隠し財産を持ち出して貢ぐ

千里さんはこのところ頻繁に掘割地区に向かいました。 そこでしばらく時間をつぶすと時にはそのまま千秋さんが待つ旅籠に向かわれますが、そうではなくシティー・ホテルに向かわれる時もあるんです。
彼女が探し求めているもの、それは数年前に忽然と姿を消した我が子 美月ちゃんと愛おしい人 宮内司さん、ふたりが千里さんに逢う為この地を再び訪れるとしたら掘割かホテル以外にないと思ったから暇さえあればその一方か双方に足を向けておられたんです。
行き交う人の中にこれはと思う人を見かけると決まって千里さんは行方不明になったふたりについて尋ねました。
拘置所に留置されている間に美月ちゃんの写真まで廃棄されていましたので訪ねるにしてもおおよその雰囲気でしか問うことが出来ません。 そのためある方たちにいかがわしい目的で声を掛けてこられた風に取られたことも幾たびかあったそうなんです。
このような行動を休みのたびに繰り返し行き交う人を観察し始めると千里さんの中に人を見る目という一種独特の感覚がのが芽生えます。
声を掛けた目的がいかがわしいと捕らえられかねないのなら決してやってはいけないことだったのですが・・焦るあまり情報を求めたある一定の方々に連絡手段である住所と電話番号のメモを手渡しておいたのです。
苦労の甲斐あって信頼できるような話しが電話によって舞い込み千里さん、急いで落ち合う場所に向かいました。
そう、思いがけない情報が飛び込み、その人に会う為にホテルに向かったのです。 普通ならこういった時必要な情報を喫茶やレストランなどを利用して聞くなりして別れるものなんですが、相手から掛かってきた電話の内容に釣られ捜索の軍資金 (要は泊り賃という名のお小遣い) を先にホテルの部屋で渡してしまったのです。
遊びに来て先方から思いがけない場所で思いがけない声掛けを受けチャンスと思ったんでしょう。 要求は何度も繰り返され千里さん、とうとう千秋さんとふたりして我慢に我慢を重ね貯めた虎の子を叩き割り、中にあった小銭を握って銀行に走り・・全額男に貢いでしまったのです。
漢からの感謝のしるしがその夜、秘めやかに彼がリザーブしてくれたホテルの一室で行われました。
話し始めた当初はそうでもなかったんですが、深夜帯に入り自然 男と女の会話に代わっていったんです。
明け方まで幾度も繰り返された行為に千里さん、我が子を探すどころか騙した漢に夢中になってしがみつきその先を要求してしまったのです。
千里さんの持ち出した資金が切れ漢が街から姿をくらまして初めて騙されていたことに気が付き教えられた電話を鳴らしました。
当然繋がるわけありません。
蘭子さんや千秋さんを非難しておきながら千里さんも掘割地区一帯を使ってこれまでに身に着けたいかがわしさに反応してくれる人を対象に春を鬻ぐしか持ち逃げされたお金を取り戻す手段はなかったのです。
悲しいかな置屋と違いこういった輩は女の、しかも最前漢に開かされその気になってしまった経産婦を心と躰を見極めています。
雀の涙程度のお金で転がされることもあるかと思えば、またある時は一度コトを終えその良さが忘れられず延長をお願いしてしまい千里さんの方からお金を積んで再度ということもままありお金のための苦労を骨身に染みるほどしました。
そうまでして恋しい人が来てくれるのを待っているのに司さんから何の音さたもないのです。
歳月は人を変えます。 昨今は特にそうですがこの時代にあっても結婚目的がお金のためと愛のための二通りが存在し、当初司さんは千里さんを愛の対象としていたのですが近隣で不倫話しを耳にするたび疑心暗鬼に陥っていたのです。
今回の件で千里さん、いよいよもって司さんとたとえ夫婦になれたとしてもその時々不倫してしまうかもしれないと感ずるようになってしまったのです。
司さんの確たる情報を求めてとはいえよく知りもしない漢の部屋に深夜入り込み重要な情報などある筈もなく、漢は切々と不自由であることを訴え千里さん、得意げにそれをなだめすかし・・後になって思えば多少なりともそこにご無沙汰過ぎ女が蠢き出していたことは確かなのです。
司さんとの関係をしつこく聞かれ応えている間に次第に核心に迫る質問へと変わり、気が付けば実際にそれを触らせて確かめさせやがて時間と共に堕としてくれるようせがむ自分がいたのです。
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