廃村に漂う黒い影 美香は窮屈な口腔性行で露木を射精させた
男が去ると見張りに立っていた男が入れ替わりに入ってきた。
美香はいきなり男根を含まされた。
見張りの男は幹部と美香の痴態を見せつけられ、感極まった美香の喘ぎを聞かされ興奮し切っていた。
幹部に弄ばれ、その快感が身体を離れ切らないうちに新たな男根を突き付けられ、美香の身体は再び燃え始めた。
欲情でピンクに染まった美香の肌に見張りの男の指や舌が這った。 見張り員に犯された。
「あっ、あ~ん」男の太腿に手を這わせ、その手が次第に上にせり上がり吐き出し唾液でぬらぬらと光る男根をつまむと、つっと持ち上げ裏筋を舌先でなぞった。欲情に我を忘れていた。
ビクンと男の身体が反応を示し、美香の双臀を爪が立つほど強く掴み手を胸に回すと乳首を強く摘まんだ。
その姿勢のまま、指を鍵曲げにし、美香の秘部の入り口に挿し捏ね回した。
「わぅ、あああん、いい・・・早く入れて、お願い」男根を握りしめ美香が懇願した。
幹部との行為を終え火照りきった美香の肉壺に見張りの男の男根が再び深々と挿し込まれた。
美香は幹部の男に嬲られた時に送り込まれた精液を蜜壺から滴らせながら、新たな見張りの男の男根を受け入れ卑猥に腰を振った。 挿し込まれた男根を美香は腰を使いながら襞でしごきあげた。見張りの男の顔に苦悶の表情が浮かんだ。
見張りの最初の男が去ると、次の男が入ってきた。
美香は再び手錠をかけられた。
手錠をかけておいて男は美香の乳房を弄った。
いきり立った男根を美香の腹部に突き付けておいて乳首を弄んだ。
唇を奪うと、しなる美香の身体を抱きすくめ太腿の間に男根を埋めた。 いましがた前の男の男根を引き抜かれ余韻が冷めやらない美香に抵抗のしようもなかった。美香は男に舌を絡め下腹部を押し付けはじめていた。
男のもくろみは当たった。そうしておいて美香の秘部を亀頭で探り出した。執拗にこねくり回した。
美香が自分の力で足を上げ、亀頭を蜜壺に迎え入れるまで執拗に唇を奪い乳首を指で弾いた。
「んんんっ、はう・・・いい」 不自由にされた身を喜悦と受け止め凌辱に屈し始めていた。
吊るされたままの恰好で美香はこの男の精液を受け止めた。
終わると美香は後ろ手に手錠をかけなおされ、両足首をキー紐で縛られ床に転がされた。
逃げようなどと思うなと恫喝され、男たちは周辺から離れた。
----ごめんなさい。
美香は消え入るような声で詫びた。
「気にするな、仕方なかった。終わったことだ」
敵の男の凌辱に、美香は声を放った。
任務であることを忘れ、欲情に溺れ全身で男を受け止め喘ぎ、逝くたびに身体をしならせ歓喜の声を上げた。
そのことを美香は詫びていた。
当たりがうす暗くなり、人の気配がしなくなったことを確認すると美香は何を思ったか上体をくねらせ始めた。
全身を使って露木の足元に這いよると、露木の身体に寄りかかって起き上がり口でズボンのジッパーを引き下ろしにかかった。
「痛めつけられたあとだ、無駄に動くな。その必要はない」
露木は言った。
「お願いだからさせて」
美香は懇談した。露木は黙るしかなかった。
美香に言われるまでもなく、昼間に美香と男たちの絡みを見せつけられ、恋する女を奪われたことで露木は夜になろうとするのに怒りと屈辱で怒張し続け治まらなくなっていた。
苦闘の末に、どうにか美香は露木の男根を口にした。
窮屈な口腔性行で露木を射精させた。
「軽蔑したでしょう?」見上げた美香の頬に涙が伝った。
持てる力の全てを使い切って露木を果てさせると、美香は横になった。
「あなたの気持ちに気づいていながら、他の男たちにあなたの前で汚らしい姿態を晒した。あなたがその時どんな気持ちでどんな状態になってるか、この目で見ながら、身体は反応し止まらなかった。こんなお詫びで帳消しになるとは思わないけど、こうしてあげずにはおれなかったの・・・」
「これは任務だ、あなたは任務中に事故にあっただけ、立派な人だ。心配しなくていい」
美香はすすり泣きながら眠りについた。
露木も柱にしばりつけられ立ったまま目を閉じた。
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廃村に漂う黒い影 執拗に弄んだ後の責め
足羽寛治の罠にはまり、定雄の息子 禎一の妻頼子が寛治に組み敷かれ操を奪われたことに端を発した争いは寛治が呼び込んだ土地のならず者たちの横暴で幕を閉じた。
禎一は事故に見せかけ命を奪われ、稼ぎ頭をなくした頼子は寛治が用意した家を頼って中津家を去った。
粗末な町営住宅に頼子を押し込んでおいて寛治は事あるごとに頼子の元に通い、慰み続けた。
凌辱し始めると溢れ出る泉をすするのが殊に好きだった。
頼子の壺は感受性が良く、強引に割って顔を埋め舌を這わすと簡単に溢れ出た。
寛治の仕打ちに抗い、悶え苦しみながらも泉を溢れさせ切っ先が肉を切り裂くと快楽に狂乱した。
これほど女道楽が好きでありながら、寛治は生来ケチだった。
頼子に町議に口をきき、部屋を世話してやったまでは良かったが楽しませてくれた肉壺へは一銭も払わなかった。
生活に窮した頼子は痩せこけ、次第に見る影もなくなっていった。
そうなると寛治は女としての頼子を抱く気にもなれず、後腐れのないように売る算段をした。
こうして飽きてしまった頼子を離島の料亭に売った。最初は本土内のそれなりの遊興地に売るつもりでいたが、ことごとく断られ仕方なく、ただ半分で料亭の仲居の仕事と称し売った。離島なら穴さえあれば少々歳を食っていたり見栄えが悪くても売れた。
一旦は村を追われ都会の片隅に潜んで暮らしていた中津一家は祖父の定雄が没すると一家離散した。
亡くなる前、定雄の妻須江が真一に言って聞かせたのが寛治によって母の頼子は凌辱され、それを咎めた禎一は事故に見せかけ殺された経緯だった。
「生きながらえて必ず仇を討て」
それが須江がいまわの際に残した遺言だった。
真一は義務教育半ばで大人に交じって働いた。
そうして溜めたお金を使って暇さえあれば自分を捨てた母を捜し歩いた。
ようやく母が寛治によって離島に売られていったという情報を聞きつけ駆けつけた時には既に母は亡くなっていた。
医者もろくにいない離島で、来る日も来る日も売られ続けた母の頼子は性病と知らされずこき使われ、いい加減な治療と投薬をされ命を落としていた。
「いつか足羽一家を村から追い出してやる」真一は母が眠ると告げられた島の無縁仏の前で誓った。
それからの真一は何かに憑りつかれたかのように女を見つけては甚振った。
産んでくれた母は恋しかったが父を裏切り寛治の棹に屈したことだけは、なんとしても許せなかった。
そうやって恨みつらみの日々を送るうちに、いつしか自分が仕込んだ女を嫁として送り込み財産を残らず巻き上げる結婚詐欺を思いつき組織のボスに祭り上げられていた。
その組織が総力を挙げて見つけた女が貞子だった。
廃村を縦横に走る幹線道計画を耳にし、計画の大半を占める寛治の土地を手に入れるためだった。
真一は密かに村に立ち返り山々を歩き回って計画と切り図を見比べ、貞子を呼び寄せては寛治との絡みで手に入れるべく土地の情報を伝えた。
足羽寛治たちの土地を調べていたのは中津真一だけではなかった。
地方出身議員の汚職問題を追っていた検察庁は足羽寛治の所有地を幹線道が通る計画を察知し、その土地の名義が何故か次々と変更していることを不審に思い調べ始めていた。
警察も嗅ぎつけてはいたが、何か重大な事件でも起きない限り警察は本腰を入れて捜査に当たれない。
警察の捜査結果を待って、検察が審議していたのでは間に合わなくなると踏んで直接捜査命令が出た。
捜査には剛腕でなる露木亮介と、今は定年退官し自宅にこもっているが辣腕とうたわれた難波英彦の娘で美香が選ばれた。
難波英彦が現役時代、何度か自宅に露木を呼んで会食をした。その際露木の世話をしたのが美香で任官された際に自らお願いして露木に教えを請うた。
40歳を超えても独身を貫く露木に寄り添うように捜査に当たる美香ははた目にも露木にぞっこんと映った。
露木亮介と難波美香は捜査開始早々足羽家の嫁と舅が間違いを起こし、自殺者まで出してしまったことに目を止めた。
しかも事件の張本人は自殺者が出た直後というのに、この家は不吉と言い残し、土地の権利書を持って村から姿を消している。
次期総理の座を巡る議員の汚職問題を追っていて、土地転がしの結婚詐欺師を追うことになるとは露木亮介も難波美香も当初は想定していなかった。
廃村マニアのヒッチハイカーに化けて村に忍び込んだまでは良かったのだが、途中で道に迷い土地勘のある中津真一たちのグループに見つかり案内されたのが中津真一の実家だった廃墟。
四方を取り囲まれ露木と難波は頭領格の中津真一から尋問を受けた。
露木は当初、旧街道を辿って歴史の紐を解くマニアだと弁明した。
中津は難波美香にそれなら向かう先はどこかと尋ねた。
美香が答えたのは併合された街の中心部へ向かう今の村道の方向で、合併前、旧街道は真逆の方向に道は続いていて、いまはもうない村役場の真向いの谷あいからひょっこり顔を覗かす道が正しかった。
マニアならそれぐらいのことを知らぬはずはなかった。
たちまち露木亮介は廃屋の頑丈な大黒柱の前に立たされ、後ろ手に手錠をはめられた。
難波美香も手錠をはめられたが、その格好のまま床に転がされた。
周囲を見張る手下たちに露木は何度も説得を試みたが無視された。
朝もやの中を美香とともに捜査活動を開始した露木たちは、直後に捕まりこの建屋に連れ込まれて、今はもう正午を回っていると思われたが誰一人として受け答えしてくれる者がいなかった。
空腹を覚えたころになって頭からすっぽりと頭巾をかぶった幹部らしき人物が現れ美香を引きずり起こし、脇の柱に手錠ごと繋ぎ止めた。
繋ぎ止めておいて美香を裸に剥いた。
露木の目の前で一切の衣服を剥ぎ取った。
壁一つ隔てた部屋の各所には手下どもが凶器を持って見張っている。美香にはなすすべもなかった。
男は美香の乳房を揉み始めた。「いやっ、さわらないで!」
美香の懇願はむなしかった。 「やめて! なんの真似?」
男は時間をかけた。
乳を揉みほぐして吸い始めた。「あああ・・・見ないで露木さん・・お願いだから・・」
軽く歯を立てた。 「あん、あああ・・・だれか・・・」
いやいやをし、逃れようと後ろに下がり甘くなった腋に顔を埋められ舐め廻され汗ばみ臭い立つ腋臭を吸われた。
「あん、あん、あああぅぅ、やめて。お願い・・もう」」懇願とも哀願とも取れる声が美香の口をついて出始めていた。
露木はその一部始終から目が離せなかった。
手錠はいつの間にか外されていた。
美香には男根が与えられた。
その前に男は執拗に美香の性器を弄んだ。 「はう、いい・・」
男は崩れ落ちた美香に覆いかぶさった。ただし反対向きにであった。
男は美香の性器に口をつけた。
美香は身動きできなくされ口元にあてがわれた男根を仕方なく含んだ。
その格好で長い時間をかけ、男と美香はお互いの性器を口にし続けた。
びちゃびちゃと音を立てながら男が美香の性器をすする、その舌先が敏感な部分に届くたびに美香はビクンと身体を痙攣させ欲情した性器を男の口元に押し付け愛撫を懇願した。
口腔内に含むだけでは足りず、男根を吐き出して手のひらで包み込み、裏筋をなぞり皺袋に舌を這わせ蟻の門渡りを舐った。
たまらず男が美香の壺に指を割り入れ中を掻き回すと、美香は男根を握りしめ悲鳴を上げ懇願した。「入れて・・・お願い」男にだけ聞こえる牝の甘いささやきが美香の口から洩れた。
男のそそり立ちが一段と勢いを増した。
男は美香を這わせた。
尻を高々と持ち上げさせ後背位で責め始めた。
「・・・ぁぁああ・・いい・・ イク」
この頃には美香の呼吸が乱れ喘ぎ声も高くなっていた。
露木は男と美香の痴態を、乱れに乱れ、我を忘れて男を包み込み腰を振る美香と男の結合部を凝視していた。
美香は男根の責めに屈している。
弄られ、濡れ始めてきたときには既に屈伏していた。
全身を弓なりに反らし、突き抜ける感情を隠さなかった。
仕方がなかった。
掲げた尻に、秘部を弄られながら散々見せつけられたそそり立つ男根が出入りして責め立てているのだ。
執拗に弄んだ後の責めだ。
美香は若い、耐えられるはずもなかった。
問題は美香の凌辱にあるのではない。
わざわざ幹部がこの人も通わぬ僻地に乗り込んできたことからも、それが伺われた。
乱れ狂った美香の体内に男はしたたかに射精し、身体から離れた。
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廃村に漂う黒い影 近親相姦
中から出てきたのは薄汚れた、このあたりではあまり見かけない若者だった。
この村が廃村になって久しい。
村に通ずる街道も誰も今では通らない。割れたアスファルトのそこここに草が生え、木が生い茂り、豪雨で至る所が崩れ、車が通れなくなって数年が経過していた。
見るものによっては街外れの、その村に通ずる林道とも取れるところを、ものの100メートルも入った先はけもの道と称するものも出るほど荒れていた。
廃村の後、村に向かって電柱は立ってはいるものの電線は銅線が高値で取引されるようになってからというもの、よってたかって盗まれ既にない。
もともと飲み水は各々が谷から引いた湧水を使っていたことから、水道をひく計画は何度も上がったものの実現には至らなかった。
辛うじて文化的なものが使えるとすれば、それはまだ街道が使われていた時分に街の業者が運んでくれたプロパンガスだけだったろう。
この村が廃村になったのにはわけがあった。
この村を一本の小さな川が流れている。
その川が豪雨になると大量の土砂を運び、谷のいたるところに小さな三角州を作った。
隣接する村や街の次男坊三男坊は食うに困り、この川筋の僅かな土地を耕し細々と食いつないだ。
耕作地が少なく、開拓は次第に山に向かったが、取れる作物は十分に日が当たらない山間地という悪条件、足りるはずもなかった。
周辺地域と隔絶された村にも密かに土地を巡る諍いが起こった。
何事につけ我慢辛抱の貧村故に、嫁の来てはそうそう見つからない。
来たとしても質素倹約と重労働についていけず里帰りし、そのまま離縁ということもままあった。
貧しい故に助け合う村・・・ その理想とはかけ離れ、夜這いと 労苦を癒す酒代の代替えに一筆書かせ土地証文をだまし取るやり方が横行した。
家の代が変わると、このような現代人の忌み嫌う慣習に嫌気がさしたものから村を去った。
最後まで村に残った3箇所の、群落を束ねる本家の足羽家が村を去ったのは皮肉にも、先代が散々隣家の嫁に夜這いをかけ、それを金で押さえ込む非道を繰り返した罰があたったものだと囁かれた。
足羽正人の嫁、貞子は嫁ぐ前から街で稼ぎの良い勤めをしていたと周囲は言い、正人に突き付けた結婚の条件も村では足りない生活費をこれまで務めた収入源で埋め合わせするから勤めは継続するというものだった。
やることなすこと全て見るにつけ、いわば庄屋育ちの正人の目からも氏素性はそれほど褒められたものではないような気がしたが、見た目がきれいで忌み嫌われる村に嫁に来ても良いという話に正人は両親の反対を押し切って結婚した。
嫁ぐと貞子は家の資産運用と称して土地建物を次々に売却し金に換え、貯蓄に回すと言い出した。
誰も住むもののなくなった廃村のような土地、それが売れて将来に備え資産運用できればと正人はその話に乗った。
だがその裏で、嫁の貞子は土地の権利書を巡り当主の寛治と密かに通じた。
隣家に女衆が消えうせた今、寛治にとって喜びがあるとすればそれはせがれの嫁しかなかった。
ちゃんとした理由もないのにせっせと街に出ていく正人の、様子が変わったのを見て寛治は息子に女ができたのではないかと感じた。
久しぶりに若い女を味わいたいと、寛治自身が秘かに調べていくうちにますます貞子の氏素性がわからなくなった。男の影がちらほらするのに肝心の住まいがつきとめられないでいた。
どこかで見たような女だと、頭の片隅では感じるのだが、それが思い出せないでいた。
村に嫁が来るたびに、金の力でねじ伏せ寝取って男の味を仕込んでいた寛治にとって、いくら遊び慣れているといっても貞子はまだまだ未通と同じだった。
近隣の村々でも豪農でとおっていた足羽家の財産を狙って入り込んできたことぐらい寛治には最初からわかっていた。
わかっていたからこそ最初、いつもの通り自慰に向かう貞子の先回りをし、呻き声が漏れ始めると棹を晒して目の前に立ち、誘い文句代わりに懐に仕舞いこんでいた大枚をのぞかせてみた。貞子の目の色が変わった。
「ハイ」と素直に受け取らねば息子に向かって、嫁には今でも身体の関係がある男がついていると伝えてやる。その証明にこの場でこの姿のままソコを貫いてやると脅した。
足羽家に嫁ぎ、息子が不甲斐無く閨を十分与えられなくて眠れない夜など密かにソコを擦って慰めるのを知っていた。襖をあけ足をとを忍ばせ向かう嫁を先回りしてその個所を盗み見し、見覚えたツボを責めてみた。
声を出させないよう口を吸ってやりながら執拗にソコのツボにあたる孔を晒し、十分見せつけた亀頭で責め込むと、貞子は立っておれなくなり全身を震わせしがみつき、ついに堕ちた。
堕としておいて散々弄った後、切っ先の潤みを十分確かめてからほとほとになった蜜壺の潤みにあてがい一気に肉を切り裂いた。
「あん、あああ・・・」
喉の奥から絞り出すように艶めかしい声を発し、一気にのけぞって逝った。割り込んだ蜜壺から久しぶりに嗅ぐ甘い芳香が昇ってきて鼻腔をくすぐった。
貞子の腹部の動きが活発になり、襞が棹に絡みつき亀頭冠を弄る。
寛治はこれまでに打ち据えた女の壺の味をいちいち思いだし、貞子と比較した。
打ち込みを繰り返すうちにこの快感をこれまでどこかで味わったような気がして頭の片隅で反芻してみた。
「いいっ、あん、あん・・・あああ」
十分に感じさせてはいるが、先ほどからどこか物足りない気がしてならなかった。
いつでも貞子に向かって深々と打ち込める体制にはなっている。だがそれでは恐らくこの女は完全に堕ちないような気がしてならなかった。
もっと逝かせなくては、そう思って尻を掴んでいた指の一本を孔に挿し込んでみた。
「わん、・・・ああ・・・」
強烈な反動が切っ先に湧き起こった。その瞬間鮮烈な記憶が蘇った。
その昔、ある一軒家の軒先に雨宿りした。
何気なく垣間見た部屋の奥で昼日中から縺れ合う男女を見た。
女の尻に勇猛な男が突き刺さり、狂ったように女が身悶え、挿し込む男の顔が苦痛にゆがむ。気が付けば覗き見る寛治の棹が天を突き、血管がこれまでになく浮き上がり全身が総毛だっていた。
やがて男が果て、女を置いて家を去っていくのを見た寛治は躊躇なく部屋に押し入り、けだるそうに伏せる女の、今しがたの男が引き抜いた、その同じ場所に己を挿し込んだ。突っ伏していた女の身体が弓なりにしなった。快楽の苦痛に両の爪が畳を掻きむしった。
女がほんの少し腰を振っただけで棹が根元から搾り上げられ、突き抜けるような快感が脳天を貫く。
ここで抜いてなるものかと辛抱に辛抱を重ね、寛治は菊門からやっともおもいで引き抜くと、ぬらぬらと光る棹を蜜壺に挿し込み直し、奥深くにしぶきを飛ばした。
寛治は女の元に通い続けた。
女の夫が家を出るころを見計らって何度も家に押しかけては女と関係を持った。
その都度、最初のうちは孔を弄り菊門に挿し込んだが、最後だけは蜜壺の奥深くで果てた。
やがて女が孕み、夫に胤がないと医者からも言われていた、その孕むはずのない女房に不貞の子が生まれた。鼻腔をくすぐる甘い香りと棹に伝わる感触からそれが貞子ではないかと思った。
近親相姦
寛治は昇りつめる直前になって引き返そうと試みたが、棹に吸い付く貞子の襞の感触から逃れられず、ままよと奥深く出した。
貞子にしてみれば寛治は、己の身体を蹂躙しつくす二人目の男となった。
貞子と寛治は売る土地を見て回ると称し、野辺で獣のごとく絡み合った。蜜壺に指を3本挿し込み掻き回しながら孔に怒張を挿し込むという離れ技でなければ逝かない嫁を寛治は苦も無く蹂躙した。
貞子はそうやって絡み合って寛治の中の男気を全て抜いてやる代わりに権利書を寛治から1枚づつ奪っていった。
寛治の妻、をよねが嫁舅の睦言を知って奥座敷で手首を切った。その葬儀が終わると忌みしい家には居れぬと貞子は正人にだけ離縁を持ち出し、慰謝料としてためたお金をすべて持って不倫中の男と姿をくらました。
寛治は事の顛末を息子に話し、未然に防ごうにも自殺した妻の取り調べが警察署内で執拗に行われ家に帰れず、解放された時には貞子は既に姿をくらました後だった。
不倫中の男が貞子をそれと知って送り込み寛治を孔で誑かし、夫を美麗な容姿で翻弄するという綿密に仕組んだ結婚詐欺だった。
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老いらくの恋 聡美は陰核を執拗に亀頭冠で弄ばれ逝かされていた
余程電話をかけようとも思ったが聡美もそれなりに忙しい身、生活の邪魔だけはしたくなくてそれもやめた。
お互いの意思がはっきりし、安心しきったのか。もう半年以上休みを取って帰ってきてくれることもない日々が続いた。
最初は悔やんだり諦めたりもしたが、それも絵の制作に没頭するうちにいつしか忘れはじめていた。
そんな日の午後、突如康祐の携帯が鳴った。
聡美からだった。驚きとともに心が躍った。
仕事が立て込んで休みが取れなかったが、季節外れの夏休みをくれたから帰る。迎えを頼めないかというものだった。
もちろんOKだった。
バス停で出迎えた。「久しぶりだな、元気そうでよかった」
「ごめんね、あれから職場の後輩が何人か辞めてしまって、新入社員教育に連日駆り出され暇がとれなくて・・・」
「わかってたよ。お疲れ様」
母の諒子がたぶん話してくれていたとおもうのだが康祐の耳には入らなかった。本当は会いたくて、声が聴きたくてしょげ返っていたことを、あえて言わなかった。
迎えを電話で直接頼んできたのは、相変わらず母親の体調が不良で精神が不安定になり帰る連絡を入れかねていたからだと聡美はいう。
その言い訳を康祐は素直に聞いた。
今回急に休みに合わせて帰ってきてくれたのも、夫婦生活をしたかったからだと思った。
聡美は母に遠慮してか今回はホテルに予約を入れ実家に帰らなかった。
休みも滞在3日間と土日を含め僅か2日の有休を取っただけでとんぼ返りし、計5日間の休み明けには仕事が終わって新人教育が深夜勤帯に待ってると言った。
つまり、このわずか3日間が聡美にとって受胎可能な日だと、これしかチャンスが取れなかったと康祐に暗に告げてくれていた。
仕事が終わってすぐに駆けつけたという聡美はホテルに入るなりシャワーを浴び、備え付けのバスローブを身に着けた。
一見見て変わったと思った。
職場でお局様と陰口をたたかれ、憔悴していた顔つきもふっくらとし、肌艶もよく婚約したという女の自信に満ち溢れているように見えた。
「ちょっと見ない間に一段ときれいになったな」
「えっ、それってお世辞? でもうれしい!」
聡美は素直に微笑んでバッグから数枚の写真を取り出して見せてくれた。
自撮りもあったが、多くは友達に頼んで写してもらったという。
「へえ~、こんな部屋に住んでるんだ・・・ 休みはこんな場所に出かけるんだね」
「休みに出かけたんじゃないよ。お昼の休憩時間に無理に誘い出し、食事に行った先で撮ってもらったの」
ソファーで聡美に寄り添い写真を見ながら肌身に感じる女の香りに昂ぶりを感じ始めていた。
ショートサイズのバスローブからのぞく胸のふくらみが、足を組んで座った太腿のあたりが妙に気にかかる。
「こんな角度からみる聡美はなんだか妖艶に見えるね」欲しくてたまらず、つい本音が口を突いて出た。
「ふふっ、お待たせしてる間、我慢できなかったんだ。浮気しなかった?」
「・・・馬鹿なことを言うな」図星だった。聡美から返事が来ず、深夜に知り合いの女から誘われた夜は正直迷った。忘れかけていた女の良さを聡美が思い起こさせ、艶めいた声で誘われると怒張が始まって困った。
「そうかな・・・」敏感に感じ取った聡美の目がチラチラと康祐の下半身に注がれる。それを隠そうと康祐は康祐で躍起になって写真の話題に触れようとする。
聡美の右手が康祐の左膝を這い、豊かな胸のふくらみを押し付けるように身体を持たせかけてきた。
その格好でシャツのボタンをひとつ、またひとつと外していく。
「お、おい」
「ふふっ、まだ早すぎるの?」
駅に迎えに行ったとはいえ、そこから先は運転中で、ホテルに着いたらさっさとシャワー室に消えてしまったから、まじまじと彼女を観察できた時間と言えば数分。前回の失敗を払拭し汚名挽回するにはいささか心の準備が出来ていなかった。
「康祐さんとは婚約したっていうより遠距離だけど籍を入れたも同然の、いわば夫婦でしょ?」
まさかのことを簡単に言い切ってくれる。うれしいような、それでいて責任感が重くのしかかってくるような気がした。
上着をスルリと頭越しに抜き取られた。
ズボンに手がかかり、押し下げられる。
トランクスの縁から僅かに肉茎が頭をもたげ顔をのぞかせていた。
前にしゃがみ込んだ聡美は見上げ、にこっと笑った。
おもむろに銜え込んでくる。
口だけで肉径を頬張り、ゆるやかに顔を振りながら、バスローブの紐をほどいて肩から落とした。
するりとおちていくはなから、なだらかな肩がこぼれでる。
上から見ただけでも乳房や乳輪が豊かになっているのがわかる。
聡美は徐々に康祐の両足を押し広げ身体を割り込ませ両手で腰を撫で廻しながら肉径を唇と舌でしごいてくる。
腰がとろけていくような快美感の中で、不意に強い欲望が湧きあがった。
前回帰ってきたときより幾分長くなり、染め色も本来彼女が持つ自然色の濃い黒に近くなった頭髪を掴んで顔を固定し、腰を振って分身をぐいぐいと打ち込んだ。
「ぅうううっ」
辛そうに眉根を寄せながら聡美は懸命にこらえている。
久しぶりに会った新妻になぜこんなことをしているのかわからなくなった。
実家を離れ都会で一人暮らししている間に関係を持った男達への嫉妬か、それとも自分のものになった聡美という女への安心感か。
猛烈に押し込んでおいて顔を引き剥がす。
肩で息をしながら咳き込む聡美に「ごめん、悪かった」康祐は素直に謝った。
「ううん、いいの。康祐さん、この前は大人しすぎて出せなかったでしょ? 男の人ってこんなことあるんじゃないかって・・・ひとりっきりになったときちょっと勉強しちゃった。ねえ、ベッドに行かない?」
康祐がベッドのふちに腰を下ろすと聡美が身体を寄せてきた。
何をするのかと見ていると、盛んに胸を押し付け左右の乳房で屹立を挟み込もうとしている。
「お、おいおい」
「会えなかった間の分、今日うから3日間、たっぷり味わってもらうの」
はにかむように言って、聡美は肉棹を深く双乳の谷間に迎え入れた。
左右から乳房を押してギュッ、ギュッと揉み込んでくる。
ぬめるような乳肌がまとわりついてくる。
ソープならいざ知らず、素人にパイズリなどされたのは初めてだった。
己の分身を擦られるのは気分がいいが、これを最初に聡美にさせた男とのことを思うと怒りが込み上げてくる。近くで暮らせないだけに心配で胸が張り裂けそうになる。欲情してしまい自分を深夜に誘おうとした女のように聡美もその男を誘ったことだろう。そしてこれを覚えた。その行為を連想し異様に昴まった。
「ふふっ、大きくなってきた。康祐ったら変な妄想してたんでしょ?」
懸命に奉仕してくれる聡美を見つめる目がギラついていたことを悟られたような気がして康祐は慌てて目をそらせた。
「違った?」
からかうように言うと聡美は乳房の間からにょっきりと顔を出した亀頭を舐めてきた。
「うふふっ、先端から甘い液が出てきた」
微笑んで、今度は亀頭冠まで咥え、顔を上下に打ち振る。
「おおおぅぅ、むむ・・・」
たまらなくなって康祐はベッドに両手を突き腰をせりあげた。
下腹部に柔らかくまとわりつく乳肌と、ほどよく温かい口腔のの粘膜に包まれて至上の愉悦に変わった。
亀頭を舐めながら見上げる聡美の表情が、亀頭が充血しカリ首をもたげ変貌するにつれ、やさしさから妖艶さに変わっていた。
「聡美・・」
「うん」
「あっ、いや。なんでもない」
打ち込みたくなって聡美の腋に手を伸ばし、抱え上げるようにしながら後ろを振り向くとベッドの枕元が全面鏡張りになっているのに気付いた。
「ここに上がって・・・」
腕を引いてベッド上で四つん這いにさせた。
背後から乳房を揉みしだく。
乳白の女体と浅黒い康祐の身体が獣の交尾状態で重なって鏡に映っている。
真っ白な臀部を鷲掴みにし、打ち据えてとば口を割って先走りが始まった切っ先を挿し込もうと構えている姿が隠しようもなく映っている。
「ぁあああ、ダメ、待って。これ恥ずかしい・・」
聡美が目を伏せて腰をくねらせた。夫婦生活を始める最初の儀式、交尾の体形が明るい照明の下映し出され、あからさますぎて卑猥に思えたのだろう。
「見るんだ。ちゃんと繋がった瞬間を」
おずおずと視線を上げた聡美だったが耐え切れず、恥ずかしさのあまり顔を伏せた。
いきり立った棹で聡美の潤んだ部分を軽く撫でると、やがて顔をあげ視線をとどめて魅入られたように鏡に映ったもう一人の自分を見た。
康祐は右手を臀部から滑らせるように聡美の下半身に移動させ翳りの底をいじった。
乳房を先に亀頭で痛めつけられ、今度はまた下腹部をいたぶられ、聡美は「ああ・・」と艶めかしく喘ぎ腰を揺する。
「いやらしい表情だよ、聡美。そんな顔ができるほどここを使われてたのか?」
「そんなことない、こんなの初めて・・・だから」
恥じらいの表情を全身に浮かべ聡美は顔を伏せさらに腰を上に突き出した。
「聡美は思った以上にスケベだな」
図星だったようで、康祐に悟られまいとそれまで誘い続けた動きがこれで止まった。
だが、この言葉が過去の男との情交を思い出したのか下腹部は正直に反応し始め潤みを一気に増した。
康祐は仇を討ちたかった。どこが一番弄られ感受性が高くなっているのか、尚も棹の先端で翳りをなぞった。
なぞりながら聡美の反応を見、ここぞと思うと聞いた「こうされたのか?」
聡美は強くかぶりを振った。「早く!入れてちょうだい。お願いだから・・」
聞かなかったふりをした。康祐はなおも翳りの奥底の男の正体を見極めようと亀頭先端で探る。その間にも指の腹で乳首を責め、舌を背中の窪に這わせた。ただ唯一、下腹部だけは亀頭をあくまで使った。
亀頭冠が幾度か陰核周囲を弄ぶうちに聡美の身体がガクガクと戦慄を始めた。
「あん、ダメ・・・そこは。お願い止めて!」
みるみるうちに亀頭冠に引っかかるがごとく陰核が尖りクッキリと形作った。もうどう間違ってもそれが膨らみきった陰核に間違いはないようがないほど盛り上がってしまっていた。腹部は波打ち、目の前の臀部はピンクに染まってビクンビクンと震え陰唇は先ほどから盛んに棹を舐る。熟し切った女の苑が男の挿入を待ちわびて悶えている。
「こうされながら逝かされてたんだな?」堪えかねた聡美が頷いた。陰核を執拗に亀頭冠で弄ばれ逝かされていた。康祐の下腹部はかつての男との妄想で乱れきった聡美の花弁から溢れ出た液を擦りつけられヌルヌルになってしまっている。
欲しくてすがりつく聡美を、嵩にかかって極太の逸物の亀頭冠で陰核を責め立て、聡美が逝ききるまで挿入してくれず、終われば終わったで弱みに付け込まれ小遣いを要求され続けたと正直に吐いた。
「ごめんなさい・・・ 怒るよね、こんな女」康祐は先ほどから亀頭の先端を花弁の入り口にピタリと押し付け告白を聞き入った。この機会を逃しはしない。それならなおのこと、聡美を辱めた男から奪い返してやろうと思った。
「康祐さんがこんな格好させるから・・・」
聡美のふしだらさを非難しながら、それをあえてこんな場所で征服しつつ吐かせる自分に満足していた。
乳房を掴み聡美の上体を引き上げると腰を後ろに引き寄せ、突き出された双臀の隙間に先ほどから添えていた屹立を、一気に沈み込ませる。
「うっ、はあぁぁぁ・・」
シーツを引きむしるようにしながら聡美は上体をのけぞらせた。
尻が上向いて奥深く挿し込みを要求してくる。
ふたりとも逝きそうになる、間一髪の線上にいてかろうじて踏みとどまっていた。
射出が近い、その十分すぎるほど腫れあがった怒張を慎重に斜め下から上に突き上げるように挿し込んでは引き抜いた。早すぎる射精は聡美を元の男に引き戻す。なにがなんでも聡美の肝心な部分を探し出し注ぎ込みたかった。
背中をしならせた女の後ろに康祐が映っていた。
繭は白髪が混じり輪郭さえ不明瞭になっている。それ以上に、聡美を好きになった頃の自分はボディービルで鍛え上げた筋肉が自慢だったのに、今は弛み見る影もない。
その老人が適齢期をわずかに過ぎたとはいえモデルの美女の膣を突き上げている。
自信を持て、今日こそ聡美が待ちかねている胤を奥深く送り届けるんだと熱い血潮が腹の底からうねり上がってきていた。
全身をできる限り密着させるべく背中に覆いかぶさり腹部に手を廻し掻き抱き身体を九の字に曲げてストロークのピッチを上げていく。
「あん、あん、あああ・・・」
聡美の洩らす喘ぎが部屋中に響き渡った。その時だった、聡美の膣の奥深くに変化が起こった。先ほどまでなかったコリコリした突起が現れ、それに向かってしきりに肉球が棹を引っ張り込み始めた。
母のいる実家での逢瀬と違い、誰に聞かれることもなく声が出せる。開放感の喜びの中、康祐と繋がり胤を貰い受けに来ていた。
腰を強く聡美の壺に打ち付けるたびに皺袋がどこかにぶつかる気配がした。聡美の律動からそれがどうやら陰核と見当をつけた。
「聡美、さ・と・み・・」
「・・康祐さん、逝きそう・・はやく・・・お願い出して!!」
手を伸ばし掻き抱く乳房の先端の蕾がこれまでになく尖って放出を待ってくれている。
その感触を確かめたとき、皺袋がギュッと縮み上がり精管を搾り上げたと思うや否や熱いマグマが駆け上がってくる気配を感じた。
(出してやる。今度こそ聡美の中に出し、孕ませてやるんだ)
腰を掴み直し、のけぞりながら反動をつけ一撃を叩き込んだ。
「あっ、ぁあああぁぁぁ、ちょうだい・・」
「受け取れ!聡美」
腰の軋みも忘れてぱんぱんと全力で怒張を叩き込んだ。
「あっ、あっ・・・イクぅ」
「おおおぅ・・」
もはや中途で洩らすわけにはいかないと最深部に亀頭を送り込んだまま子宮頚部をねじりあげたときに濁液がしぶいた。
ツーンとした射精感の中で中折れ前に最後の突き入れを子宮めがけておこなった。
蕩けた肉球が痙攣を繰り返しながらしきりに分身を締め付け奥に引っ張り込もうとしてくれていた。
分身の中に残った一滴までも奥に呼び込み外に漏らすまいと裏筋をヌメヌメとなぞってくる。
(これだ、聡美のこれが欲しかったんだ。)
全身にしびれが走り腰が疲れと興奮のため震えている。
昇りつめた聡美が四つん這いを保てなくなり崩れ落ちた。
しゃがんで上向きにしてやると、残滓を称えた目を向けてきた。
目の端に、聡美の花弁から流れ落ちる白濁を見た。
ポチッとお願い 知佳
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老いらくの恋 ふたりだけの夜に
「ごめんなさい、寝てた?」
「なんだ、聡美ちゃんか。どうしたの?」
康祐が口を開いた途端、聡美が悩ましそうに覆いかぶさってきた。「ずっと待ってたのに、何もしてくれないから・・・」目に涙をためていた。
康祐をあおむけに寝かせると足の間にしゃがみ込んで肉茎に手を伸ばしてくる。
だらんとした肉茎をつかんで振り回した。
強い刺激を受けて先ほどまで日干しの椎茸のように縮こまっていた愚息にわずかだが力が漲る気配がある。
打ち振られむくりとした肉茎をいきなり頬張ってきた。
分身をぴっちり締めた唇で包んで大きくスライドさせる。
中途半端に膨らみ始めた肉軽を吐き出すと唾液にまみれたソレを握りしごき、亀頭に指を這わせながら太腿にキスをする。
「ごめんね、本当は・・」言葉にならなかった。
「変に謝らないで、何年も想ってくれていたなんて、ぜんぜん気が付かなかったわたしが悪いんだから」
聡美はいったん顔をあげ垂れかかるヘアをかき上げた。
それから裏筋を舐め下ろした。
皺袋にまで舌を届かせ丹念に舐めてくる。
片方の睾丸を含んで音を立てて吸い上げ、ちょろちょろと舌先でくすぐると吐きだした。
「足をあげるよ」
あの日とは逆の体勢を取らされた。
康祐の足を持ち上げ膝が床に就くほど屈曲させ、あらわになった蟻の門渡りを舐めてくる。
顔を埋め尽くしぽってりとした魅惑的な唇から延びる舌先がアナルと皺袋の間を這いずりまわる。
その間にも柔らかな手のひらで包み込んだ肉軽をしごかれているので分身はあっというまに雄たけびを上げ始めていた。
「今だ、来て」
康祐は思わず聡美に向かって催促した。
聡美が股倉から顔をあげ康祐を見た。
枕元の明かりに照らされた聡美は顔をピンクに染め、下腹部に跨ってくる。
心配なのかその間も硬直をつかんで離さない。
懸命にしごきながら自転車にでもまたがるかのごとく腰を落としてきた。
よほど欲しかったんだろう、あてがいそこねぬるっと滑って弾かれた。
もう一度、今度は慎重に腰を沈めてくる。
挿入部分を覗きながら切っ先を肉孔に押し当て、怒張の先端に溢れかえった愛液を塗りつけるかのごとく軽く左右に揺さぶるようにして腰を落としてきた。
硬直がとば口を切り開き、めり込んでいく確かな感触があった。
「うあっ・・・」
聡美は声を上げ、上体をのけぞらせながら膝下をぺたんとシーツに突いた。
分身がぐぐっと奥まで飲み込まれていく。
「おおぅぅぅ」
康祐の口から思わず声が出た。
念願だった己のシンボルが憧れつづけた聡美の膣を深々と貫いている。
男が感じる最高の瞬間だった。
聡美恋しさのあまり、他の女から声がかかってもその気のないような顔をして孤独を貫いてきた。
この感触を久しく味わっていなかった。
「いいの、いい・・・感じる。奥まで届いてる・・・ああ、やっ・・・動いちゃう、腰が・・・あぁん、あん」
聡美はほぼ垂直に上体を立て腰から下をくいっ、くいっと強弱をつけ揺する。
分身を狭隘な肉路で揉み抜かれ「くううぅ」と康祐は奥歯を食いしばった。
「いいの?康祐さん、これでいいの?」
快楽に苦痛に顔を歪ませながら聡美が、それでも康祐を気遣い聞いてくる。
もうかれこれ20年、おじさんと呼ばれ諦めきっていた矢先にこうやって名前を呼ばれたことが何故かくすぐったかった。
「ああ、とてもいいよ・・・こっちに・・・」
沙織の上体をやさしく引き寄せ乳房を掴んだ。
下を向いた乳房が康祐の胸に触れ、それがたわわな量感を伝え益々怒張を募らせた。
粘りつくようでいながらその柔肌は指を跳ね返してくる。
「ああ、とろけそう」
喘ぐように言いながら聡美は腰を使う。
後ろに突き出した尻をきゅっ、きゅっと鋭角に打ち振る。
「いい?これでいいの?」
「ああ、素敵だよ」
「お母さんより・・・いい?」
突然の質問だった。
康祐は返事に窮した。
聡美の母、諒子とは確かに一時期関係があった。
だがそれはふがいない夫の稼ぎを補い、聡美たち姉妹の生活を守るための芝居だった。
その芝居に付き合わされるうちに諒子は不貞と家族から疎まれ精神を病み周囲の誰からも見放され今に至っている。
「・・・お母さんのこと気にしてたんだ。お母さんは介護対象だって聡美ちゃんもわかってたんじゃなかったのか?お母さんから奪いたかったのか?」
「うん、ずっと考えて、でももう諦めてた」
そういって聡美は抱きついてきた。
ピッタリと上体を合わせ腰だけを持ち上げる。
その姿勢で腰を上下させるので肉径が擦りあげられる。
「ううっ、くう・・」
亀頭冠を刺激される快感に耐えがたく、目を閉じ力いっぱい奥歯をかみしめ辛うじて歯列から息を吸う。
すると、柔らかな唇が重なってきた。
聡美は康祐の亀頭を解放するとキスをしながら足を伸ばし康祐の身体の上で豊かな肢体をゆらめかせた。
長いキスが終わり聡美が顔を上げるとふたりの間に唾液の糸が伸びた。
「康祐さん」
「うん、なに?」
「ふふっ、呼んでみたかっただけ」
聡美にとって母は単にライバルであったかもしれないとその時になって思った。
沈黙を破ったのは聡美からのキスだった。
もう考えるのはよそう。今はそんな時じゃない。
焦がれ続けた聡美にいつまでも責めさせるわけにはいかない。
自分でも責めたくなって繋がったままくるりと身体を入れ換えて上になった。
組み敷いている間に思考が蘇ってきていた。
太腿を十分に開かせ割入って上から押さえつけるようにして熱棒を芯に打ち込んだ。
愛液が絡みついた恥部同士が打ち付けあうビチャッビチャッ、という音に混じってパンパンと責め音が部屋中に響き渡った。
「あん、あん、あん」
声を弾ませて聡美はシーツを握りしめ逝きそうになるのを耐える。
高まるにつれて鎖骨から続く首筋の浮きたち、苦しみに歪む顔がいっそう康祐を勇猛にした。
この姿勢を維持しながら家族のためと言いつつ身体を開いてきた母の諒子を最後は寝取った。
今回はそれ以上に責めて離れられないようにしてやろうと頑張ったが肝心のところで息が上がった。
抱え込んでいた聡美の足を離して静かに重なった。
それと悟られないよう肘をつき肩を引き寄せて衝撃が逃げないようにする。
その姿勢で腰をくいっ、くいっと打ち振った。
「あっ、あっ、あん・・・あああ」
顎をせり上げ、しがみついてくる聡美。
連続して腰を躍らせると、
「あん、ああん、あああ、逝きそう・・・康祐さん、イク!」
足首を康祐の腰に絡ませながら聡美がひっ迫した声を放った。
「聡美、どうだ」
ここぞとばかりに立てつづけに打ち込んだ。
「わん、あん・・・もうもう・・イク、早く出して! 中にハヤク・・」
腰の疲労を忘れて猛烈にえぐりたて、奥を突きあげた。
「あああ、イクぅ・・・はあぁぁ、うっ」
昇りつめ、しがみつきながらも肢体を小躍りさせ恥骨を激しくしゃくり絶頂を伝えてくる聡美。
だが康祐の躍動もここまでだった。
ガス欠のポンコツ車のごとく最後はガクガクと動きが伴わなかった。射精感が高まる前に心臓が持たなかった。
聡美の絶頂の痙攣が治まるのを待って身体を離し横になる。
天井を見ながら息を整えていると聡美が身体を寄せてきた。
右腕をグッと抱き寄せる。
「すごくよかった」
胸板を指でなぞりながら聡美が言った。
「でも、出してほしかった、これ」
聡美の手が滑り降りて先ほどまで蹂躙し形を失っていない肉茎を掴んだ。
「わたしとの約束、やっぱり無理なんでしょ?」
「そうじゃない」
「お母さんを裏切ることになるから?」
「そうじゃなくて、聡美ちゃんを本気で逝かそうとして欲が出て息が上がっちゃったんだ。次はちゃんと鍛えとく、気にしなくていいよ」
そう思いながらも今夜聡美の中に出せなかったことを悔やんだ。
この機会を逃せば、再び聡美の上に男が乗るかもしれない。そうなると聡美を娶ることなど夢のまた夢となる。
息さえ上がらなかったら何度でも聡美の体内に熱い血潮を送り込み孕ませることができたと思うと悔しさがこみ上げてきた。
「今夜はこの布団で一緒に寝てもいいの?」
ペニスから手を離した聡美が胸に顔を埋めてきた。
ふたりだけの夜に
康祐は冷えはじめた聡美の身体を引き寄せ強く抱きしめた。
ポチッとお願い 知佳
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老いらくの恋 前篇
集まった観衆は実際の絵を見て自身がその良さに惹きつけられるわけではない。
こうやって評論家の先生が批評してくれて初めて、それが良い絵だとか悪い絵だとか納得して帰るわけである。
矢口康祐は出来ることならその場を離れたかったが、説明を受けているその絵を描いたのが自分であっては身勝手な行動は許されない。
先生の説明とあって一番集団の前で聴いている康祐は終始しゃがんで聴いていて足がそろそろ痺れはじめたころになってやっと説明が終わりかけ、評論家の口調も一段落し、他の絵に移動するのかというころになって集団の後方がざわめいた。
観衆の一番後ろにいた幾人かが立ち上がって今来た人物のために道を開け、ざわめかれたことに呆然と今入り口に佇んでいる少女に、まるで亡霊でも見ているかのような視線を放っていた。
一瞬の沈黙の後その集団の中から「本物だ」「絵から抜け出したようだ」という声が飛んだ。
素人画家の矢口康祐が何年もかけてほぼ等身大に描いた絵のモデル聡美がそこにいた。
すると観衆の中から妙なヤジが飛んだ。
「本物のほうがきれいだ」
この一言で聡美の顔がサッと曇った。
観衆の邪魔にならないよう脇に控えていたこの会の広報担当者が慌てて駆け寄り来訪をねぎらった。
観衆が立ち去った後になって広報担当は気を利かせて聡美を絵の前に立たせ数枚の写真を今後の広報活動に使うという名目で撮ったが終始聡美の笑顔は戻らなかった。
絵に描かれていたのは聡美が24歳の頃に撮った写真をもとに6年がかりで康祐にしては人生で2番目に描いた油彩画。つまり今目の前の聡美の6年前の姿を額の中に納め出展してしていてその年数分違って見えるのも無理はなかった。
それを暗に知っていてこの会の委員候補者が、よく言えば絵の出来が素晴らしいと、悪く言えばホンモノは絵ほどきれいじゃないよと観衆に向かって聞こえよがしに言ったものだった。
委員候補者の気持ちもわからぬではなかった。
みんなが良く集まる街の展示会場を兼ねる喫茶店に、初めて訪れた一組の客がいた。
展示してあったのはこの地区でも名をはせた人の絵だった。
来た客はしばらく熱心にその絵を見ていたが、帰り際になって絵の値段を聞いてきた。
売るとも売らないとも書かれていない絵、それをいきなり身なりもそれほどでもない人物が買おうとする。
店主はやんわりと絵の持ち主に電話をかけ値段交渉する傍ら、会の責任者にもこっそりと離れた場所で購入者が現れたことを告げ、正当な価格で売るべきか問うた。
その時が康祐と会の代表者助沢との初の出会いだった。
突然呼び出された助沢は購入者の機嫌を取るべく「絵に興味がおありなら描いてみられたらいかがですか?」とポツリと言った。
その一言がきっかけだった。
購入した絵を自慢げに部屋に掲げ誰彼なしに吹聴していた弥和は夜勤明けで疲れ果て足元に寝っころがる康祐に向かって一冊の本の開いて見せこう言った。
「あの小生意気な先生とやらの鼻っ柱をへし折ってやりたいと思わない? これ描いてみてよ」
絵を描くなどということは義務教育で多少齧った程度で、何をどうして良いやらわからない康祐に、今購入してきたばかりの絵に比べさらに高度な写真を突き付けてきたのである。
言い出したら聞かない弥和を黙らせるには眠さや辛さを我慢してひたすら努力の姿勢を示すしかなかった。
「どうせできないとわかったら諦めてくれる」
ほんの軽い気持ち・・・でもなかったが時間が許す限り昔を思い出し手を動かした。
幸いなことに苦学生時代、友人にイラストが上手い友達がいてしょっちゅう講釈を聞かされていたことも幸いした。
弥和の出した宿題はおよそ3ヶ月を要したが10号程度のスケッチブックに鉛筆1本で描いた絵が完成した。
出来上がった絵を画材屋さんに持ち込んで額を選び、その場で額装した。
たまたま来店した方がこれを見て絶賛した。
「まるで写真みたいに見えるけど、これ鉛筆で描かれてるんですか? どこに所属されてますか?」
自宅に持ち帰って来客があるたびに弥和は自慢したが、これで下地ができたとばかりに次の課題を出してきた。
それが聡美の幼いころの写真だった。
手のひらサイズの写真を10号大に拡大して描き、しかもそっくりに描くというのは相当難しい。
再び時間が許す限り絵と向き合う日々が続いた。
写真をそのまま描いただけでは臨場感が出ないから写真に見合う光景を探して彷徨ったりもした。
半年近くかかってそれが完成すると絵を購入した喫茶に持ち込み、助沢に見せた。
それを見た助沢からもっと大きくて、出来たら油彩を描かないかと誘われた。
描きさえすれば会で賞を取れるとまで言われその気になった。
聡美が学校を卒業し、都会にも慣れたある日の午後、公園の桜の木の下で撮ったポートレートをもとに油彩を描き始めた。
その写真の聡美は美しい髪をなびかせ弾けるような笑顔が愛らしく康祐の印象に残り、バックの桜をやめ風をテーマに後方の光景を構成した。
故郷の高原に立つ聡美像を5年がかりで描いて展示会に出した。
康祐としてはこれまでと違って大きなキャンバスに描いたつもりだったが悲しいことに20号では隣に並ぶ100号に比べ見劣りした。
巡回展を終え帰ってきた作品を前にして助沢はこういった。
「とても評判は良かったが、作品が小さすぎて評価の伸びが今一つだった。次回は100号とまではいかなくても隣に並べても見劣りしない程度の大きさで描いてほしい」
それをクリアーすべく頑張ったのが企画担当学芸員が講釈を述べた絵だった。
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康祐が聡美と初めて顔を合わせたのは聡美が10歳に満たないころだった。
英語塾に通い始めていた聡美を雨や雪が降る日は必ず塾へ送迎した。
出かけた先で体調が悪くなったり天候が悪くなると必ず声がかかるようになった。
なにか不都合なことが起こると母親の弥和を通じて連絡してくるようになった。
高校生になるとそれが頻繁になり、卒業して就職すると往復7時間要し手伝いや相談にはせ参じ、帰省の折は車で送迎した。
職場のアイドル、雑誌モデルにもなった聡美は、それでも個人的な写真を一杯送ってよこした。
その中から絵の素材んあるような写真を懸命にピックアップしている康祐に弥和は聡美の撮影会を行ってみてはどうかと提案してくれた。
その撮影会で撮った写真を組み合わせてできた絵が「本物よりきれい」な絵だった。
24歳の時に撮った写真を30歳を前にした本人と見比べ批評されたのが聡美にはやりきれなかったし、康祐には手の遅さが悔やまれた。
次の作品に掛かりたいと思って聡美にそれとなく頼んだが、素っ気ない返事が返ってくるばかりだった。
絵は時として10円玉程度の部分を描くのに数日要するときもあるほど難しい。
絵が好きというより聡美が好きでなければ到底この時間を我慢して絵に向き合えない。
素っ気ない返事ばかりが帰ってくる年は結局描けず出展を諦めたが、帰省してくれた聡美に暗に気持ちを伝え来期の協力をお願いした。
協力をお願いするとき、これまでのように目そらしながら話すようなまねはしなかった。
真剣さを聡美がいるから前に進めるんだということを伝えた。
聡美は休みが終わって帰りのバスの中から撮りためた写真をいっぱい送ってくれていた。それが聡美から康祐への答えだった。
康祐と聡美は30歳以上年が離れている。
康祐は老いて聡美と最初に出会った頃の精悍さはない。
それが康祐の負い目だったが、聡美も同じことを展示会で言われ傷つき、それでようやく姿だけに康祐が焦がれ続けてくれているんじゃないことに気が付き、アラサーになってなお一層追い求めてくれていることに歓びを感じ始めてくれていた。
学生時代から聡美にはファンクラブがあった。
就職した先でも男性に付きまとわれ何度も連絡先を書いた名刺様のものを手渡され、時には人恋しくなりその中から思いついた人と付き合ったが一様に関係が進むと雲が流れるかのごとく疎遠になりはじめ、淋しさに耐えきれなくなり聡美から別れを告げていた。
その点康祐は違った。
母が体調不良になり精神を病んで一時は廃人とまで言われた折にも必ずそばにいて見放した家族に変わってサポートし続けてくれた。
それがもう20年以上にもなる。
故郷に帰ってくれば聡美とは親子のように接触していた。
それが今度こそと思う展示会で体調不良の母弥和に変わって聡美がパートナーとなって会場にに足を運んでくれていた。
「悪いな聡美ちゃん、じいさんのお守までさせて」
遠慮がちにいう康祐に聡美は小首をかしげた。
「どうして?」
「どうしてって・・・」
弥和を看病し家事を手伝ったり一緒に買い物に出かけたりしている間に女房ともうまくいかず離婚し、子供たちも独立 天涯孤独な老人になってしまっていた。
「今度こそ一緒に歩きたいんです。だってこの会場で一番の作品を描いた作家さんでしょう?その絵のモデルがわたしだからうんと自慢しなくちゃね」
前回この会場に来たときとは打って変わって訥弁だった。母の弥和に似て弁が立つようだ。
「おいおい、よさんか大声で・・・」
苦笑いしながらも悪い気はしない。
「ぜひ、脱がせてみたいほど服の上からでもよくわかる豊満さを描ききってますね」前回の絵の批評にあったように、聡美と関係が持てたらと瞬間思い、自分を叱責した。
「こちらで用事があったら遠慮なく済ませてくれてもいいんだよ」
「わかった、何かあったら連絡くれない?
「うん、メールならできるんだがベル番がな・・・」
前回気まずくなった折に登録情報をすべて削除し、付き合いを諦めていた。
「今鳴らせばいい?」
スマホを取り出しガラケーを鳴らしてくれた。
「ありがとう、今度こそ大事に登録しとくよ。私もちょっと見たら残念だが急いで帰らないと心配でな。飛行機使えば夕方には帰り着く、聡美ちゃんも気を付けて帰るんだよ」
聡美は明るく手を振ると展示室を出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2月末になって遅い冬休みを利用して聡美は帰ってきた。
駅に迎えに康祐だけが行った。
母の弥和は体調がすぐれず自宅で待つと言った。
帰省してどこかに友達と出かける際だけ聡美を助手席に乗せて走る車、それが今日は最初から聡美が乗ってくれていた。
自宅までの僅かの間、聡美と久しぶりに短い会話を交わすことができた。
康祐の心は浮き立った。交差点で信号待ちの間を惜しんで聡美の横顔をしっかり目に止めた。気が付いた聡美もちゃんと見返してくれた。ただそれだけで心躍るほどうれしかった。
その夜はいつものように3人揃って夕食を済ませ寝た。
帰省したとき聡美はいつも母親とひとつのベッドで寝る。
自身の稼ぎだけでは粗末な寝具しか買えず、実家に帰ったとき使うことができるクイーンサイズのベッドが大のお気に入りだった。
翌朝、少し遅れて目覚めた聡美は軽い朝食をとると出かける準備を始めた。
いつもなら帰省の折は休み中の計画を母親に打ち明け、その計画に沿って康祐はタクシー代わりに送迎していたが、今回は聡美が送迎を直接頼んできた。
行き場所を聞くと曖昧な返事が返ってきた。時間も場所も雰囲気で適当に告げているとすぐに分かった。
「今回の休みは友達との約束が取れなかったんだ」
それとなく聞いた康祐に聡美は付き合っていた人と別れたいきさつをいきなり話し出した。
「誕生日に合わせてどこかにって前から話してたのに、あと少しで誕生日だからどうするか聞いたら忘れてたって・・・」
唇をかみしめながらつと顔が窓の外に向いた。
「そうか、聡美ちゃんのこと真剣に考えてくれてなかったんだ」
学生時代から大勢の男に言い寄られてきた聡美にとって、約束をすっぽかされたことが相当ショックだったようでアラサーになったことの悔しさをまたぶり返して愚痴った。
母親にはその男とはずいぶん前に別れたと言いながら、隠れて付き合い続け半同棲になった今頃になって男から距離を取られ始め自尊心の強い聡美の方から別れを切り出し、気持ちの持っていき場所が無くなり帰ってきたと言った。
描き続けている絵はちょうど聡美の太腿の部分、同棲と聞いて康祐は心穏やかではおれず、つい助手席の聡美の足に目をやった。
ミニのフレアスカートの裾から透き通るような太腿とその隙間が見えた。
事故を起こさないよう細心の注意を払いながらも視線を聡美の豊かな胸元と太腿に走らせた。
自暴自棄になっている。そう思った康祐は車をこの時期デート目的のカップルでもない限り立ち入らない海岸線にある公園目指して走らせた。
公園の入り口に差し掛かり周囲に車がいなくなると聡美はそっと運転席の康祐に手を伸ばしてきた。
その指先を康祐の手が捉え引き寄せた。
「聡美ちゃんだけを来る日も来る日も見続け頑張ってきたんだ」
「うん、わかってた。ごめんなさい」
もう別れた男のことは忘れてくれるんだねと聞くと聡美はクスッとわらってこう聞いてきた。
「気になる? 妬いてくれてたんだ」
「とられたと思っただけで頭が混乱して思うように描けなくなるんだ」
康祐は聡美に懇願した。
「それじゃ今後は素直に白状してくれるんだ」
聡美が嬉しそうに運転中の康祐に寄りかかってきた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
車は岬の先端にある公園まで行き着かなかった。
康祐はガードレールにかろうじてぶつからないようハンドルをさばき車を止め聡美を受け止め唇を奪った。
奪いながら懸命に右手を伸ばし助手席の座席シートを後ろに倒し聡美の上にのしかかった。
聡美の舌を絡め取りつつ右手を今度は聡美の胸に這わせブラウスのボタンを外しにかかったが場所がわからず一瞬唇が離れた。
その康祐の唇を聡美が追って舌を挿し込んできた。
「絶対離れないと言って、お願いだから」
聡美は積極的だった。
一時期は同棲し頻繁に男と行為を繰り返した。いくら美人と言っても男の言いなりになって寝てくれる聡美、それに飽きた男が恐らく別の女を作って聡美を放置し始めたんだろうとわかった。
聡美は巧みな指使いで康祐のズボンのジッパーを引き下ろし元気になり始めた愚息を取り出し握ってくる。
もはや悠長にブラウスのボタンを外す余裕などなかった。
指先にまとわりつくスカートをどかしながら太ももの付け根に押し進もうとすると足裏で向う脛を擦り上げられた。
聡美の手の中で愚息が急激に勢いを増すのがわかった。危うく前戯なしで挿し込もうと図った下品さを恥じた。
せっかく相手から飛び込んできてくれたチャンスを逃さないようにと慎重にキスを下ろしていく。
顎から首筋へ。更に肩から二の腕へと唇を押し付ける。
「あっ・・・そこ、いやっ」
腕をあげさせ、ノースリーブの腋のしたにキスをすると馥郁たる汗の臭いが鼻腔から忍び込んできた。
聡美は数ヶ月前から脱毛サロンに通ってレーザー治療を受けていた。
ツルツルになった腋窩を舐めながら乳房を愛撫した。いつぞや評論家が言った服の上からでもわかるたわわさを直に味わった。
「うんっ・・・あっ・・やっ、あん」
腋窩への愛撫が感じたのか聡美はビクンビクンと肢体を震わせる。
康祐は面倒なボタン外しを途中でやめ、ブラウスの下から手を滑り込ませ、直にブラジャーを掴んだ。
すべすべした感触を味わいながらふくらみの量感を確かめる。
描くため幾度も想像し、耐え切れなくなって自分で処理していた。その空想以上に豊かだった。
服を半分脱がせた状態で乳房と乳首を十分に責め、徐々に聡美の上で態勢を入れ替えながらズボンとトランクスを脱ぎ聡美に愚息を与え自身はスカートを捲りあげパンティーを脇にどかしながら隙間に鼻づらを押し込んで太腿を開かせた。
鼻の頭に聡美の潤みが付着し甘酸っぱい芳香を放った。
鼻の先端が丁度窪みにめり込む位置に顔を据えると舌先が陰核に程よく触れる。
康祐は膨らみ始めた陰核の周囲を丹念に嬲った。
その間にも鼻先を使って窪みを何度も突いて先端に付着する愛液を嗅いだ。
嗅ぐたびに聡美が含んでくれた愚息が勢いを増すのがわかった。
すっかり陰核をむき出しにすると舌と鼻を使って陰唇を割った。
何度も舌をッ上下させるうちに聡美の恥骨がビクンビクンと扇動しはじめかわいらしい喘ぎ声が漏れ始めた。
ふたりの吐く息で車の窓ガラスは完全に曇って外は見えなくなっていた。
康祐はそれを確認すると聡美の尻からパンティーを脱ぎ取って運転席に丁寧に置き彼女の両足を抱えると深々と秘部に顔を埋めた。
何度も何度も秘部を責め乳首を指で弾き甘噛みし聡美を逝かせようと試みた。
150センチにも満たない背丈の聡美のたわわな乳房が躍っている。
40キロにならないよう食事制限しジムに通って体型の維持に気を使ってるというが必要なところにはちゃんと肉がついて、それが生身の女の色気を醸し出している。
「恥ずかしいからあまりじろじろ見ないで」
聡美が脱がせたばかりの服を使って身体を隠し始めた。
「そんなことはないよ、この状態が描きたくなってきてたんだ」
「ヌードは絶対嫌だからね」
「わかってる。自分の女房のヌードを描いて売るほど落ちぶれちゃいないつもりだ」
この言葉を聞いた聡美の目が潤んだ。
「それって変じゃない? 普通こんな時に言う?」
「聡美ちゃんの気持ちを確認しないうちはこんなじいさんが滅多なことを言えないよ」
「本気にしてもいいの? 気が変わったって後で言わない?」
「絶対言うもんか。体力が擦り切れるまで愛し続けるに決まってる。今周囲のみんなに自慢したくて仕方がないんだ」
半裸の聡美の脇に康祐は身体を寄せ愛撫し続けた。
たわわな乳房は静脈が透けるほどに張りつめ乳暈から乳首がツンと上を向いて康祐の愛撫を待っていてくれる。
このピンクに色づく乳首についつい引き寄せられ唇を這わせ舌先で転がした。空いている乳房を手のひらで包み揉みしだくと滑るような感触が伝わった。精力を全て吸い取られるような気がした。
「あっ・・・ぁあああぁぁ・・あん、恥ずかしい・・・」
快美の声が漏れるのを恥ずかしがって手で顔を隠す仕草をする聡美。
乳首を口から吐き出すとべとべとに濡れた乳暈と乳首がぷるんと躍る。
下半身へと至る曲線をなぞり、再び片足を持ち上げて膝が腹につかんばかりに押し付け広げ、恥肉に顔を埋めた。
「だめっ、誰かに見られたら・・・」
思わず顔をあげ周囲を見回す聡美、だが窓は先ほど以上に曇って一寸先も見えなくなっていた。
「見えるわけないよ私の頭でちゃんと隠してる。せめてのこの機会に自分だけにためにある大切な場所を脳裏に焼き付けておきたいんだ」
心からの声だった。
わずかにチーズ臭をただよわせた女の苑は、ぷっくりとした肉ビラがよじれるようにし内部を護っていた。
再びあわせめに舌を走らせると、ゆっくり広がって内部のピンクに色づいた肉球をのぞかせる。
許された時間、遮二無二しゃぶった。
「あああん、いい・・・そこ・・・もっと」
すっかり上を向いて勃ってしまったクリを舌先でつつくと太腿を突っ張らせ下腹部をせり上げてくる。
「うあっ、うあっ、ああ、やっ」
腰があさましく横揺れする。
舐めても舐めてもすくいきれない愛液が尻の方へと滴り落ちた。
「あああん、入れて・・お願い・・」
聡美は康祐に押さえ込まれ身動きできない状況の中で哀願してきた。
康祐は聡美の要求に従って上体を入れ替え聡美の潤んだ秘部に愚息を近づけてみた。
聡美の秘部を散々見せつけられ興奮の極に達し、先走りしていながらも挿入可能が硬度が失われていた。
「出来ちゃった婚にしたかったけど、久しぶりにきれい過ぎる聡美ちゃん見たら調子が狂っちゃったみたいだ」
聡美は悔やんだ。最初に口に含んだ時には十分すぎるほど怒張し欲望を募らせてくれた。
それがいざ胤と思うと緊張しすぎて・・残念だが聡美にもそれは理解できた。待たせた年数が長すぎたんだとその日は諦めた。
ポチッとお願い 知佳
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残照
数日が空しく過ぎた。
---私は間違っていたんだろうか。結果が悪い方に出た沙織が去るようなことになったら・・・
男として不具者であるかの如く -思い違いであったとしても- 追い詰められ、研究者としてのプライドで望んだこととはいえ貞淑な妻と一方的に思い込み、不貞を働いたかもしれないことを責め、手元から去らねばならない結果を作ってしまったのかと思うと後悔の念が先に立った。
その反面、夢にまで妻に向かって誰と寝たのだと激しく追及する自分が今現在でも自分の心の底にいる。
誰にも渡したくないほど恋しい妻だからこそ、その不貞が許せない自分。が、そうなると子供たち、殊に長女まで一緒に追い出すことになるような気がした。
罵倒し、崖っぷちまで追い詰めておきながら
顔かたちが似ないまでも北里新三郎の胤だったと結果が出て欲しいと願う自分がいる。
10日が過ぎ新三郎は研究所に向かった。研究所に強引に問い合わせ、それほどおっしゃるならお話できるところまでなら説明しますと言われたからだった。
「どうぞお掛け下さい」
「改めてもう一度お聞きしますが、最初にここで述べられた内容にそぐわないかもしれない結果であってもお聞きになりたいですか?」
「・・ええ、それは・・」
北里新三郎は目の前が暗くなった。聴き方によっては言葉のあやかともとれるが「内容にそぐわないかもしれない」とは取りようによっては結果が尋常ではないことを匂わせている。
「北里さんも研究者ならご存知とは思いますが、現代の医学技術ではDNA鑑定は絶対です。そこで血液のABO式、RH式、MN式についても検査しました。ABO、RHとも問題はありませんでしたが、MNではあなたがMで奥様がMNですが、残念ながらお子さんは双方ともN型です。絶対にありえません」
「そうですか・・・」
顔が青ざめ血の気が引くのが自分でもわかった。
妻の沙織は貞淑を装いながら夫婦生活を送り、その実抱かれたい男がほかにいて、充実した時を過ごした直後、2度ともその男の元へ走り胤を宿しそれを自分たち家族に養わせ知らん顔をして過ごしていることになる。
「連絡を差し上げなかったのは他でもありません。思い直しt気頂けたらと真摯に願ったからです。あなたが先に探偵に調べさせ納得なさった上で更に確証を得るため聴きに来られるようならと、何もなかった、平穏に済ませたい気持ちになられた。だから聞きに来られた。そう望んだからです」
暗に男女間の性の問題と言っても、そこは冷静に考えれば胤の受け渡しの問題。研究者なら結果については行為がどの程度成就できたのかさえ分かれば、それ以降のことについては想像ができたはずで、ここに来られるのは心のうちの相談だけではなかったのかと問われているように聞こえた。
「父権は否定されたわけですから離婚調停を開かれても勝てると思いますが、そうなると婚姻中の不貞ですので相手方も同罪か奥様以上に賠償が必要になるわけですから血縁関係をさかのぼって調べることにもなります・・・」
何を説明されているのか北里新三郎には語尾が聞き取れなかった。
「おせわになりました。ありがとうございました」
やっとこれだけ言うと研究所を後にした。
周囲の音をかき消すように左の耳からキ~ンと耳鳴りが聞こえ悪寒がした。
真っすぐに歩もうとするのだが身体が右に斜傾し目標に向かって進めないでいた。
結婚以来妻を目にするたびに湧き起こる寝盗られ妄想が、隣で安らかな寝息を立て安堵の表情を浮かべ寝入る妻を見ると益々膨れ上がり治まらず苦悩に歪んだ日々を送り続けた。
男として夜の営みで妻を満足させてやり、その疲れで安堵して寝入っているなら納得もできようが疲れ果てて帰り、食事もそこそこにベッドに倒れ込むようにして寝入ってしまった夫の脇で安堵の表情を浮かべられても納得しようがなかった。
ましてや北里家において姑との仲は沙織が一方的に付き従ってるからこそうまくいってはいるが、穏やかな気持ちで日々過ごせるわけはなかった。 そのことは養子にもらわれここで暮らした新三郎こそ良く分かっていた。
ーー妻を心の内で支えてくれる男が外にいるーー
結果を聞き、それが妄想ではなく現実に妻は延々ほかの男に躰の芯まで慰められ安堵させられ帰され、家に帰れば何事もなかったかのように貞淑を装って自分とも肌を重ねていたと思うだけで腑の腸が煮えくり返った。
- 男根ではなく財力と権力とではあったが - 威厳に満ちた男という形態で抑えこんだように思えた、それが全否定されたような気がした。
暗雲たる気持ち家路についた北里新三郎を玄関で真っ先に出迎えてくれたのが妻の沙織だった。
「お帰りなさい。お疲れ様でした」
表情は常と変らず穏やかだったが新三郎は無言のまま居間や食卓ではなく書斎に向かった。
沙織が後に従った。
「もう一度聞くが、あのふたりの子供はいったい誰の子・・・」
そう口にしたと思うが、問う声が震え、語尾などはボワンボワンと耳腔内で響き上手く発音できなかった。
「あなた・・・」
聞き入る沙織の顔が生気を失うのがわかった。
「うそをつけ!」いうのを待たず怒鳴っていた。
相手が何を言ったのか確かめるゆとりすら失って、もはやそれはわめきに似た声だった。
「結婚以来これまで、貞淑を装いながらずっとほかの男と関係を持ち2度も孕んで子を産み、それをこの家で育てえさせてきた。普通の神経ではとても考えの及ばん度胸の据わった裏切りだ。化けの皮を剥がされることがなければこの先も同じことを繰り返していたんだろう!えっ そうだな!」
我慢に我慢を重ねた言葉が堰を切ったように口を突いて出た。
「何かの間違いでは・・・」 女というものほど恐ろしいものはないと、かつて何かの本で読んだことがある。
現に沙織は懸命にその場を取り繕おうと努め聞き返してくる。
「この鞄に頂いてきた資料が入っている。それをよく読んでから言いたいことがあれば言え」
沙織の前に先ほど研究所から頂いた資料が入っている鞄を投げて渡した。
床に落ちた資料を拾い上げると沙織は一心にそれを読むフリをした。
「ねつ造文書だというんじゃあるまいな」
沙織は文書から顔を上げなかった。
「言ってません、そんなことは一言も・・・」
「じゃあ聞くが、この文書にある男とはいったい誰のことなんだ?」
「何度も応えてきたじゃありませんか。もうこれ以上何も申し上げることはございません」
「この期に及んで、今度は黙秘権か?これほど証拠がそろっていながら裁判にでも持ち込もうというのか?」
「裁判は行いません。わたしが子供を連れてこの家から出ていけば済むことなんでしょう?」
沙織は顔を上げ新三郎を見つめた。
「北里家のお考えはよくわかりました。ご迷惑をおかけしました」
この段になっても新三郎は己が知らずやったこととはいえ沙織をないがしろにしていたことに気づかないでいた。
例えば沙織と付き合い始めた頃の新三郎はどうだったかというと、
許しを請うて太腿を割るのに、それはそれは難渋したものだ。
紙切れ一枚の差とはいえ、夜になるとそれが当たり前のように開いてくれ味わえた。
時が経つにつれそれは恒例の行事のようになり新三郎にとって新鮮味が薄れ、疎ましくさえ思うようになった。
沙織はというと、その行為自体魅力はさほど感じなかったが、何と言ってもそのことで夫は益々出世し財を持って帰ってくるようになり、そのことが開いたことへの感謝に思えるようになり・・・
つまるところ夫は時が経てば妻を飯炊きと思うようになり、妻は夫を夢をかなえてくれる利器と思うようなるに至り、肝心な部分は外へ求めるようになった。 というわけだが・・・
「勝手なことは許さん」
「ではどうしろと?」
「これは研究所からも進められたことだが探偵を雇う。彼らにすべて調べさせ、寝取って胤を仕込んだやつに慰謝料を請求してやる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もう何を言っても無駄だと知った沙織は深夜、寝ていたふたりの子供を起こし事情も告げずひっそりと家を後にした。子供たちは子供たちで前回家を出たときの様子がただ事じゃなかったと子供心にも感じていたためか素直にこれに従った。
終の暇を告げたかったが逆上した夫は書斎にこもって計画を練っており、下手に声をかければ火に油を注ぐ結果にもなり得ない、そうなると子供にも手をあげかねない、義父母には悪いことをしたと心で詫びたが遅かれ早かれこうなることは感ずいていたと思い、すでに休んでおられるのを無下に起こすのは止めた。したがって沙織たちが家を抜け出したことに老夫婦は気付かなかった。
沙織はひたすら悲しかった。
本当の理由を告げれば、それはそれで傷がもっと深くなるかもしれないと思った。それならいっそのこと自分一人で罪をかぶれば済むことだと以前は考えていたが、まさか育ててきた子供にまで憎しみに歪んだ牙を向けられようとは思わなかった。
だからこそ前回家出した折にこうなることを予測して実家に子供を連れて帰った折に子供たちを里の親に預け、沙織だけある場所に出向こうと前もって極秘裏に下準備はしてきたつもりだった。
沙織の頭にあったのは子供たちの安全確保だった。
自分の子として認めようとしない夫は、深夜に脱出した子供たちを見つけた場合、沙織と同等かそれ以上の仕打ちをするだろう。安全を考えてくれるほど甘くはないことはその眼を見、言葉を聞いていればおおよそ見当がついた。
何も知らない子供たちと無事に暮らしていけたらと、一縷の望みをこれから向かう場所と出会うことになる相手に託した。
幸いなことに家を出た日も含め行程中は天候に恵まれ寒い中ではあるが野宿しながら徒歩で向かうに命の危険が伴うほどでもなかったと、気づかぬうちに逆上していた沙織は思っていたが後になってこれが命取りの行脚になってしまう。
一行は追跡を避けるため裏道を抜け向かった。幸いなことに子供たちはこれを遠足とでも思ったのか途中歌を歌うなど和やかに進むことができた。
長男の健太は終始健気に自分で歩いてくれた。奈緒は疲れたころを見計らい何度も沙織が背負って歩いた。着の身着のまま逃避行しているとはいえ、そこは前回の轍を踏んで用意周到 防寒用の衣服もあれば食用も水もある。荷物は相当量になった。その上に5歳の子供を背負って歩くのはさすがに女には苦痛を伴った。
新三郎はすっかり妄想に取りつかれ、もはや人とは思えないほど冷徹になりきれていた。一晩のうちに妄想は胤の違う子供にも及ぶほど凝り固まっていった。自身も別れる羽目になり苦悩するなどということはすっかり頭から消え失せ、妻を寝取った男ともどもへ断罪下す優越に酔いしれていたからだった。
養子にもらわれてきて艱難辛苦を味わい、やっとエリートコースにのれたことなどどこ吹く風、いまは男としての優劣が全てとなった新三郎。
貸し出した妻が他人棒に苦悶する姿を観て奮い立たせ、行為を終えた妻をその場で甚振るなどという夢より断罪を衆目の元下すのがもっと快感につながるだろうなどと勝手に思っていた。
朝になり沙織と子供たちが消えたことを確認すると益々怒りが募った。あれほど我慢に我慢を重ね家に住まわせ気を使ってやったのに泥棒猫のごとく用が無くなればだまってさっさと立ち去る、それが余計に許せなかった。この怒りが新三郎をして計画を実行に移させた。
家を出て行ったということは裁判に勝つ何かがあるからだと勘ぐった。このうえまだ自分が努力して気づきあげた財産を横取りし胤をつけた男に貢ぎたいのかと怒りが募った。それならその前に確証を掴まなければと暁暗であるにもかかわらず先走った。
両親が聞けば絶対反対したかもしれない探偵屋に、独断でイの一番に連絡を取ったところからして異常だった。
名家であるならそれなりの弁護士にお願いし、問題の解決に当たるのが筋のところを不貞・不倫という屈辱的な部分だけで頭に血が上り思い知らせてやろうという歪んだ考えの揚句不倫に似合いの探偵屋に決めたのだった。
依頼を受けた翌日から探偵は動いてくれた。
事件の内容が不貞捜査であることから探偵事務所はいつも行う不倫調査のつもりと軽く考えノウハウ通りしらみつぶしに男女が不倫の際良く使うホテルの目星をつけに歩いた。
それと同時に、写真をもとに似顔絵を作らせて聞き込みして回ったが、なぜか空振りに終わった。そこでこれまでに手掛けた失踪事件でよく行う、婦人の足取りを日常の行動範囲と思われる各所から洗う防犯カメラの映像で追ってみたものの、これも全く手がかりがなかった。
どの聞き込みでも判で押したように沙織は同じ店に立ち寄り、ひとりで買い物を済ませるとそのまま家路に向かっていて、北里家の周囲に取り付けてある防犯カメラにもその出入りの際の姿が正確無比に映っており疑う余地は皆無に思えた。
このことから普通に言うところの欲情にまみれた不倫の男女関係の線は消えた。もしも男女が不倫の関係にあったならば頻繁に連絡を取り合って出会いを繰り返すはずで、その姿は必ず誰かが目にしているはずだが、今回の事件に関してはそれは一切なかった。
同窓生などにも聞きまわったが学生のころから沙織に浮いた噂のひとつもなかった。
深窓の君というにふさわしいほど結婚を機に外部との付き合いはプツリと途絶え皮肉なことに貞淑というにふさわしい生活をただ淡々と繰り返していたことがこれで証明された。
その世間を知らないはずの女が幼子ふたりを連れて家を出たということは外部に必ず協力者がいると思って街道沿いでの割り出しに全力を挙げたがどこで聴いても誰に聞いても足取りはつかめなかったし協力者も見つからなかった。
それよりなにより、深夜に忽然と消えた親子の行先(方向)が思い当らなかった。前回飛び出した時には実家にまっすぐ向かっている。そう思って幾日も実家の周囲を取り囲んで出入りの人を監視したが、ついぞ見つかることはなかったし、実家の様子にしても平日と変わらないように見えた。
深夜に自宅を出たといっても実家に帰るならバスとかタクシーを使っているはずなのに、その会社を訪問しても答えは黒だった。ここまでで実家に向かうという線は消えた。
知り合いを呼び寄せるとしたら電話をかけたはずだから記録の残っていそうなものなのにそれもなかった。
「所長、この件は本当に不貞調査で本人と子供は家出したんでしょうね?」
問われた所長の水島真一も応えに詰まった。
「それじゃ村上さんよ、お前さんまさか依頼主が殺して遺棄し、それをわざと探させて時間稼ぎしてるとでもいうんじゃあるまいな?」
「これだけ探して何一つ見つからない不倫調査なんて見たことも聞いたこともない。そうでしょう?見張ってたら相手は我慢できなくなってひょっこり顔を出す。それを報告するんですからうまい仕事、それが間違って殺人事件にでも発展したら事務所はいったいどうなるんです?」
「そうですよ、事件が解決しなかったら報酬ももらえない。このままじゃ事務所は潰れてしまいます。何かアイデアはないんですか?」
終いに事務員までこんな発言をする始末だった。
確かに今は証拠もない、しかしこのまま姿をくらまし続けられるとは思えない。生きていたら必ず顔を出すが、死んでいたとしたら・・・
「俺はとんでもない事件に首を突っ込んだかもしれない」
水島真一は身震いした。
捜査は暗礁に乗り上げたように思えたが、逆に不貞のきっかけがご主人側にあるとしたらという村上と事務員の思わぬ発言で捜査は逆に依頼者を疑うことに事務所内の気持ちが傾き始めていた。
捜査が始まってすぐに気づいたことに、老夫婦と新三郎とのあまりにも似ない面が関係者に疑問を持たせた。そこで、物は試しと新三郎の過去をまず洗い始めた。
北里家の縁者を辿って老夫婦に子供は生まれたことがあるのか聞き歩いた。そこで聞きつけたのが老夫婦には子がなく新三郎はどうやらもらい子のようだという噂を耳にした。養子になる前の新三郎はどんな生活をしていたのか、その調査が始まった。
そしてとうとう行き着いたのが新三郎が孤児だったという事実で、苦労はしたもののかつて拾われた病院名を探し出すことができた。
当時そこに勤めていた医師や看護師から事情を聴こうと思って聞きまわったが、秘密保持の観点から聞き出せないでいた。
ところがひょんなことから聞き込みが進展した。しつこく病院に出入りし関係者に付きまとううちに警備がこれを嗅ぎつけ邪魔をするようになった。当初面倒なやつらだと嫌悪したが、考えてみれば彼らが一番病院内の変化に気を回す職業だということに気が付いた。
病院職員は口が堅かったが警備員はあっさりと当時のことを話してくれた。
話は実にまとまりがよく、こちらが気をまわして質問せずとも相手から勝手に事細かに話をしてくれた。怪訝に思ってきくと過去に美しい女性から同じことを聞かれ応えたところ大層喜ばれたからだという。
それを捜査員は沙織と見た。沙織も事情があって戸籍を調べるうちに養子の件に疑問を持ち警備員に行き着いたのではなかろうかと思った。
そう思った時、自然と回答が出た。
依頼者は確かに研究者として優秀な男だった。
しかし妻の沙織はその上を行く聡明な女だったのではなかろうかと思った。そして何かを嗅ぎつけ、それが不貞を行う原因にもなったのだと仮説を立ててみると、後は簡単に答えが出た。何らかの理由で新三郎には胤がない、この一言だった。取っ付きの捜査はこの一点に絞られた。
警備員の話によると2歳になる男の子は助けられた当時極寒の中に長時間放置され、しかも重篤な栄養失調のため肺炎を起こしており高熱をだしICUに入れられ完治までに相当期日を要し、完治後も度々容体が悪化したので病院で長期間預かりとなった。
逆に小さな布団にくるまれていた次男は容体が安定しており健やかに育って早々に養護施設に移されたという。
そこで妻の沙織が通っていたレディースクリニックでこの事件のことを含め院長に追及したところ、あっさりと新三郎には胤がないことを認め、それでも子供が欲しいと奥さんから相談されていたと語ってくれた。
真実を追求したとはいえいかにも口の軽い院長だった。
こうなってくると真実はひとつだった。
子種が欲しくて誰かと定期的に情交を持ったとしか思えなかった。
その沙織が子種を欲しがっているという情報を男はどこで手に入れ沙織を誘ったのか、それが問題だった。
こればかりは前回の発言をきっかけに院長を脅してみても回答が得られるはずもなかった。
こうして時間だけが過ぎて行った。
沙織たちは深夜自宅を抜け出し、沙織の記憶に中にある場所に向かって歩き続けた。
タクシーに乗ったりバスに乗ったりすれば必ず足がつく、その場所だけは探偵や夫に知られたくなかった。
それ以上に、家出する際 子供たちの後々のことを考えて金品は何も持ち出さなかった。
これから親子3人が生き延びていくために必要なお金を少しでも残そうと思うと歩くしかなかった。
野宿をしながら行き着いた先に地獄が待っていた。
そこは人里から随分離れた山中に作られたある教団の集落だった。
集落と言っても一山丸ごと教団の敷地であり個々の家は叫んでも聞こえないほど離れており、万一一般の人たちが紛れ込んでもすぐには教団敷地とわからないように偽装がなされていた。
その中の一軒に沙織は子供たちを誘った。
一戸建てと言ってもそこは持ち主にとって隠れ家として使う小さな小さなバンガローだった。
沙織はこのバンガローに誘い込まれ健太と奈緒の胤を計算しつくしたうえで仕込まれたのだ。
出生の秘密を知っているのは、だから関係を持ったその男しかいない。
もしも逃げなければならない時が来たら、迷わずここに来るしかないと沙織は常々考えていた。
だから最初に子供を連れて家を出た際、このバンガローに当面の非常食を担ぎこんでおいた。
逃げ込んでから3日後に持ち主がにょっこり現れた。
「しばらくだな、この子たちか?あの時の子は」
「違います。この子たちはちゃんとした・・・」
「へえ~ そりゃそうだよな。間違ったことやっちゃ お屋敷の奥様の面目丸つぶれだからな~」
沙織はドキリとした。男にはあの時の約束を守る気持ちなどまるでないとわかった。
健太と奈緒を孕むときのやさしかった態度とは一変し、軽蔑の念が見て取れ、その欲情に滾った眼が入ってきたときから沙織の胸や足に絡みつくように向けられる。
思わず後ずさりした沙織の手首を男の太い手が掴み強引に引っ張っり隅のベッドに放り投げた。
「やめてください」
沙織が抵抗すればするほど男は躍起になって押さえつけてきた。
「今更きれいごとを言うんじゃないよ。ほ~れ、あの時のようによがり声あげてのけぞってみな、ちゃんと可愛がってもらいたいんだろう?だからここに来たんじゃないのか?」
連日の夫の責めと休みなく歩き続け疲れ切った身体で男に抵抗できるはずもなかった。
足首を持たれ逆さ釣りにされたような格好で下着を剥ぎ取られ下腹部を子供たちの前で剥き出しにされた。
パンティーを剥ぎ取っておいて両足首をもって高々と上に吊り上げ剥き出しの下腹部に顔を突っ込んできて花弁を舌で弄りまわした。
抵抗すればするほど責めは熾烈を極め、反応し始めた下腹部の羞恥に顔をが歪んだ。
せめて性器だけは子供たちの前で晒してほしくないと男の要望通り僅かに自由がきく右手を男の股間に伸ばし擦った。
それが合図とみたのか男は沙織の足首から手を放しズボンを脱ぐとすっかり興奮し切った男を濡れ始めた沙織の膣に突き入れた。
男と女の迎合など研究者の夫に仕えるため忘れていたはずなのに醜いほど身体は男を求め忘れていた感覚が男を狂喜して迎え入れている。怯える子供たちの前で獣のような交合が始まった。
沙織も子供を産み身体はすっかり熟成した大人の女になりきっていたことを今更に健常な男の男根で思い知らされた。
最初に健太を宿した時も、そのあと奈緒を宿した時もセーブしないまま女になりきればよいという安心感から男に組み敷かれ燃え尽きるまで快楽を楽しめた。それだけ沙織の躰は若く、男の性を求めていたことになろう。
それが今度は我が子の前での凌辱であり違うと思っても悲しいことに交合が始まれば、遮二無二男根がめり込み膣内を掻き回し始めればやはり成熟した女として頭とは別に身体が勝手に反応してしまう。
沙織はそれが呪わしかった。
沙織は身動きできないほど弄ばれ半ば快楽に気を失っていた。男は欲情をすべて吐き出すと親子が期待していた食べ物については無視し続け何も置かずにバンガローを立ち去った。
沙織たち親子は、殊に沙織は犯されはしたが、求める女のために何か持ってきてくれていると期待していただけにがっかりした。
それでも次に来るときには何か持ってきてくれるのではないかと、淡い期待も寄せた。
持ち込んだ食料がここに辿り着くころには尽きかけていたからだった。
だが、男はその後も幾度か来ては沙織を子供たちの前で襲った。
男との行為が始まる予感がすると沙織は子供たちに外に出て遠く離れているようきつく言った。
男に抱かれている間に意図せずして発する淫欲な声を子供たちに聞かせたくなかった。ましてや男と欲情をむき出しにまぐわい、快楽を通り越し淫汁を滴らせ女性器が男性器に絡みつき濁流欲しさに絞り上げる様子など見せたくはなかった。
沙織は考えた。
男を、牝として欲情の限りを尽くして受け入れれば乱れきった女を他に渡す前に幾度も征服したくて何か運んできてくれるかもしれないと。
そしてそのとおり、次に来たときにはなにがしかの食料を持ち込んでくれた。これに悲しいかな沙織は狂喜した。女として一人の男を征服することができたと勘違いした。実際には飢えながらにして生きることの苦痛を、この裏切り女には与えたら面白かろうとわざと加減して食用を運んでいただけだった。
沙織は重大な計算ミスを犯した。
男が運び込んでくる食料は親子が食べるに十分でなかったにもかかわらず、組み伏せられた快楽の余韻から冷め切れず、困惑する子供の前で逆に男を虜にしたと有頂天になってしまっていた。聡明な女であるにもかかわらず直前に死が迫っていることにすら気が付かなかった。
沙織は食べないようにして子どもたちに分け与えたが、それでも徐々に子供たちの体力は奪われ飢えが始まっていた。
沙織は近隣の家々を回り食用を分けてくれるよう頼んで回ってみたが、そこは密教のような教団である。どの家も門戸を閉ざし、まるで死人の村のようにみえ早々に諦めた。
飢えの症状は体力が一番弱い奈緒に真っ先に現れた。最初の数日は沙織が男に襲われたときのショックのうわごと・寝言かと思われた奈緒の呻き声が飢えの幻覚からきていることを知ってバンガローを後にし、一般集落目指して彷徨い出た。
このごろになると道端にある食べられると思えるものは何でも口にした。
目的地に向かって子供たちに懸命に声をかけ歩ませようとするが、奈緒は時折道端でくるくる同じところを回るような行動をとりはじめていた。それだけ歩みはのろいものとなっていった。歩き続けていると河原からなんともよい香りがした。
ヤミで捕まえた稚アユを焼いて食べているところに出くわし、ついフラフラと歩み寄った。
近寄ってくる得体のしれない人物に男たちは最初物珍しげに見ていたが、それがまるで死人が歩いているように見え慌てて手荷物を抱え逃げ出した。
残されていたのは火の中で串刺しにされた数匹の焼きかけの稚アユだった。
奪い合うように火の中に手を差し込んでそれを取りだしてやると、余程飢えていたのであろう、子供たちは貪り食った。気絶するほど燃え盛る炎の中に手を突っ込んだというのに、久しぶりに口にする食べ物に心を奪われ沙織は自身の手が焼けていることすら気づかなかった。
数日なにも口にしなかった胃の腑に一気に食べ物が供給された。
それがふたりの死を早めた。
目の前の炎に吸い寄せられるようにふたりは倒れ込んだ。
勢いよく燃えていた炎につつまれふたりは息絶えた。
それを見た沙織は狂乱した。
ふたりを救い出そうと自らも炎に飛び込み子供を掻き抱いたが思考はそこで尽きた。そのなかで肉の焼ける心地よい香りにあれほど我を苦しめた空腹も治まり香りの元となる我が子を愛おしそうに掻き抱いたまま息絶えた。
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沙織を身籠らせた男の捜索は原点に立ち返っていた。
研究所で調べられたすべての書類を再調査し、その胤がある種新三郎と似ていることに気づいた。
そこで養護施設を調べ、離れ離れになった弟が今も生きていることを突き止め、現住所に走って周辺の聞き込みから男の犯行動機の調査にかかった。
結果、男は施設を出てから職業を何度も変え、いつごろからかある種の教団に出切りしていることを突き止めた。
男と教団、それがなぜ沙織を狙わなければならなかったか、捜査員の一方はそれを探し出すため北里家に昼夜を問わず張りついた。
ある日の明け方近く、張り込みに疲れつい脇にあった電柱に向かって村上は用足しを始めた。
出しきって身震いしながらふと見上げた電柱の中ほど、妙な高さに広告が貼り付けてあるのに気付いた。
広告を張りつけるなら普通は路上を歩く人の目の高さか、それより少し高いところに貼る。それがこの広告に限って明らかに邸内にある植え込みのさらに上から覗き見ないと気づかない場所に貼り付けてある。
見張り用の双眼鏡を取り出してその広告を見た。
沙織が通っていた病院名と不妊治療・秘密厳守という文字が飛び込んできた。
このふたつを合わせて考えれば不妊に困っていた沙織の鼻先に胤の話をちらつかせ病院に向かわせたことになる。
通常なら不妊治療は夫婦そろって病院を訪問し、検査を受けた結果によって双方の同意をもって冷凍保存の精子を妻の体内に植え付ける。
その夫を精査し胤がないことを告げられるということを沙織は隠したかった。
だがそれでは北里家の待っている子宝はいつまでたっても得られない。
恩返しのつもりで自分だけ犠牲になればと沙織は単独で病院に向かった。
ところが清純な沙織にこの病院は健常な精子提供者と偽って、今ちょうどその提供者がみえているとこの男との行為を勧めたのではなかろうかという疑問が湧いた。
そこで病院の院長の身元を洗うと、病院は医療事故で経営が破たんし院長は教団から多額の借金があることを突き止めた。
警察の取り調べに対し院長はあっさりと行ってはならない男女の直接的な行為を斡旋したことを自白した。
教団幹部のその男の脅しに屈し、不妊治療など行ったこともないのにいかにもできるような口ぶりで診察に当たり、その場で優秀な精液提供者と男を紹介したことも吐いた。
もっと驚いたことに、男は病院からそのまま男が所有するバンガローに沙織を連れ出し、そこで犯していたのだった。
件の男はというと、教団の村には資金集めが必要と幹部以外の男はほとんど不在にしていた。
教祖や幹部に仕えるのは資金集めに全国を飛び回る男たちのの妻が当てがわれた。
幹部はその妻たちに修行と称し快楽を施し境地に至ると性行為を行って後妻たちに向かって修行成れりと都合よく説いていた。
一旦関係を持つとその女たちは快楽すなわち修行であり出世であると勘違いし先を争って修行を求め男の元に押しかけて来るようになった。
修行に名を借りた酒池肉林だったがそれを見るにつけ、いつしか女は不浄の生き物と男の目に映った。
貞淑を装いながら胤を仕込んで欲しいと願う沙織にもいつしか嫌悪感を抱くようになっていった。終いに殺してしまおうとさえ思うようになっていった。
院長の自白によって教団の村では一種異様なことが行われていることを知った警察は直ちに捜査令状を取り教団敷地内に立ち入った。
そしてその悲惨な状況を目にした、あの焼身自殺と判断された駐在所の巡査が焼け死んだ親子は酷い栄養失調だったことと合わせ不審に思い調査に加わることを願い出てくれた。
こうして沙織とその子供たちが暮らしていたバンガローに北里家の命を受けた探偵社の村上が警察の殊に駐在所の巡査を携え押し入った。
運が良かったことは飢餓で焼身自殺と思えた遺体の中から稚アユが検出されたことで、これが密漁で捕獲されたものである可能性が否めないことから主に密漁者の割り出しに全力が注がれた。
その捜査線上に上がったのがこの教団の幹部で今回胤に絡んでいるとみられるバンガローの所有者の男だった。
教団の資金を得るため禁漁期間であっても大がかりな立て網を仕掛けアユを追いこんで大量に捕獲してしまうという方法で最盛期には月に7ケタを超える稼ぎを叩きだし教団に貢いでいた。
別件で任意同行を求められた男は教団全体の責任と脅すとあっさりと教唆殺人について口を割った。
バンガローに親子を留め置き母親を辱め、その子供を餓えさせることで憂さ晴らしするつもりだったものが気が付けば栄養失調の極に達していて、誰の目にももはや救いようがなかった。
しかもそれが人妻をだまし孕ませた我が子とあって尚のこと罪に問われると思い、いっそ殺してしまえばとこの計画を思いついたと語った。
餓えた親子がおそらく自殺した日に教えたとおりの道を辿ってこの河原を通りかかるだろうことを予測し、餓えた人間に一気に食べ物を与えると死と直結することをものの本で読み、その日にあの場所で稚アユを焼いて食うと美味いだろうからやってみろと誘っていた。
裁判と認否のため採取された資料から、この男が紛れもなく新三郎の生き別れになった実の弟で、兄が裕福な家庭にもらわれていったことを嫉んで美人妻の沙織を弄って家庭を壊してやろうと仕組んだことだったと白状していた。
殺人に至ったことについては道義的に餓えさせ殺したとなれば教団から追われるかもしれないので、誰にも知られず始末したかったと語った。
男は幼○虐待・婦女暴行と殺人ほう助の罪で起訴された。
裁判の関係上、施設から提出された男の幼い頃の写真をみせられた新三郎の目に映ったのは、長い年月忘れることのできなかった吹雪の病院の玄関先で寒さに震えながら必死に見守った可愛い弟の顔だった。
あの秋の夕暮に、不審に満ちた気持ちでみた奈緒の横顔とうりふたつの男の子の顔だった。
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tag : 胤,餓え
06/20のツイートまとめ
- LetsgoChika
知佳の美貌録として書き進めている「高原ホテル」 それと同様に不倫恋愛ものであっても純文学の長編小説のみを書き進めることにしました。アダカテ好きの方には面白みに欠けるブログになると思います。
06-20 10:46