長編官能小説 『クロス・ラヴ』 第30話 Shyrock作
深く愛し長く付合っていれば目を閉じても、肌に触れただけでそれが恋人であるか否か分かるものだ。
たとえそれが髪の毛であったとしても。
そして光の届かない暗闇の中であったとしても。
真の恋人同士とはそういうものだ。
俊介は鋭敏に違和感を感じ取った。
しかし「まさかありさが間違って浩一の方へ行き、球がこちらに来るはずがない」という思いもあったから、「風呂上りなのでちょっと感触が違うのかな?」と軽く流そうとした。
ありさと球とは偶然にも髪が肩までの長さと、似通っていたことも俊介の判断を誤らせた要因と言えた。
ところがありさがとった行動は球とは違っていた。
球のように男の腹部に頬を摺り寄せ徐々に胸元に顔に近づけていくと言う動作ではなく、一気に浩一に抱きつき唇を重ねてきたのだ。
これではいくら愚鈍な男でも異変に気づかないはずがない。
ましてや浩一は人一倍敏感な男である。
直ぐに球でないことを感じとり肝をつぶしてしまった。
(チュッ・・・)
浩一「・・・ん?・・・!?んんっ・・・!?おい!お前、ありさだろう!!人違いだよ!!オレは浩一だよ!俊介は向こうだよ!!」
ありさ「にゃんにゃん~、チュッ・・・」
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天にも昇る思い 知佳作
そんな中相変わらずひょうひょうとして各地に出向く人がいました。 竹谷 (たけだん) の爺様 貞三郎さんです。 晩秋となったその頃、あの入谷村と下薬研 (しもやげん) との境界付近の山中にキノコ狩りに出かけてたんです。
加納美澪さんも鬱々とした気分を少しでも晴らそうと裏山に散策に出かけていました。
殊に佳織さんの生きざまを魅せ付けられてからと言うもの女に芽生え始めご主人以外の漢を味わいたくてたまらなくなっていたんです。
どうにかして一味違うマ〇を咥えてみたいと願いつつ裏山を入谷方面に向かってうろついていて竹谷 (たけだん) の爺様と山中で出くわしてしまいました。
出くわしたと言えば聞こえは良いんですが、実はその時美澪さんもよおしてしまってしゃがんでいるところを爺様に見つかってしまったんです。
入谷村の中でも竹谷 (たけだん) の貞三郎さんほど歩行速度が秀逸な方はいません。
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