棲した和子だった。
入るときはドンッと入るが、入らないとなると、何ヶ月もひたすら追うだけで、一向に収穫にならない時もある。
その間、不平不満を、何一つ口にせず食わせ、小遣いも不自由なく与えてくれたのが和子だった。
本人いわく、某会社の重役の秘書をしていると言った。
だが、彼女はその会社名を明かさないどころか、ビジネススーツで出かけるところを見たことがなかった。
出かけると言えば、派手な服に身を包み、いずことなく、まるで幽霊のように姿を消すばかり。
それゆえ、竜彦は営業マンだったころに立ち返ったように女にうつつをぬかし、ほとんど遊んで暮らしていた。
高木竜彦が和子と出会ったのは、商社をクビになり、行き場を失って酒におぼれ、河原で寝転がっているときだった。
耳元でバシャバシャッという音がした。
何処から現れたのか、和子はまるでひと世代前の映画にでも出ていた風のいでたちで、寝ころんでいた川の中から、ずぶ濡れになって現れた。
「そんなところで、なにやってんだ?」
「みりゃわかるでしょ?それとも足が生えていないとでも?」
撮影現場から、舞台衣装のまま逃げ出してきたような美女は、この日を境に竜彦の部屋で同居することになる。
ふたりで生活を始めた頃こそ、生活費を含め、なにもかも竜彦の財布から出た。
だが、ある日を境に和子は見たこともないほどの大金を持ち帰り、無職の竜彦の面倒を見てくれるようになっていった。
世を斜に渡れる女。
セックスはめっぽう強かった。
竜彦は、ジゴロの愛称で呼ばれるほど精力旺盛で、求められれば毎晩でも可能だった。
求めに応じて竜彦は、和子を飽くことなく責めた。
なにかにつけ、竜彦との結合部を見たがる和子。
そのうちに絡み合う前から竜彦は食傷気味になっていった。
「ねぇ~・・・ここってどうなの?」
妖しげにソレを開かれるたびに、何かと理由をつけ、その場から離れた。
それがいけなかったかもしれない。
仕事と称し、出かけて行った先で、あちこちの男をつまみ食いし始めていた。
「あらっ、いいところで出会ったわ。ねぇ、うちのひと、知ってるでしょ?ちょいと調べてほしいのよ。変な女にひっかかってるらしいの、ああ嫌だ!汚らしい」
とてもスキャンダルなどという言葉が似あいそうにない、教授夫人からの依頼だった。
「わかりました。ひとり心当たりがるので、調べてみましょう」
調べるも何もない。
竜彦の目の前を、これ見よがしに腕を取って歩いていたのが和子、場所はいかがわしいホテルが立ち並ぶ一角、その中のひとつに消えていったからだ。
同棲中の女の後を追って不貞を働く現場を目撃することほど、惨めなことはなかったが、後を追わなくてはいられなかった。
和子という女が、なぜ川の中から現れ、一緒に住むようになったか、それすらわからない。
記憶喪失の女優のような、たかだかろくに名前も知られていない会社の重役の秘書にしておくには勿体無い女だった。
街で、一声かければ男なんていくらでも寄ってくる。
同棲中の女に浮気されるほど惨めなことはない。
不似合いなほど落ちぶれ、役立たずの竜彦は、和子に何も言えなかった。
男達の間をひらひらと舞い踊る間に、和子の身体は見事に華開いた。
それを毎夜、目の当たりにする。
打ちひしがれ、萎えていくのがわかった。
「竜彦、わたしたち、別れた方がいいみたいね」
和子の方から先に口をきいた。
「夫婦の真似事なんか、する必要ないわ」
これまでと同じように、身にあった女を抱けば、それでいいじゃない、
「そのかわり、お金に困ったときのサポートは、してあげる」
もはやインポになった男など無用と言わんばかりだった。
「そうか・・・元気でやれよ」
今宵だけは泊まって行けと、どうしても言えなかった。
和子は律義で、何処からどうやって仕入れるのか、スキャンダルを持ち込んでは竜彦を喜ばせた。
その全ての情報が番号非通知の電話で知らされる。
聴きながら書き留めた手帳は、びっしり埋まっていった。
そして今日も、その電話がかかってきた。
情報にあるホテルの、部屋を見下ろせる位置にあるビルの屋上で、巨大なレンズを取り付けた、超高感度カメラを構え、その時を待った。
和子の情交は、電話で聴いたところによると、窓のカーテンが、時には窓そのものが開け放たれた空間で行われるはず。
男からなにかを受け取るための和子の演技が始まった。
妖艶な仕草に堪えきれなくなった男が和子に襲いかかり、組み伏せ、執拗な愛撫を繰り返し始めていた。
その、なにもかもが開け放たれた部屋で行われた。
「ちゃんと、目を開いて、観るのよ」
その言葉の示す通り、男は和子を責め、隠すところがないほどに開き始め、
これも和子の癖なのか、結合部が窓に向かって大きく開かれた。
欲情し切ってそそり勃つ男根が、それでも隠そうと必死に拒む和子に向かって執拗に肉襞を割り、貫いていた。
ライバルの男達に見せつけながらとでもいうのか、その凌辱の中、ついに和子は明け渡し、頂点に向かって昇りつめていく。
和子に言われるまでもなく竜彦は、カメラのレンズの中で悶える和子の動きに合わせ、己の股間を慰めつつ、夢中でシャッターを切った。
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