ぎこちない表現
何かの事件が始まると、狂ったように連絡してくる桂子は
その事件が解決してしまうと、嘘のように閉じこもってしまう。
今がまさにそれだった。
熱にうなされるかのごとく、毎日淡々と言われるがままに業務をこなしていた。
周囲に何も意識しなくなってから、得意先への挨拶も普通にできるようになっていった。
元々が、メーカー直々に商品を納入する方式だった桂子の会社のやり口は、後から考えればよかったようで
先方にとっては雑業務もこなしてくれ、改善も直接口にだし伝えられることから
持ちつ持たれつの、なれ合いの関係を好む先方が 今回は何もなかったことにと矛を収めてくれ、
シェアは徐々に回復していって、噂がうわさを呼び 以前にもまして遠方への配達も増えて行った・・。
出勤スタイルである。
かつて、喫茶のオーナーと間違いを起こした時のように たとえトラックドライバーと職業は変えても
同じように派手な桂子に変わっていた。
女の記憶を呼び覚ましたのがあの事件だった。
思えば会社を出て駐車場で車に乗ろうとした瞬間から田辺との身体の関係が始まっていたようにも
それというのも、車に乗り込もうとした桂子を、物陰から飛び出してきた田辺はドアをこじ開け
引き摺り下ろした。
下ろしておいて難癖をつけ、手と言わず肩と言わず触りまくった。
素直に従わない桂子、その桂子を何とかものにしたい田辺は会社の駐車場では抱きつくのが
精一杯で、とても目的の身体の関係まで進めないと考えたし、桂子もそう思っていた。今から思えば・・・
だから海岸に辿り着くと揉み合いになった。
奪うものと奪われるものの葛藤を延々繰り返し、頭に血が上った桂子に ついに我慢の限界を超えた
田辺の平手が飛んだだけのことであったと思う。
暗闇の助けを借りて男は後ろから羽交い絞めにし、桂子に関係を無言で迫ってきてくれていた。
それを興奮のあまり、力ずくで振り払い続けた。 続けはしたが、男の手は徐々に核心部分に
伸びて行ってはくれていたと、冷静に考えなおせばそうだった。
桂子は、当時は既に男がちょっと触れてくれただけで準備が整うほどに女の部分は熟し切っていて
普段の生活の中でも活発に疼いてくれ、それが苛立ちに繋がっており、それを身体を寄せてきた
田辺が見破り、何かにつけて手を忍び込ませようとしてくれてもいて、むしろ嬉しかった。
嬉しかったが、つつかれると疼きはますます増してきて困ったし、決定的な誘いも行動も
とってくれない男への恨みも増していってた。
そのことを連日久美に伝えてきており、久美は久美で桂子のためにあてがう男を探してもいた。
そんな男 田辺の手を、からかわれているんだと勘違いした桂子が、常に邪険に振り払ってしまっていた。
だからこの夜も、田辺は何度もパンティーを押しのけ、指を入れて疼く場所を確認してくれていたが、
田辺の股間の準備が整わず、からかわれていると勘違いした桂子が振り払ってしまっていて
双方 収まりがつかなくなっていたことは確かだった。
その行動を止めてくれたのが平手打ちだった。
そのまま思いがとげられたのも、追われ 逃げ惑いながらもぎこちない前戯を進めてくれていた田辺のおかげだった。
オーナーを前にし、ほかの男たちが次々に身体の上にのしかかってきてくれた「奪われる」興奮を
気が遠のくほど羞恥を覚え逝ったことを田辺のおかげではっきりと思いだしながら受け入れていた。
やっと田辺が男気を見せてくれ、我慢に我慢を重ねた怒張を 待ちに待っていた場所にあてがってくれ
めり込ませてくれて、火が治まり 新たな火を燃え始めさせてくれていた。
実のところ
平手打ちが飛ぶまでの何分間かは、後ろから抱きつく男の手は確実に桂子の秘所を捉え刺激を加えてくれていて
懸命に押し付けてくる下半身の、未だ緊張から膨らまない部分を、桂子は苛立ちながらも期待し男の動きに合わせ
手で直接押さえ温もりを伝えてその時を待っていて、待ちきれず 男にその気がないと勘違いし苛立っていたことを。
それを平手打ちで動きを封じ、ちゃんとした形が整うまで湿りきった秘部に押し当てて本気を伝え
双方の欲望を確信でき、肌と肌の触れ合いで使えるまで雄々しくさせることができたことを。
そうだった!獣のように交合できたのはわたしが手伝って迎え入れさせたことも事実だが
田辺が男の恥を晒し 意を決して挑んでくれてたんだと。
最初から女と認めてくれたからこそ、取り入るきっかけがほしく難癖点けてきたんだと。
ぼんやりとハンドルを握りトラックを走らせながら桂子は、どこかに消えてしまった田辺を懐かしんだ。
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