ありさ 割れしのぶ 第三章 水揚げの夜 Shyrock作
座敷には平安神宮の菖蒲の心髄にまで響くような見事な三味線の音が鳴り響き、鴨川の流れのように淀みのない扇の舞いが六月の宵に華を添えた。 華やかに賑わった座敷も幕を閉じ、芸妓達は丸岩に丁寧な挨拶を済ませ座敷を後にした。 座敷に残ったのは会長の丸岩とありさだけとなった。 待ち望んでいた時の到来に、丸岩は嬉しそうに口元をほころばせた。 「ありさ、やっと二人切りになれたなぁ」 「あ・・・、はい・・・」 虫唾が走るほど嫌な丸岩…今夜はこんな汚らわしい男に抱かれて破瓜を迎えなければならないのか。逆らうことなど微塵も許されない哀しいさだめを、ありさは呪わしくさえ思った。 「さあ、もっとこっちへ来んかいな。たんと可愛がったるさかいになぁ。ふっふっふ・・・」 丸岩が誘ってもありさは俯いてモジモジとしているだけであった。 そんなありさに痺れを切らしたのか、丸岩は畳を擦って自ら近寄り、ありさをググッと抱き寄せた。 「えらい震えとるやないか?何もそんな怖がらんでもええんやで。ふっふっふ・・・」 「あ、あきまへん・・・、あのぅ・・・お風呂に入って・・・あの・・・白粉落とさんと・・・」
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト
感情をコントロールできない美代子さん 知佳作
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