ありさ 割れしのぶ 第二章 祇園 Shyrock作
今宵始まる生々しい褥絵巻こそが、自分に与えられた宿命であると諦めざるを得なかった。 祇園界隈に入ると花街らしく人通りも多く、いずこかのお茶屋からは三味の音が聞こえて流れて来た。 ありさは辻を曲がって路地の一番奥のお茶屋の暖簾をくぐった。 「おはようさんどすぅ~、屋形“織田錦”のありさどすぅ~、遅うなってしもぉてすんまへんどすなぁ~」 「あぁ、ありさはん、雨やのにご苦労はんどすなぁ~」 ありさに気安く声を掛けたのは、お茶屋“朝霧”の女将おみよであった。 「ありさはん、おこぼどないしたん~?鼻緒が切れてしもたんか?」 「そうどすんや。ここへ来る途中でブッツリと切れてしもて」 「あ、そうかいな。そらぁ、歩きにくかったやろ~?ありさはんがお座敷出てる間に、あとでうちの男衆にゆ~て直さしとくわ、心配せんでええでぇ~」 「おかあはん、お~きに~。よろしゅうに~」 「ありさはん、それはそうと、大阪丸岩物産の社長はん、もう早ようから来て待ったはるえ~。今晩は 待ちに待ったあんさんの水揚げやし、社長はんもえらい意気込んだはるみたいやわぁ~」 「・・・」 「どしたん?あんまり嬉しそうやないなぁ?」 「はぁ」
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト
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