知佳の美貌録「電柱を伝い外に 戻れない橋」
先にも述べたようにこの地は火山の名残りで出来た、まことに小さな(径100メートル未満のような)小高い丘群と、それを取り囲む底なし沼とでできていた。
端的に言えば汽水湖に浮かぶ小島(島嶼群)であった。
この沼地は例えば近代にお百姓衆でもこの地の田を耕すのにトラクターは入れない。 かと言って通常の耕うん機かと言えばそれも半ば違う。
テーラーと呼ばれる水に浮くような軽量の耕うん機を入れてさえ、耕うん(耕す・泥をかき回し草をなぎ倒す)と同時に代搔き(均す)までほぼ同時にこなしてしまうほどなのである。
そうやって準備が整った田に、こんどは田舟に躰を預け胸まで水につかりながら田植えをする。
冷たい水は相当躰に堪えた。 もちろん牛馬を使うことなどできないから堆肥など望むべくもない。 すべてその年上流から流れ来る水に交じる肥えと日照りなど自然の摂理任せになる。
テーマ : 官能小説・エロノベル
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