父親の面影を追い求め 佳子の悩み
佳子自身は、久美のように複数の男にちやほやされたいと、常に思っていて、何かにつけて秘訣の伝授を乞う。
男恋しさという、彼女の中に潜む業火が燃え上がると、最悪の状況下でも待ったなしに質問が飛び、怒りが口をついて出る。
それを、友達だから何とかなだめようと、久美も必死に付き合う。
ご主人の留守中にお邪魔して話し込んだり、喫茶店に呼び出して忠告したりと、久美は懸命に佳子をかばうのだが、佳子は佳子で頑なに自分流 前置きなしの、まるで襲われたかのようなセックスを求めた。
それも危険日に限って、まるで自慢話をしたいかのように男と避妊なしで絡む。
忠告すればするほど、その度合いはひどくなった。
出会い系で知り合って、最初のころこそ物珍しさも手伝って、男は懸命に抱こうとするから、ただ待ち受ければよかったが、連日のように女から呼び出され、抱かされると、逆に男のほうが引く。
それに逆上し、ワンギリとメールを山のように送り付け、強引に呼び出す。
久美が佳子の行動の中であきれてものが言えないと息まくのが、
ひとつは、避妊具なしで行為を行って結果が悪く出そうになったからと騒ぎ建て、
久美が付き添って、とりあえず検査薬を買い、懸命に調べる。
次が、大騒ぎしている間に男の気持ちが変わるんじゃないかと、
気を引くための下着の購入と化粧品選び。
そして、一番肝心なメールの文章つくり。
これらを、どちらが先ともいえない状態で、泣きわめきながら、喧々囂々・・・
呆れたことがもうひとつある。
デートコースの下見だ。
佳子はトラックドライバーを職業に選ぶだけあって、とにかく方向感覚だけは鋭い。
逆に久美は、相当な方向音痴だ。
そのふたりが佳子の運転する車に乗って、夜中に次の日のデートコースを下見する。
どんなふうに誘い掛け、どのタイミングでホテルに入る・・・
相談を受けた久美は、話の内容から、ある程度は想像を膨らませていた。
ところが、目的地に着いてみると、ホテルなんか、見る限り近くになかった。
よくよく話を聞くと、自然公園のような雑木林の中に潜み、屋外で絡み合ったのちにホテルに移動して、更に絡むと言った。
なるほどと思った。
確かにそれなら・・・ 襲われた ・・・風に思えてしまう。
笑い話しに思える向きもあろうが、先に述べたように佳子は殊に男との付き合いが下手で、必ずと言っていいほど女の方から男を誘い出す。
行先のホテルはもちろんのこと、ホテル代も佳子が全額支払う。
給料日近くともなれば、こっそりサラ金を利用する。
借金が嵩むたびに久美が出向き、これもまた生活費の使い道の伝授を、いちいち仕分けして封筒に入れ、手渡し、借金返済のめどをつけた。
佳子が探し出す男の質は最低で、久美も何度か手助けをして探してやったことがある。
けれども、性癖が性癖だけに、男はすぐに逃げ出した。
男に振られ、妊娠の恐怖と戦う頃になると、決まって佳子は鯨飲馬食をした。
元々肉系とビールが大好きな彼女はたちまち太った。
嫌われたくなくて、次には何も食べないで水分ばかり摂取して、強引な運動、そして吐いた。
激太りと激やせを繰り返し、気が変になって、結局久美のお世話になる。
ちゃんと食事管理をして、きれいに化粧し着飾れば、それなりにかわいらしく見えるのにと、久美はいつも愚痴を言った。
「それにね、佳子ちゃん。男が呼び出しても来なかったら、会社なり自宅なりに呼びに行ったらいいじゃない」
久美の提案に、
「だってぇ~・・・ どこに住んでて、どうやって暮らしてるか、知らないもん」
「呆れた!あんた、自分の乗っていった営業車は、相手にしっかり見られてて、それで相手は思い通りにいかないと、佳子ちゃんの自宅の周りをうろつかれたって、旦那に見つかって殴られたって言ってたじゃない」
ストーカーされてるのに、なに遠慮してるの?
久美は強く主張するが、相手を傷つけはすまいか、嫌われはすまいかと気を使って、最後はどうしても男の言いなりに身体を開いてしまうんだと、佳子は言った。
貢ぐ代わりに襲ってもらう。
久美には到底理解できない、友達であり人妻である佳子の、男への想いだった。
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