廃村に漂う黒い影 塞の神(さいのかみ)を献上
さいのかみとは廃村を含むこの周辺の村々を行き来する旧道(山道・獣道)の境界に村の守り神として祀られる神のことである。
かつて廃村の村には夜這いの慣習があったと以前にも述べた。
よその村々から、己の村では相手をしてくれる女が足りなくて処理できない男どもが越境し女を抱きに来る。この夜這いを災難の源、悪鬼と称し、これが押し寄せるのを防ぐため、さいのかみには威嚇を示す男根が祭られることが多かった。
それは御幣やしめ縄で場所を特定でもしなければ気づかないほど粗末な、森と同化し自然に溶け込んだ神であった。
道祖神(どうそしん)のような立派な地蔵が安置されているわけではない。
この塞の神は、誰も踏んだことのないと称する小石(あくまで自己判断)を難儀しながら見つけ出し、拾ってきて祈願のためお供えする。それが小山のようになり本尊となった粗末なものだ。
その塞の神の安寧を願うため、村の女たちは小石を持ち寄り奉納し、その前で陰部を開帳し神を安らかしめ子孫繁栄を願った。
ここでいう「塞の神(さいのかみ)の献上」とは神々しい女陰を捧げるという意味である。
夜も明けぬうちに美香の見張りについていた屈強な男たちは姿を消していた。
変わって入ってきたのが美香を山荘で開発し続けた幹部だった。
元次席検事、伊集院司
名前からも氏素性が読み取れるほどの名門の出でありながら性格は捻じ曲がり、庶民など人間とも思っていない男だった。
控えの女がうやうやしく飲み物を用意している男こそ、今日のゲスト。地元出身の代議士田辺勘蔵その人だった。「塞の神を献上」この一言で田辺はすべて了解した。
伊集院は控えの女を遠ざけると田辺議員に向かってこう耳打ちした。
「これから御眼にかける女は現役の検事で、先生を愚弄しようと企てたことのある、あの難波英彦の娘です」
田辺はこの言葉に驚き、陰湿な薄笑いを浮かべた。
伊集院は控えの女に命じて田辺に対し、わからぬ程度に飲み物に媚薬を入れさせた。
田辺が飲み物を口にして、およそ30分も過ぎたころになってなにやらそわそわと落ち着きが無くなり出したのを見て取ると、美香の部屋への案内を控えの女が告げた。
田辺に差し出した、その同じ種類の媚薬を頃合いを見て美香にも与えてあった。
薄着を着せられベッドで待つ美香の元に田辺が送られた。
田辺に落ち着きがなくなっていったのも無理はなかった。飲み物によって腹腔内に熱いものがこみ上げ、焼けつくような感覚が襲ってきたからだった。
ベッド上の美香も同じ状態になりつつあった。ゲストを差し置いて自慰にふけることは固く禁じられていた。燃える場所に触れ、確かめたい衝動を押し殺しゲストを迎えた。
伊集院によって仕込まれた女がどれほどのものか。田辺は美香の仕上がり具合が気になって仕方がなかった。
美香の待つベッドの淵に腰掛けると悠然と滾る男根を晒し、女の反応を楽しんだ。
たおやかに横たわる美香。しかしその乳房の硬さは常軌を逸していた。乳首は完全に尖りきっている。
なにより部屋に入り一番に気づいたのは女が発する淫臭が部屋の隅々にまで満ちていたころだった。
田辺を見据える美香の目は男根に注がれ微動だにしない。
我慢しきれなくなったのはむしろ田辺の方だった。男根が燃え盛り火を感じ、思わず手を添えた。「どうだ、これが欲しかろう」言い終わるや否や滾りを己で擦りあげていた。
それで許されたと解釈した美香もまた、自身の秘部に指を挿し込み掻き回し始めた。
雄たけびを上げながら田辺も美香も自慰にふけった。擦りの力でそこまで田辺は滾りながら射精感はついぞ湧き起こらなかった。
美香が自慰で昇りはじめ、伊集院に仕込まれた癖で尻を高々と持ち上げた。それが「したい」のサインかと解した田辺は滾りつ戻りつする男根を美香の秘部にあてがった。
半立の亀頭が壺をなんとか切り裂いた。これに美香の肉球が見事に反応した。口腔性行以上に見事なまでにふにゃちんに襞を這わせ雄々しくさせた。田辺が目にした美香の陰唇の卑猥さと尻の見事さ、揺れる乳房に翻弄された。壺口から臭い立つ淫臭が鼻腔を貫き老害の脳天に一撃を食らわせた。
冷徹な田辺の男根から精液を搾り取るのに、それほど時間を要しなかった。
一度果てて、それで終わったと勘違いした田辺は疲れから横臥した。その田辺を跨ぎ、半ば強引に指でこすって復活させ壺に送り込んではしごき続けた。
わずかの時間で田辺は美香によって精気を残らず抜かれ、足元もおぼつかないほどの老人に立ち返った。入浴を済ませ美香の体臭をすべた洗い流し、着替えた田辺は早々に帰途の意思を示した。次の予約も忘れなかった。
伊集院にとってもそこまでが田辺のアリバイ工作の限界だった。
田辺は満足し切って部屋を出た。伊集院はほくそ笑んだ。田辺の弱みを、これで完全に握ったと思った。
地下駐車場の車の中で待機していた用心棒たちは伊集院がゲストを伴って降りてくると、入れ替えに部屋に急行した。
欲情し切った美香をそのまま放置していては、いかに控えの女といえども押しとどめることは不可能に思えたからだった。
部屋に辿り着くと男たちは血眼になって美香を探した。脱走でもされた日には自分たちもただでは済まなくなる。
懸命に探し、見つかった先はゲストを迎えるベッドの上だった。
美香は控えの女に組み伏せられていた。
美香が逃げないよう手を打つ、男が思いつかなかった最も有効な手段を控えの女はこともなげに行っていた。
控えの女の指や舌がヌメヌメと美香の肌を這いずりまわり、陰部には身動きできないように逞しいローターが唸りを上げ食い込んでいる。
女の弱点を知り尽くした責めだったが、控えの女のそれは陰湿なものがあった。
肝心な時になるとスッと手を引いて簡単に逝かせようとしない。
美香は体力が尽きるまで控えの女に弄ばれ、息が続かなくなり苦悶のうちに、やがて屈した。
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