ありさ 割れしのぶ 第十章 越前の浜辺 Shyrock作
ありさと俊介が駆け落ちをしてから1ヶ月の時が流れた。 越前海岸で料理旅館を営む伯父の一平宅に身を寄せた俊介とありさは、伯父の世話に甘んじることを極力避け、二人して一生懸命働いた。 俊介は海産物の卸問屋に勤め、ありさは伯父の旅館を女中奉公して汗を流した。 そんな折り、街の駐在がやって来て伯父の一平に尋ねた。 「本村さん、元気でやってるんかぁ。 おめぇの甥の本村俊介さんちゅ~のはぁ、こっちゃに来てぇましぇんか? もしも、来てぇもたら教えてんで 」 「やあ、駐在さん、ご苦労さんですってぇ。 う~ん、俊介けぇ? 久しく会ってねぇ~ね」 「いやあ、それならいいんほやけどぉね」 「俊介が何ぁんぁしでかしたんやってかぁ? 」 「いやいや、何でもぉ京都で、舞妓ぉを連れて逃げてるそうで。もほやけどぉおて、こっちゃをぉ頼って来てぇねぇ~かと」 「え!?俊介のやつ、ほんなもぉんことをぉ!? もしも来てぇもたら、あんなぁぁに連絡するんから」 「頼むでぇね」 二人の会話を柱の陰で立ち聞きしていたありさは、遠く離れた福井にまで捜査の手が及んでいることを知り愕然とした。 (あぁ、もう、あかんわ・・・、どこに行っても、あの執念深い丸岩はんは追っ掛けてきはるわ・・・もうあかんわ・・・)
テーマ : 官能小説・エロノベル
ジャンル : アダルト
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